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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
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57 リベンジマッチ

 アヤネの奇力器(ききりき)が復活するまでには、丸2日かかった。この間、攻略組が18層に到着したといううわさは、だれも耳にしていない。


 もっとも、奇力器(ききりき)の状態は、外部から確実に調べられるものではないため、アヤネの感覚だけが頼りであり、本当にエネルギーが溜まったのかを、判別する術はない。


 再び羅刹(パシアー)と相対する別解組。

 当然のようにトロルの腰は完治していたが、今度のレイヴンたちは、集団から飛び出すことをしない。


 いかにも落ち着き払った様子で、アヤネの状態を見ている。


「頭部にあてれば、それだけで勝てる」

「っていうか、そうじゃなきゃ倒せないでしょ。あたしたちにできることなんか、ほとんどないって」

「は、はい……」


 レイヴンたちの言い方では、アヤネがプレッシャーを感じてしまうだろうと、リョウスケは苦笑いを浮かべながら、少女の肩に手を置いた。


「失敗したら、また挑戦すればいいだけだから、気楽にいこう」

「はい、リーダー!」


 昨日の調子では、どうなることかと思ったが、一晩経ったことでリョウスケも心の平穏を取り戻したらしい。さすがに、年長者だけあって気配りがうまいと、レイヴンは舌を巻きながら、二人の顔を眺めた。


 深呼吸。

 真剣な表情で、アヤネが弓を番えていく。

 直後、奇力器(ききりき)の力が解放され、弓幹(ゆがら)が異様にたわむ。その姿は三日月を通り越して、もはやUの字に近い。


 ずどん。

 弦から離れた矢が、一直線にトロルへと向かっていく。

 対する羅刹(パシアー)も、アヤネの攻撃を覚えていたのか、腕を前に伸ばして初めてまともに防御の姿勢を取った。


 轟音。

 手のひらに直撃した矢は、桁違いの威力で手首から先を吹き飛ばすが、トロルの顔面にダメージは一切入っていない。


(クソっ……)


「「まずいね」」


 また倒せずに撤退かと、喫緊の問題にいら立つレイヴンとは対照的に、リョウスケとヴァリーラは深刻な声音で独り言ちる。


 数秒考え、ようやく意味を理解したレイヴンは、隣に佇むネヴェリスカの肩をつかんでいた。


「今ここで決着をつける!」


 反射的に駆けだしたネヴェリスカだが、状況を理解したわけではない。詳しい説明を求めようと、レイヴンの横顔に視線を送った。


「どういうこと?」

「ちょっとずつだが、たぶん羅刹(パシアー)は学習していっている! 今回も倒せなかったら、次に遭うときはもっと面倒な状況になっているってことだ!」


 ヴァリーラといい、リョウスケといい、頭の回転の速さが尋常ではない。

 たった一瞬で、そのことに気がつけるものなのかと、レイヴンは内心、舌打ちをしていた。

 自分が事態の重要さを理解できたのは、あくまでも先に二人がつぶやいていたからだ。

 きっかけがなければ、今もネヴェリスカと同じように呆然としていただけだろう。


(だが、どうする?)


 倒すと決めたはいいが、具体的な戦術を考えていたわけではない。

 レイヴンはその方法に悩んでしまい、口元に手をあてながら黙りこんだ。

 だが、ネヴェリスカはそんなに真剣に考えるものではないと、レイヴンに向かって肩をすくめた。


「要するに、あいつに防がれないようにすればいいんでしょう? 切り落としちゃいましょう、両腕」

「なっ……」


 乱暴なやり方だが、たしかにそれが確実だ。

 そう言うと、ネヴェリスカはレイヴンの胸を小突く。

 まるで、あまり一人で気負うなとでも言外に伝えているようだ。


「……」


 その動作で、思っている以上に己が緊張していたことを自覚したレイヴンは、ゆっくりと息を吐いて肩の力を抜いた。


「やるぞ!」

「ええ、簡単よ」


 自分に言い聞かせるように、ネヴェリスカはウィンクをしてみせた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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