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奨学金減免帰省の裏技で結婚する話

作者: ぶんかなっとう

 地元に帰って結婚出産をすることにした。

 奨学金が免除されるからだ。

 約500万円を20年で返済。大学卒業してから5年、100万ほど返済してきたが今回の結婚でチャラになる。

 相手は地元の男性。

 一応は同居して籍を入れることになっている。

 周囲にはできちゃった結婚ということで出産を来月に控えている。

 形ばかりの披露宴をやるが、私の方の出席者は全て納得している。

 つまり偽装結婚ということを。

 半年経ったら別居という形で元の都会へと戻る。

 子供は以前から付き合っている彼との間にできたもの。

 そして時機を見て離婚。そして再婚という予定だ。

 今回地元で結婚してくれる男性はいわゆるゲイということだが、周囲にはカミングアウトはしていない。

 親とはしばらく縁を断っていて今回の結婚は知らないようだ。

 ただ勤め先に一般的な男性としていなければ都合が悪いらしい。

 私のように奨学金減免のために偽装結婚をするのは既に常識になっている。

 せっかくの制度なら利用しない手はない。

 専用のサイトがあるくらいだ。といっても普通のマッチングアプリだが条件がいろいろある。

 奨学金の証明と支払い状況と職業などになる。

 男性の多くはゲイなどが多いが、なかには悪意のある男も混ざる可能性があるのでしっかりチェックしているようだ。

 それでも心配なら同じマンションでも違う部屋とかにしてもいいだろう。

 今回の男性は一度都会に出ていたが地元に帰ることで結婚できるようになった。

 つまりお互いとも都会での暮らしが本来のもの。

 地元での生活は高校を卒業以来だから10年ぶりになる。

 仕事を探してみたがさすがに高学歴の女性を雇うところはなかった。

 いくつか面接を受けたが、履歴書を見ながら「うちではもったいないから、もっといいところへ」と言われたり「高学歴な人に払えるだけの給料は出せない」とか色々理由をつけられて断られた。

 私は英語が得意なので生かせればよかったが、せいぜい一般の事務か販売。

 まあ予想はしていたから落胆はしていない。

 さらに出産後に勤められるかどうかも確認したが全てダメだった。

 短時間勤務もできないし、早退や預けた子供の緊急事態での退社などできるはずもなく、お腹の大きい姿で現れただけで不快感を隠そうともしない人事担当者もいたくらいだ。

 さすが逃げ出したくなる我が地元。

 だからしばらくは育児に専念することにした。

 幸い相手の男性は協力的なようだ。

 重い体の私を労わって、率先して家事をしてくれるのでありがたい。

 全ての偽装結婚でそうではないだろうから相手に恵まれた。

 男性は私との離婚後に同じような女性と再婚するようだ。

 ただ相手の都合で数年先のようで、相手も女性だが中身は男性ということらしい。

 その彼女も奨学金免除のために結婚するのだが、男性との間に子供は作っておきたいようだ。

 だから結婚生活をどうするか相談中なようで、今回の私との生活がお試しのように一度経験して参考にしたいらしい。

 今回の地元出産で想定外だったのが産院の少なさに驚いた。

 だから妊娠判明時からの都会の産院で産むことにした。

 立ち会うのは父親の彼。

 退院したら地元に戻るが、彼は毎週来てくれる約束をしている。

 彼は相手の男性とも仲よくしてくれているので、互いに何かあった場合の連絡もしてくれるそうだ。

 さて体が動けるうちに離婚届や各種手続きの準備を済ましておきますか。


 こうして結婚数が上がり離婚率が上がったが、地方の人口は減る一方になった話。


 

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