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辺りを満たす、淡い光で目が覚めた。
どうやら、私はどこかに倒れ伏しているらしい。
起き上がろうと身体に力を込める。床らしき場所に両手をつくと、手のひらからすうっと波紋が広がった。顔を上げる。
(ここは……電脳空間……)
目の前には、透き通った水色がどこまでも続いていた。この場所には覚えがある。
ゆっくりと上体を起こした。上のほうから、ひらり、となにか白いものが落ちてくる。
(桜の、花びら……?)
淡く光る白い花弁が、私の周りだけを囲うように降っていた。ちらちらと、不規則な動きで桜が舞い落ちる。不思議なことに、花びらが落ちた場所に波紋は起こらなかった。白い花弁は吸い込まれるように水色の中に消えていく。
そのとき、ぴちゃん、と音がした。
背後から、つうっと波紋が広がって、私の身体の下を通りぬけていく。ひとつ、ふたつ、と波紋が重なり、誰か――〝彼女〟が歩み寄ってくる気配。
私は大きく深呼吸すると、ゆっくりと立ち上がった。振り返る。
そこには、ひとりの人物が立っていた。
「……フィオの中身は、君だったのか」
人影が微笑む。見覚えのある、穏やかな表情。
その静謐な微笑みに向かって、私は静かに呼びかけた。
「――ミア・アンジェリコ」
そこにいたのは、宝石のように美しい翡翠の瞳。
どこか悲しげな、けれど慈愛に満ちた眼差しが、痛みをこらえるように私を見つめていた。




