85 遺裂の実力
ヴァリーラの提案に従い、自分たちの受け取った装備が、本当に特殊な効果を持つのかどうか、念のために低層で確認してみたが、どうやら貸し与えられたものは、正真正銘の遺裂らしい。
だれが考えても、ネヴェリスカが持つ乱疾剣士用の聖密光が、最も扱いにくそうだったのだが、なぜかここでも、最初に技術をマスターしたのは彼女だった。
(ぶっ壊れてやがるな……)
ネヴェリスカの遺裂は、所持者の敏捷性を限界まで上昇させるというもの。
ただでさえ、すでにネヴェリスカは、常人離れした身体能力を有しているのだ。
その度合いを、さらに底上げしようものなら、もはや自分で、ろくにコントロールさえも利かせられないだろう。そうだというのに、彼女は数回の戦闘を経るだけで、遺裂を完璧に自分のものにしていた。
遅れは取ったが、レイヴンとユウトとの武具は効果自体が単純なものだ。
しばらくすれば、遺裂を使いながらも、パーティーとしての連携を取れるようになっていた。
個々人の能力が、短時間で極端に強化されてしまったため、やりにくい側面も確かに存在したが、大まかな勝手はつかむことができた。
これは来たる12層以降を見据えてのものだったが、結論から言えば、それは杞憂だったと断じられる。拍子抜けするほどに、あっさりと12層を突破できていたからだ。
遺裂を使えば、レイヴン・ネヴェリスカ・ユウトがソロで別れたとしても、エネミーに対応できる。
当面の目標は、最速で17層にたどり着くことにあるため、罠場などの危険な場所には近づかない。
そうであるならば、上への階段を、できるだけ迅速に見つけることが肝要だろうと、別解組は、一時的にパーティー単位での行動を制限し、時間を決めてリョウスケのもとに集合する、という方針を取っていた。
レイヴンたちがフロアの状況を報告し、もらった情報から、リョウスケとヴァリーラとが行き先を決める。アヤネはその護衛だ。
そうして、たった一日にして、別解組は14層にまで到着していたのである。
しかし、破竹の勢いもそこまでだったと言えるだろう。
『15層から上は別次元』
ゴールドマンが話していた、攻略組の受け売りに誤りはなかった。
そこから先は遺裂を使っても、単独での調査が行えず、自然とまた、パーティー単位での活動がメインとなった。相対するエネミーのほうも、強力な特殊攻撃を用いるようになって来たためである。
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