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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
8/115

8 打倒、スライム。

 レイヴンは、ひたすらにスライムの攻撃を避けていた。

 防戦一方。

 交互にくり返される体当たりのせいで、反撃する暇がない。


(くそっ……!)


 しかし、糸口はつかめた。

 分裂後のスライムは、酸液の攻撃をして来ないのだ。

 おそらくは、体が小さくなったために、できなくなったのだろう。

 前後から同時に、体液を放出された場合には、装備が完全にダメになる恐れの高かったレイヴンとしては、うれしい誤算だった。


 おまけに、体当たりのスピードについても、完全体よりかなり遅い。

 これは、単に相手が疲れはじめた、という影響だけではないはずだ。やはり、分裂する攻撃は、向こうにとっても、最後の切り札だったということなのだろう。


 それならば、やりようはある。


「いい加減に見飽きたぜ!」


 気合を入れる掛け声とともに、レイヴンが一気に横跳びをする。

 ダンジョンの壁までさがって、スライムの射線を無理やり狭めた。

 びゅん。

 目論見どおり、スライムの体当たりが誘導される。


「かかったな……」


 こうなっては、見事なコンビネーションは、かえって仇となる。

 単発の攻撃も、同じ方向から飛んで来るならば、対処は容易だ。


「せやぁあああ! うりゃぁあああ!」


 交互に剣を振りぬいて、飛来するスライムの体を切り裂いた。

 ぼとり。

 四つに分かれた水の塊が、レイヴンの左右に落下する。

 注意深く眺めてみても、今度は動きだす様子がない。


(一度、子供になってしまえば、さらに分裂することはできないってわけね……。学んだぜ)


 やがて、レイヴンの見ている前で、エネミーの体は、ダンジョンの地面に吸いこまれるようにして、にわかに消えていった。


「――ったく、珍妙な造りだな!」


 呆れたようにレイヴンはつぶやくが、それと同時に、別のことも覚えざるをえなかった。

 すなわち、いくらエネミーを倒したところで、戦利品は獲得できないということである。


(動きには、もう慣れた。……スライムだけなら、殺すのも難しくはない)


 しかし、物資を獲得できないようじゃ、自分の装備は変わらない。ゴールドマンの言葉を借りれば、最弱のままということになる。


 それでは困る。


(ただでさえ、剣にかなりのダメージを入れちまった)


 手ぶらで帰るのはまずいだろう。

 ゴールドマンにしてみれば、生きて帰るのは絶対条件。そんなことを達成しても、レイヴンに、白塔攻略の素質があるという証明にはならない。


 どうにかフロアを駆けずり回って、2つの装備を手に入れたものの、それは、獲得したというよりも、他のプレイヤーがあえて拾わなかったものを、仕方なく回収したと言わざるをえないほどに、残念な品質の武具たちであった。


(ひとまずは、戻るか……)


 ダンジョンには窓がない。

 一度、中に入ってしまえば、外の様子が全くわからなくなるため、自分がどのくらいそこにいるのかという、時間の感覚が失われてしまう。


 まだ昼になったばかりという気もするし、すでに日没であってもおかしくないとも思われる。

 いずれにせよ、これ以上、荷物を増やすのは危険だろう。

 今のレイヴンの力では、身軽に動けなくなってしまうからだ。

 レイヴンは、ゆっくりと来た道を引き返していた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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