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episode4

 ね、何考えてるの?小悪魔みたいに可愛い十九歳のわんこはわたしの腹に手を回す。百合子さんいいね、無駄なお肉ないし、引き締まってるし。まあ欲を言えばもう少しこっちにお肉があればいいんだけど、って余計な一言を残してわたしのAカップの胸を揉んでくる。頑張ったらBまで寄せあげ可能なんですけど。


「こんなことしていいのかなあって」

「なんで?」


 幼い子供のように何も考えていない様子で、小悪魔は首を傾げる。

 いやほら、わたし結城くんと十も離れてるし、とか、未成年ってヤバイかな、とか。結城という少年は次の言葉を紡がさないように、くちびるを強引に塞いできた。そもそも結城、ってのが本名か偽名なのかすらわたしは知らないけど。

 やっぱまずいよなぁ、三十路前のいい年したオンナがいたいけな少年をお金で買うのは、とぽつり。いいじゃん百合子さん、だって欲しい服があったらみんな買うし、美しさだってお金で買うじゃん、整形とかさ。だから愛をお金で買って何が悪いの?とまた小悪魔フェイスで尋ねてくる。あざとい、あざとすぎる。彼にとってわたしは金づるでしかないのだ。アフターサービス十分。ほんのちょっとした会話とデートで満足するつもりが、まさかのベッドイン。しかもやたら上手いしほんとこの少年何者よ。

 ね、のどがかわいた。そう言うと少年はミネナルウォーターを口に含んで、そのままわたしに与えた。乾いた喉に少年の生暖かい温度が加わった水が流れていく。舌が離れて糸を引いているのが何だかいやらしい。

 仕事でね、しくじってさぁ。うん、それで?部長に怒られちゃって、嫌味たらたら。しかも同期は寿退社ばっか、あーあ、結婚しようかなあ。どんな人がいいの百合子さん。そうね、優しくて、どん、とわたしを包んでくれる人かな、なんてとりとめのない会話を繰り返す。

 王子サマがいるなんてもうとっくにそんな夢は覚めてしまったけれども。


「百合子さん、僕といるときにそんな話はしないでよ」

 

 シャツに少年の手が滑り込む。本心か、嘘か否か。ごめんごめん、なんて笑うと反省してないでしょ、って拗ねられた。可愛い。可愛いね、って頭を撫でてあげる。

 ねぇ、好きって言って。百合子さん好き。どこが好き?うーん、そうだなあ、ちょっと濃い化粧とか。……喧嘩売ってる?あ、あとね、小さなおっぱいとか。ばかもう嫌い。うそうそ、可愛いところかなあ。あと自分の好きな香水をつけてるとこ。僕、百合子さんの匂い好き。

 王子サマが見つからないわたしは、今日もまた悪い遊びに興じる。 

全十話予定しています。久しぶりに書きたいものが見つかりました。次回の更新はだいぶ先を予定していますが、最後までお付き合いいただければうれしいです。

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