何度だって。
奇妙なプールの中、少女は歩き出す。
ここはどこだろう。
記憶を探っても思い出すのはパラパラという雨の音と、木々がさざめく音だけ。
私は目を開けた。
周囲にはパラソルとビーチチェアが並び、壁には大量の植物。
天井からはパラパラと雨が降っていた。
起き上がると、私がいた場所は水の上に浮くボールプールの上だった。
奥は霧で満たされてライトアップのためにあるのだろう照明以外の物は何があるか分からない。
私の乗るボールプールは、ザザンッザザンッと流されていく。
どこに向かっているのだろう…。
ボーっとしていると、すぐ横にワタシと似たようなプールに人影が見えた。
霧が濃くて見えないので、私は手を伸ばした。
服が触れた。
私のプールがグワンっと揺れる。
目の前に女の子が座っていた。
顔がよく見えない。
「あなたは誰…?」
私は女の子に聞いた。
私が分からなかったから。
どこに向かっているのかも、自分が誰なのかも。
ただ、心地良さだけに身を委ねているだけ。
女の子は周りを見回した後、自分の話を始めた。
どうやってここに来たのかは覚えていないけど、自分には父と母がいた。
学校にも通っていたし、仲の良い友達もいた。
しかし、気づけばここにいた。
「ワタシは、ここから出たいの。」
女の子は私の手を握って言った。
「一緒にここから出ようよ。」
心が安らぐ、不思議な場所。
夢のような景色が見れなくなるのは悲しいけれど、どこか懐かしいその話で私は外の世界に興味を持った。
「分かった。行こう」
女の子はプールの縁を手で掴み、流れるボールプールを止めた。
「ほら、行こう」
手を引かれて始めてプールから下りる。
ビーチチェアとパラソルが延々と続く道。雨はまだ降り続いていた。
女の子はキョロキョロと周りを気にしているようだった。
「大丈夫だよ。私とあなた以外に人はいないもの。」
すると、女の子はビーチチェアと植物の陰に私と隠れた。
何をしているんだろうと思っていると、パシャンッパシャンッと音がした。
隣りにいる女の子は震えて、
「まただ…アイツがいる…」
と呟いた。
顔は見えないけど震えているから、きっと怯えているんだろうと思った。
アイツってなんだろう。
植物の隙間から見えたのは、床についた大きな足跡。
それは私のものでも、隣りにいる女の子のものでもない。
足跡の周りには降っている雨のポツポツとした点がついた。
パシャンッ…パシャンッ…
歩いている音がする。
波の音のようにも聞こえた。
しばらく経って音が聞こえなくなると、女の子は素早く立ち上がり私の手を握ったまま走り出した。
「逃げなきゃ、ここから出なきゃ…帰らなきゃ…!」
雨の中を2人で駆けていく。
女の子は怯えているらしいけど私はちっとも怖くなかった。
なんだか、ここにいたような気がするから。
懐かしさの方が勝っていると思う。
そんな事を考えていた私の足が何かに引っ張られた。
「わっ」
転んだ私に女の子は駆け寄る。
スーッと引っ張られていくような感覚があった。
見ると、片方の足はもうプールの水に浸かっている。
ゾワッとして、もがいた時だった。
「ダメ!ダメなの!あなたがいなきゃ!」
大きな声で叫んだ女の子の顔を見る。
ドボンッと水に落ちた時に初めて見たその顔は
私と同じ顔をしていた。
パラパラパラパラ…
顔に水滴が当たって目が覚める。
私は流れていくボールプールの上にいた。
だけど、頭の中にはまだ記憶が残っていた。
お父さんやお母さん、友達…
そう…私は…ここから出なくちゃいけないんだ。
その時、服が誰かに引っ張られた。
「あなたは誰?」
私と同じ声がした。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
プール懐かしいな〜と思い出したので作成しました。
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