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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
23/115

23 図らずも、連携。

 今までずっと一人で行動していたレイヴンには、わかるはずもなかったことであるが、エネミーには、一番最後に攻撃して来たプレイヤーを、優先して狙うという性質がある。


 ネヴェリスカたちの戦いを見物している間に、レイヴンはその習性を学びとっていた。


 レイヴンが前へと飛び出していく。

 それを目視したリーダーは、慌てて制止を呼びかけるが、当然ながらレイヴンはそれに応じない。むしろ、それに呼応するようにして、ネヴェリスカもまたオークに迫っていた。


 彼女の加勢を横目で見て取ったレイヴンが、すばやく要件を伝えていく。


「ネヴェリスカ。悪いが、あんたにはオークの的になってもらいたい。俺じゃ、やつの動きに対応できないんでな」


「ヘイト管理ってことね。オッケー! 本来、それが乱疾剣士(フューリー)の役割だよ」


 リーダーがオークの攻撃を受けていたのは、あくまでも、その背後にネヴェリスカとユウトがいたからである。言い換えれば、彼らを狙っていたはずの斧を、リーダーが代わりに食らっていたにすぎない。


 だから、レイヴンが攻撃した直後に、すかさずネヴェリスカが追撃を入れれば、オークの目標は彼女に移る。そして、それが可能なほどに、ネヴェリスカの身体性能はずば抜けているのだ。


 ネヴェリスカの攻撃。

 ユウトに移っていたターゲットを、自分に戻すためのものだろう。

 鬱陶しそうにオークが腕を払うが、ネヴェリスカはすでに後方で待機している。完全に無駄な動きだ。おまけに、次の刺突をかまそうと、彼女は余裕で待機しているのだから、羅刹(パシアー)がもてあそばれていると言ってもよかった。


 ネヴェリスカの構えは、レイヴンの状況に対応するためのものに違いない。

 それを受け、レイヴンは思いのままに剣を振るった。

 自分がどのように攻撃を行おうとも、ネヴェリスカがそれに合わせてくれるという、確信があったからである。


「うりゃぁあああ!」


 レイヴンの一撃と、ほぼ同時にネヴェリスカが肉薄。オークの足元を数回切りつけて、再び明後日のほうに抜けていく。


(……。わかっていたことだが、間近で見ると本当にやべぇな。この女、マジで人間かよ……)


 化け物じみた動きに、レイヴンは苦笑いを禁じえない。

 このままのペースなら、本当にオークを倒すこともできるのではないかと、二人の間に期待が芽生えたとき、羅刹(パシアー)はこれまでとは異なる構えを見せていた。


 斧をだらりとぶらさげたまま、その場で固まったのだ。


(……チャンスか?)


 隙を与えてくれるというのであれば、これに乗らない手など存在しないだろう。

 レイヴンが追撃を行おうと剣を握りなおせば、ネヴェリスカが悲鳴のように鋭く声をあげていた。


「踏みこむな!」


 反射的に留まったレイヴンが、何事かと彼女のほうに目を向ける。

 オークの目標になっているネヴェリスカは、恐るおそる距離を縮めながら、レイヴンにその訳を話した。


「たぶん……カウンターだ。すごく嫌な感じがする。あたしでも避けきれないと思う」


 一発は食らってやるが、同じように一発は必ず食らわせてやる。

 そういうことなのだろう。

 ネヴェリスカでダメなら、もはやどうすることもできない。彼女以上に回避に特化しているプレイヤーは、見つけようと思っても逆に難しいだろう。それほどまでに、ネヴェリスカは正直異常だ。


 加えて、この間に逃げるという選択肢もない。

 それをしようとすれば、即座にオークがカウンターの構えを解いて、追って来るだけで状況は変わらない。むしろ、逃げるに際して、余計にこちらが体力を消費するぶんだけ、戦況が悪くなるくらいだ。


 しかし、逆の見方をすれば、最後の切り札を使わせる程度まで、羅刹(パシアー)を追い詰めることができたとも言える。


 ここさえ乗り切れれば、全員で無事に罠場から避難できるようになるのだ。

 それがわかっていて引き下がることはできないと、レイヴンは再び強く剣を握った。


「今のターゲットは、ネヴェリスカで間違いないな?」

「うん、そうだけど」

「じゃあ、大丈夫だ。俺がやつの首元に、風穴を開けてやるよ」

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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