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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
21/115

21 羅刹

 自分を心配する声に、レイヴンはかろうじて首を動かす。

 近づいているのは全部で4人。てっきり1人だけかと思ったが、どうやらパーティーのようだった。


「赤い……オーク! 羅刹(パシアー)だ! みんな、くれぐれも心してかかれ!」

「「了解!」」


 レイヴンに話しかけた男と同じ人物の合図で、みんなが一斉に陣形を組みはじめる。

 手慣れた動きだ。

 パーティーの構成は、男と女がそれそれ2人ずつ。その中の1人が、レイヴンのもとへと小走りで近寄って来ていた。


 とても長い髪の女である。

 素早くレイヴンの状態を確認した女は、彼の装備を乱暴にはがしながら、簡単な治療を行っていった。


(すごいな……。医術の心得があるのか)


 この世界に白魔法と呼べるものはない。それどころか、魔法と呼べるような奇跡は、ダンジョンの言い伝えを含めても、数えるほどしかないだろう。


 どのようにして彼女が、それらの技術を学んだのか。それはレイヴンの想像できない領域にあったが、少しだけ彼女のおかげで体が楽になったような気もする。きっとそれは、パーティーという助けが来てくれたことで、心理的な負担が大きく軽減したという点も、多分に影響していたはずだ。


 彼女に支えられるようにして、ダンジョンの壁に背をついて座ったレイヴンが、パーティーの様子を窺う。


 応援は心強いが、オークの強さは尋常ではない。並みのプレイヤーでは歯が立たないのではないか? レイヴンの心配は、そんなところにあった。


(……速いっ!)


 部分的に見れば、レイヴンの不安は杞憂におわったと言えただろう。

 髪を短く切りそろえた女の動きは、別次元のふるまいに至っていたからである。

 速すぎるのだ。

 レイヴンに一瞬で肉薄したはずのオークが、まるで女に対応できていない。

 狙いを定めて剛腕を振るっても、すでに女は、別の角度からレイピアをオークに突き立てている。

 無論、完全に圧倒しているというわけでもない。

 その戦闘スタイルの特徴なのだろうが、エネミーにダメージを与えることには、あまり成功していないように見える。それでも敏捷性という点に絞れば、レイヴンとは比べ物にならないほどの、驚異的な運動性能を発揮していた。


 彼女がオークの攻撃を受けることは、まずないだろう。

 そう思った矢先、彼女がいきなり反転して、パーティーのもとまで合流していた。


(何をする気だ……)


「思ったより、のろまじゃなくてちょっと大変。少し、休憩させて」


 リーダーと思わしき男に告げれば、彼は即座に、盾をどっしりと構えて全員の壁となる。

 それを見るにつき、オークも両腕で斧を振りかぶりながら、男へと詰め寄りはじめた。


「わかった。しばらく、俺がやつの攻撃を防ぐ。その間に、ユウト、お前が攻撃してくれ」

「ちょっと無茶を言わないでくださいよ! 僕の専門は偵察と不意打ち。あくまでも、雑魚の数を減らすのが仕事なのであって、あんな大物の相手なんか、僕に務まるはずがありませんよ!」


「それでも、お前しかいない!」


(火力……不足か)


 レイヴンから見ても、パーティーの質は非常に高いものと言わざるをえなかった。

 おそらくは、ユウトが斥候としてルートの判断をしつつ、避けられない戦いがあれば、ショートカットの女とリーダーとで、相手を仕留めるというのが、これまでのやり方だったのだろう。万が一、負傷しても長髪の女が控えている。逃げることさえできれば、パーティーが全滅する恐れはない。


(俺を助けるため……か?)


 このパーティーの方向性からして、無茶なことはしないはずだ。

 今の状況は、明らかに恣意的な選択によるものだろう。

 ダンジョンの通路に、自分の足跡などあってないようなものなので、どうやって彼らがレイヴンの存在を知ったのかは不明だが、まず間違いなく、救援のために無理をした結果が現状なのだ。


 リーダーに接近したオークが斧を振りおろす。

 どがん!

 これまでに聞いたことがないような衝撃音が響いたが、リーダーの男は、その攻撃にほとんど無傷で耐えていた。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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