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奇跡を叶えるダンジョンと、レイヴン――遺志を継ぐ者 16,000PV感謝!!!!  作者: 西芭企画
後編 白塔の攻略と、奇跡の正体
105/115

105 意趣返し

 いくらリョウスケが、鉄壁の守りを有しているとはいえ、ハーメルンの突進を真正面から食らうのは、さすがに危険なのではないか。もちろん、ヴァリーラとて、リョウスケが一発でダウンさせられるとは思っていない。しかし、一度や二度であれば、微小な影響しか持たないとしても、15層の羅刹(パシアー)が、そう簡単に倒せる相手でないことは、すでに嫌というほど理解できている。おのずから持久戦を想定しなければならない以上、あまり何度も攻撃を受けるのは、後々のことを考えると、やはり得策ではないだろう。


 リーダーの姿を心配そうに見つめるヴァリーラだったが、幸いにして、あのふざけた威力の突撃をして来るそぶりは、中々に見られない。突進に際して、エネミーとしてのライカンスロープ――すなわち、味方を巻きこむ恐れがあるためだからかとも考えたが、すぐにヴァリーラは首を横に振って、自身の思いつきを否定していた。


 特別な事情がないならば、これらのライカンスロープは、ハーメルンによって生み出されたのだと捉えるべきだろう。そうであるならば、仮に仲間を失ったとしても、また作りなおせばよいだけだ。彼らに配慮する意味合いは、いささか小さいと言わざるをえない。第一、ハーメルンが不用意に味方を傷つけるのを、同族意識から嫌がるのであれば、最初の突撃も躊躇していなければ不自然ではないか。ライカンスロープが巻きこまれることは、むしろ今のほうが少ないはずだ。移動距離も短くて済むのだから、それだけ犠牲の数も低くなる。


 そうであるにもかかわらず、現にハーメルンは突進を使って来ないのだから、理由はほかにあると考えられるだろう。つまりは、ターゲットと離れているときにしか、その技は使用しないのだ。


「……」


 ヴァリーラが分析をしているうちに、付近のライカンスロープをしとめたネヴェリスカは、羅刹(パシアー)から大打撃を与えられて抱いた憤りに身を任せて、後先を考えずに遺裂(レリック・ブラスト)を発動させていた。


 なるほど。たしかに、聖密光(ザ・ライトニング)の大剣であれば、いかにハーメルンの影潜(シャドー・ダイブ)が優れていようとも、回避するには至らないだろう。羅刹(パシアー)が影に隠れるよりも早く、ネヴェリスカは光の剣を顕現させられるからだ。


 だが、それは同時に、ネヴェリスカの奥義が、確実に決定打となりうることを意味している。

 一撃のもとに羅刹(パシアー)を両断できる公算は、かなり低いのだ。光の大剣は、ハーメルンにとどめを刺すときまで、残しておいたほうがよいのではないかと、どうにかネヴェリスカを押しとどめたレイヴンは、ヴァリーラに判断を仰いだ。


 ちらりと、彼女は姉を一瞥してから、レイヴンに向かって口を開く。どうやら、レイヴンのように単純な戦闘場面だけで、判断するのではなく、ヴァリーラは、制止させたときの姉への心理的な影響も踏まえて、一件に答えるようだった。


「う~んと、まず何よりも抑えておかないといけないのは、このハーメルンを、一回のアタックで倒す必要はないってこと。こっちが撤退すれば、向こうも再戦のときには、今日の戦いから学習しているんでしょうけれど、姉さんの聖密光(ザ・ライトニング)が回避不能であることは、遺裂(レリック・ブラスト)の効果を理解したところで変わらないわ。どんな羅刹(パシアー)であっても、瞬くよりも早くに出現してしまう光の剣からは、決して逃げられないもの。学んでどうにかなるような代物じゃない。だから、とどめに使うっていうのは、二回目であってもおんなじのはず。おまけに、こちらはすでにアヤネの奇力器(ききりき)を一度、無駄にしてしまっている。初回での討伐はあきらめて、今のバトルを様子見にするっていうのは、割かし現実的な選択肢じゃないかしら。それも加味して考えるなら、意趣返しに聖密光(ザ・ライトニング)を放つっていうのも、そんなに悪い判断じゃないと思う」

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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