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これで完結とかいっておきながら、まだ少し続きます。更新の大幅な遅れ、失礼いたしました。
俺は怜に告白をしてから、大事なことを忘れていたのに気づいた。
麗奈の件である。
あのままあやふやな状態にしていた関係にどのように終止符を打つべきなのか、日々悩んでいた。俺ってほんとうにどうしようもない人間なんだな…。あのとききっぱり断っておけば、麗奈にもより悲しい思いをさせずに済んだのに。だが今後悔しても遅い。俺は麗奈と話すことにした。
今夜、また飲める?
とだけメールした。
「よーう。そっちから誘ってくるなんて、珍しいじゃない。どうかしたの?」
女の勘は鋭い。少したじろぎながらも、ちょっとな、と返した。
俺たちはまたどうでもいいようなことで盛り上がりながら酒を交し合った。タイミングを見計らっていたが、中々切り出せずにいた。
「ほんと久しぶりだなあ、こういうの。練習でストレス溜まっててリラックスできてなかったんだ、最近」
「そうなんだ、そんないそがしいの?」
「うん、まあね」
麗奈は少しうつむきながらハイボールを一度、かき混ぜた。そしてさっきより小さな声で囁くように言った。
「私たちって、何にもないよね」
「…」
彼女から切り出された。なんて情けないんだ、俺は。
「…言わなきゃなって思ってた。ずっと」
「何を?」
「…俺、好きな人ができた」
少しの沈黙。麗奈はどう思っただろうか。
「そっか、そうよね。私が一方的に言ったしね。あなたに強制してしまったのかもしれない」
麗奈はもっとうつむいた。
「そんなことはない。あの時、俺はお前を受け入れていた。そのときからあやふやだったんだ、俺の気持ち。なのに俺は…」
「責めなくていいよ」
麗奈は無邪気に笑った。そのときの彼女の美しさに、泣きそうになった。
「大丈夫。私はゆうとずっと友達でいたい」
から何も言わなくていいんだよ、と後から付け足した。
俺は何も言えずにいた。だって、彼女は強がっている。あまり恋愛ごとに詳しくない俺でもわかることだった。
「ねえ、これガチだよ。ほんとに、気にしないで」
「うん。ありがとう」
「私も新しい恋みつけようかなー」
麗奈とこんな話をしたのはこの日が最後だった。