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第8話 罠だらけの遺跡

街の北にある遺跡は、思ったより近かった。


 森を抜けた先、小さな丘のふもとに石の入口がある。


「ここだね」


 私は地図を見ながら言った。


 入口は半分崩れていて、古い石がむき出しになっている。


 確かに、かなり昔の建物みたいだ。


 肩の上で、クロが低くつぶやく。


「……嫌な感じがする」


「まだ中に入ってないのに?」


「入る前からするんだよ」


 私は少し笑った。


「大丈夫だって」


「その根拠のない自信やめろ」


 私は入口をくぐった。


 中はひんやりしていて、薄暗い。


 石の床と壁が続いている、いかにも遺跡って感じの通路だ。


「おおー」


 ちょっとわくわくする。


「ほんとに冒険者みたい」


「お前、冒険者だろ」


 クロが言った。


 私は通路を進む。


 そのときだった。


 カチッ


 小さな音がした。


「ん?」


 次の瞬間。


 天井から石の塊が落ちてきた。


「わっ!」


 私は慌てて横に転がる。


 ドンッ、と大きな音がして石が床に落ちた。


 土ぼこりが舞う。


 私は床に座り込んだまま言った。


「びっくりした」


 クロが呆れた声を出す。


「お前、今なに踏んだ?」


「わかんない」


「罠だよ」


 クロがため息をつく。


「入って三十秒で罠踏むな」


「でも避けたよ?」


「落ちてきただけだ!」


 私は立ち上がって服のほこりを払った。


「大丈夫大丈夫」


「何がだ」


 私はまた歩き出す。


 そして――


 カチッ


 また音がした。


「また?」


 今度は床の前方から石の矢が飛び出した。


 私は慌ててしゃがむ。


 矢は私の頭の上を通り過ぎて、壁に突き刺さった。


「危ない!」


 クロが叫ぶ。


「今の見えてたか?」


「見えてない」


「じゃあなんでしゃがんだ!」


「なんとなく?」


 クロは頭を抱えた。


「お前ほんと全部踏むな」


「でも当たってないよ?」


「当たったら終わりだ!」


 私は通路の奥を見た。


「でもさ」


「なんだ」


「罠ってことは」


「?」


「誰か来るの想定してるってことだよね」


 クロは少し黙った。


「……まあな」


「じゃあ奥になにかあるんだよ」


 私はにこっと笑った。


「行ってみよう」


「お前なぁ……」


 クロはため息をつきながらも、止めなかった。


 通路はしばらく続いていた。


 途中で床が抜けたり、壁が動いたり、矢が飛んだりした。


 そのたびに私は驚いたり転んだりしながら、なんとか先へ進む。


 そして。


「……おい」


 クロが低い声を出した。


 私は立ち止まる。


「どうしたの?」


「前」


 通路の先。


 小さな部屋があった。


 その中央に――


 古い石の台座。


 そして、その上に。


 ゆっくり回転している、淡い光。


「魔力……?」


 私は近づこうとした。


「待て」


 クロが言う。


 声が、さっきまでと違った。


「どうしたの?」


「……あれ」


 クロの目が細くなる。


「触るなよ」


「なんで?」


 私は首をかしげた。


「だって、あれが魔力装置でしょ?」


 クロは少し黙った。


 それから、低く言った。


「やばい装置だ」


「そうなの?」


「だから触るな」


 私は装置を見た。


 確かに、古い。


 でも壊れているようにも見える。


「でもさ」


 私は一歩近づいた。


「直せそう」


「おい」


 クロの声が鋭くなる。


「リリア」


「うん?」


「やめろ」


 私は装置をのぞきこんだ。


 その瞬間。


 装置の光が、


 ほんのわずかに――


 揺れた。


 クロが、小さくつぶやいた。


「……まずい」

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