第13話 観測開始
お知らせ タイトル、あらすじを変更しました
いつも読んでいただきありがとうございます。
このたび作品タイトルを変更しました。
旧タイトル:【失敗】スキルしか持たない私、転びまくってたら最強になりました
新タイトル:【失敗】スキルしかないのに、なぜか全部うまくいくんですが?〜世界の計算を狂わせる少女と毒舌ネコ〜
第2章に入り、作品の方向性がより分かりやすく伝わるように調整しました。
内容に変更はありませんので、そのまま続きから読んでいただけます。
今後ともよろしくお願いします!
王都。
巨大な魔術塔の最上階。
静かな研究室の中央で、アルヴェインは一枚の報告書を見ていた。
遺跡装置。
魔力崩壊。
成功確率――ほぼゼロ。
それでも結果は、安定。
アルヴェインは静かに言った。
「理解できない」
部屋の空気に溶けるような声だった。
机の上には魔術式の計算結果が浮かんでいる。
何度計算しても答えは同じ。
成功確率は――存在しない。
つまり。
「計算外」
アルヴェインは小さくつぶやいた。
彼は成功を愛していた。
成功とは、努力ではない。
成功とは、才能でもない。
成功とは――
「計算通りに進むことだ」
それが彼の信念だった。
だが今回。
計算が外れている。
机の上の報告書を指で叩く。
そこに書かれている名前。
リリア
「新人冒険者」
アルヴェインは少し考える。
それから静かに言った。
「面白い」
部屋の扉が開く。
「お呼びでしょうか」
黒いローブの魔術師が入ってきた。
アルヴェインは振り向かない。
「一つ仕事だ」
「はい」
「この冒険者を調べろ」
紙を差し出す。
魔術師が名前を見る。
「新人ですね」
「ああ」
「危険人物ですか?」
アルヴェインは少しだけ笑った。
「まだ分からない」
一拍。
「だが」
静かな声で言う。
「計算を狂わせる存在は」
窓の外を見る。
「早めに観測するべきだ」
魔術師はうなずいた。
「監視ですね」
「そうだ」
アルヴェインは言った。
「何もしなくていい」
「ただ見る」
「はい」
「そして」
アルヴェインの目がわずかに細くなる。
「もし二度目の奇跡が起きたら」
その声はとても静かだった。
「報告しろ」
「必ず」
部屋が静かになる。
アルヴェインはもう一度名前を見る。
リリア。
そして小さくつぶやいた。
「失敗、か」
一拍。
「その結果が成功なら」
窓の外の空を見ながら言う。
「それは本当に失敗なのか?」
――場面は変わる。
「うーん」
私はギルドの前で悩んでいた。
「どれにしようかな」
掲示板には依頼がたくさん貼ってある。
クロが肩の上で言った。
「簡単なのにしろ」
「えー」
「えーじゃない」
私は一枚の紙を見る。
「これ面白そう」
クロが読む。
「魔力装置の調査」
沈黙。
「やめろ」
「え?」
「絶対やめろ」
「なんで?」
クロは深くため息をついた。
「嫌な予感しかしねぇ」
私はにこっと笑った。
「大丈夫」
依頼書を取る。
「なんとかなるよ」
クロは空を見上げた。
「……終わった」
遠く離れた王都で。
ある男がその名前を見ているとも知らずに。
私は元気よく言った。
「次の冒険、行こ!」




