18
桜が舞う季節。俺ももう社会人に慣れてきたころであった。
制服のスカートが暖かい春の風に揺れる。怜ももう高校生ではなくなった。
「今までありがとうございました!」
教室や職員室前で威勢のいい、かつそこはかとなく切なげな声が飛び交っている。俺もその声を受け取る側にいた。
「先生の授業おもしろかったです!」
ある女子生徒が俺に告げた。彼女は少し顔を赤らめていた。
「そっか、そういってくれるとうれしいな。大学でもがんばってね」
「はい!」
そんな、一見かわいげのある会話を、廊下の隅で蔑む様に見ている女生徒が一人いた。
「あ、れ、じゃなくて綾瀬さん」
「はい、なんですか。私は先生の授業をおもしろいなんて一度も思ったことはありませんよ」
「…はい。大丈夫です」
相変わらず厳しすぎるぐらいの評価をする彼女は、今となってはかわいいとまで感じてしまう。
「とりあえず、また後でな」
「うん」
小さくうなずく姿も、もう慣れた。
「ゆうくん、女の子たちにモテモテだね」
「えっ、やきもち?」
空がオレンジ色に煌く空の下、ブランコのキイキイという音とともに彼女の少しつっけんどんな声が聞こえた。
「ただ若いだけよ。みんな男の子なれしてないから」
「そっか…先生残念だなあ」
俺、もてたことないのになあ、とつぶやく。
「モテなくていいの。もう、私のだから」
彼女はそういうとブランコから降りて俺のネクタイを引っ張った。この公園はきっと誰も来ない。来ても、もう怜は俺の生徒じゃない。
俺の彼女だから。
「そうだね。もう俺のもんだね」
顔を近づけながら俺はささやいた。怜は少し微笑んだが、意地悪そうな笑みを浮かべてこう言った。
「私のもの。誰にも渡さないよ」
やっと終わったと思ったら、なんかヤンデレみたいになって終わらせてしまいました…微妙な結末でごめんなさいwwwww
次の作品でお会いできることを祈りつつ。
読んでいただき、ありがとうございました。