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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
41/115

41 茶々を入れるハーピー。

 ケンタウロスが弓を番えると同時に、リョウスケは後ろを振り返って、その対象を目視で確認していた。直観で、レイヴンを狙っているのではない気がしたからである。


 予感は的中。

 そのターゲットがネヴェリスカにあることに気がつくと、リョウスケは仲間に的確な指示を飛ばす。


「ユウト!」


 阿吽の呼吸。

 それだけで内容を理解したユウトが、放たれた矢の軌道をずらすため、持っているダガーを下から軽く振りあげた。


 かきん。

 甲高い音が鳴って、矢が明後日の方向に飛んでいく。

 おおかた、ダンジョンの壁にでもぶつかったのだろう。

 それと同時に、槍を持って詰め寄るケンタウロスの前に、リョウスケが盾を構えて躍り出た。敵の突進を、正面から受け止めようというのである。


 矢の軌道をずらす。

 その行動を取ったがために、わずかに周りから注意のそれたユウトに対しては、ここぞとばかりにハーピーが急襲していた。


 ここは広間のように吹き抜けた空間だ。

 今までのように天井の低い通路に、ハーピーを誘いこんだわけではない。

 持ち味の空中移動を、ハーピーは思う存分に披露できるのである。上下左右、どこにも死角のない攻撃をフルで発揮されようものなら、骨が折れるどころの騒ぎではないだろう。防戦一方になりかねない。


「ん――!」


 とっさにユウトは腕をクロスして頭を守ろうとするが、あのままではエネミーの鋭い爪を防げないだろう。ハーピーなら、とっさに傷つける部位を変更するくらい、簡単にやってのけるはずだ。


 だが、ハーピーがユウトに接触することはついにない。

 エネミーの降下に合わせ、レイヴンが愛剣を投擲したからである。

 横目で武器の飛来を確認したハーピーが、空中で停止。

 そのまま上空へと高くたかく引き返していく。


(つくづく、後手に回されるな……)


 投げた剣はケンタウロスの脇に落下していた。

 直後、爆発するような轟音が辺りに響き渡る。

 レイヴンの得物ではない。

 リョウスケとケンタウロスとが接触したのだ。


「ふぬぅ!」


 独特の掛け声とともに気合を入れたリョウスケが、相手の勢いを封じこめる。


(……さすがだ)


 羅刹(パシアー)の攻撃にも耐えていた男なのだ。

 この程度の衝撃であれば、受け止めることなど朝飯前だろう。

 レイヴンの武器は遥か先。

 自分で投擲したのだから、手元にないのは当然だったが、拾いに行くためには、かなりシビアにタイミングを計らなければならない。


 間違いなく、足元の得物にケンタウロスは気がついているだろう。

 不意を衝かなければ、飛び出した瞬間にカウンターを食らうことは、目に見えている。


「……」


 正直なところ、遠距離で戦えるプレイヤーがほしかった。

 そうすれば、今のような状況にも難なく対応できただろう。もっと言ってしまえば、このように追いこまれることも、あるいはなかったのではないか。


 ないものねだりをするレイヴン。

 一瞬だけ、場の空気が硬直する。

 リョウスケの陰に隠れていたヴァリーラは、その膠着を見逃さず、素早く前後を見渡すと、いまだ状況を把握できていないネヴェリスカを、自分のもとに呼び寄せていた。


「姉さん!」


 反射的に翻すネヴェリスカ。

 妹に何かあったのかと顔が曇るが、ヴァリーラの様子から違うことを察する。おまけに、移動して来る間に、レイヴンの恰好を見て、何が起きたのかを大体理解したようだった。


「オッケー。あたしが剣を取りに行く。前のやつをお願い」


 ユウトとレイヴンの肩を小突き、ネヴェリスカが持ち場を交換する。


(……なるほど。俺とユウトが拾いに行くより、たしかにネヴェリスカのほうが確実だ)


 リョウスケが相手を抑えているとはいえ、後ろのケンタウロスは前のやつとは異なり、まだ無傷だ。


 万全のケンタウロスから隙を作るよりも、戦力として低い手負いの相手をしているほうが、いくぶんは仕事が簡単だろう。ネヴェリスカが役割を代わってくれるならば、得物の回収もしやすい。


 無口だが、ヴァリーラの指摘は鋭いものだった。


(よく周りを見ている……)


 彼女の冷静な判断力に驚かされながらも、レイヴンは、ユウトとともに前のケンタウロスへと向かっていく。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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