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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
前編 ダンジョンの謎と別解組
20/115

20 罠場

 その場所に足を踏みいれたとき、確かな違和感をレイヴンは感じとっていた。

 しかし、先を急ぐレイヴンは、それをただの気のせいだと一蹴し、深く考えることをしなかった。

 だからこそ、その気配が、ごまかしようのないほどに濃くなったときには、すでに手遅れの状態にまで陥っていた。


 眼前に現れるは赤色のオーク。

  醜い顔も、特徴的な斧も、明らかにそれがオークであることを物語ってはいたが、そのエネミーは3つの点で異常だった。


 まず、大きさだ。

 通常のオークは、レイヴンよりも一回り大きい程度で、背丈がそれほど高くはない。そうだというのに、目の前のオークは明らかに2m以上もあり、今までの常識にはあてはまらないのである。


 2つ目は体の色だろう。

 オークは緑色をベースにしたエネミーであって、こんなふうに全身を真っ赤に染めあげてはいない。


 そして、最後の異質さは、そのオークが単独で、ダンジョン内を闊歩しているという点だった。


(……どうなってやがる?)


 オークの厄介な点は、一定の社会性を持つこと。言い換えれば、群れで行動することに、プレイヤーにとっての障害がある。


 しかし、今、レイヴンに立ちふさがっているオークは、何度見ても一体だけであり、どう考えてもこれまでとは別種の存在だった。


(上位個体……? いや、そんなはず……)


 同じ種類のエネミーに、ハイレベルなものがいるなどという話は、うわさレベルであっても聞いたことがない。


 わけもわからぬままに、レイヴンが相手に対する恐怖から距離を取ったとき、いつかのゴールドマンの台詞が、自然と思い起こされていた。


『ダンジョンには正しいルートというものがあるとされる』


 正解の道。

 実際、その経路が、最もエネミーとの遭遇確率が低いことは、プレイヤーの間では広く知られている事実であった。


 では、それとちょうど反対に、不正解の道順であった場合にはどうか?


「クソっ! ここが例の――」


 あるのだ。

 数多の侵入者を排除するためだけに作られた空間が、一部のハズレには設けられている。

 それが罠場と呼ばれる場所であることは、レイヴンも知識としては知っていた。

 今の今まで、そんなものがあるなどとは微塵も信じていなかったが。


(やべぇ……)


 赤いオークから、決して目を離さずに後退をつづけるレイヴンだったが、次の瞬間には、体が上に跳ねあげられていた。


 一瞬で肉薄したオークに、アッパーを食らわされたのだ。


(マジ……かよ)


 天井に衝突したレイヴンが、そのまま自由落下の動きを見せる。

 それを待ち構えるように、オークは拳を固く握りしめていた。

 裏拳。

 どうにか剣を前に出して、レイヴンは相手の攻撃を防ごうと努めるが、腕が弾けるのではないかという衝撃に耐えることはできず、ダンジョンの通路をスーパーボールのように反発しながら、後方へと大きく殴り飛ばされていた。


「ゲホ……ゴホッ」


 威力が違いすぎる。


(本当にまずいって……)


 間違いなく、体の深部までダメージを負った。

 たったの二発でこれだ。

 もう動けない。

 次の一撃で、とどめを刺されるだろう。

 最後まで戦う意思を見せようと、そばに落ちていた愛剣を握りなおすように努めるが、もはやレイヴンの体に、それだけの力は残されていなかった。


(姉ちゃん……ごめん)


 だが、まだレイヴンのことを女神は見捨てていない。


「大丈夫か!」


 何者かが、レイヴンのもとへと駆けつけていたのである。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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