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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
82/84

速い

「まって! ちょ、ルビー、速い速い!」


 前にいるルビーにしがみつく。


「『速く』ですね! かしこまりました!」


「ちがああああう!」


………………


 ヘロヘロになって地面に座り込む。目が回る、そのせいで頭もいっしょに回る、気持ち悪い。なんでルビー全然へっちゃらなの……?


「だ、大丈夫ですか……?」


 ハンドル持ったら性格変わるやついるのに、ルビーは手綱持ったら性格変わるのか……いや内側に抑えてるのが出てただけか……


「いちおう……」


 馬に乗れたら便利とか言うけどさ、最初に出すスピードじゃないよ。あんまわからないけど競馬レベルのスピード出てたんじゃないのこれ?


 目が回るのが多少ましになったところで立ち上がる。まだ足が少しふらつく。ただすぐにルビーが支えてくれた。


「あの……本当にすみません……」


「俺は大丈夫だって」


 うつむいて声をだすルビーに肩に手を置いてそう返した。


「ありがとうございます、タカハル様。……その、馬はどうでしょうか……?」


「うーん、すぐには最低限安全なくらいに乗れそうになさそうだしな。行って帰ってきてからだな」


 そう言うとルビーの視線が下に向かってしょんぼりする。ルビーの頭を抱えて「練習するから、ルビーの提案は無駄じゃないから」と慰める。

 ――もうちょっと俺に身長があればルビーも顔をうずめられやすいんだけどなあ。


……………


 その日の午後、城を出た。目指すは北東、馬車で半月くらいなら車だともう少し早くなる。二週間くらいの予定。

 で、車の移動で登場人数増えててデーナも乗せていく。前のアゲートみたいに忌避させてしまうようなのは避けたい。でスティフもいるんだが……


「まだ?」

「町出るまでっつたろ! お前に街中運転させられるか!」


 運転手の交代は必要、だけど運転能力高いのが俺とスティフくらい。アゲートも練習して事故は起こさないくらいになった。俺とアゲートとスティフで回してくんだが、スティフは平原くらいしか運転させない。絶対事故起こすだろ。



 ……王都を出てスティフと交代する。スティフがハンドル握った瞬間、鏡に映っているスティフの目つきが変わる。ああ、もう覚悟を決めろ、そう俺は今アトラクションかなんかにのって――


「だあああ! いくらなんでも速すぎだアホ!」


「何言ってんだい、Mr.タカハル。High speed is the romance of men」


「ハイスピードは男のロマンじゃねえよ!! 人格変わりすぎだろ! なんなの!? 手でハンドルからなんか薬物でも摂取してんの!?」


「タカハル様、楽しいですねこれ!」


「毎回こんな移動してられっか!?」


 ルビーは思いっきり楽しんでる。それはそれでいいんだけどさ……

 マジでなんかのアトラクションかってくらい暴れてる。ちょっとしたカーブの度にドリフトしてくる。安定させるために重心は結構下の方になりような構造だけど……壊すなよ……


………………


「おい、スティフ。もう町が近い、もう変われ」


「いや、大丈夫だって、僕にまかせ――」


 後ろの席からスティフの頭を掴む。そのまま()()()()()()魔力を流す。するとスティフの体が震える。


「変われ」


「わかったわかった、やめて! 気持ち悪い、吐く!」


 そのまま大人しく席を移動する。それでいい。それでアゲートが自分がやりたいと言ったので頷いて了承する。その運転はかなり安定していた。こういう安全運転でいいんだよ、別にレースしてるわけじゃないんだから。


 しばらくして領主の館まで着いた。そのまま用意された部屋まで行き、ベッドに倒れこむ。


「予定よりかなり早く着きましたね」


「スティフのせいと言うべきかおかげと言うべきか……」


 昼、そして夜から朝まで泊まるために一日二つ領主や貴族の館を訪れる。

 今回かなり早く着いた、昼食には早すぎる。ただいくら急いでも泊まるところは変わらないんだ、ゆっくり移動してくれよ。

 そんなのいくら考えても無駄だと結論づける。あいつにちゃんと言い聞かせるのは俺には無理だ。



 ――こっちに来て、色々あったけど、騒がしいくらいに楽しくなったな。

 色々嬉しいことも辛いこともあった結果なんだよな。


 …………もし、あの時助かってたら――いや、やめよう。




 目を閉じてしばらくすると右手に少し圧力がかかる。

 隣に横たわるルビーの手が暖かった。




………………



 十日後、俺らはまたスティフの運転に振り回されていた。ただ、行きはこれで最後。……まだ帰りあるのか……


 憂鬱な気を抑えてアゲートの安全運転に揺らされつつ領主の屋敷に向かう。


「それにしてもすごい壁だな」


 漫画などと差し支えない程の石壁が町の周りに建っている。


「竜が襲ってきますから。山方面の防衛は強固なものとなっています」


 隣にいるルビーが話した。

 たしかに山と反対方向はそこまでじゃない。それだけ山からくる竜がやばいのだろう。山の雰囲気だけでもすごい、植物だけでも普通より相当大きいことが離れてるところからでもわかる。それだけ栄養があるってことか。


 あと、ここにいる人みんな体格がすごいな。今まで見てきた農家の人と比べて、かなり。まあこんな過酷なところに最初に住むような人は筋肉量多い人じゃないと厳しそうか。


 ――いつもは目にしない建物が目に入る。かなり大きい建物がある、石で作られているまるで砦くらいの大きさだ。そこへ何人も出入りしている。荷車を使っている人もいる、だが何の荷物まではわからない。


「あの建物は――何の施設なんだ?」

「竜の解体所ですね。町に降りてきた竜を討伐したらそのまま使えるものは加工するんです。中で鱗から血の一滴まで使いますので」


 血とか何に使うんだろう、ゲームとかだと素材になったりするけど、普通爬虫類の血とか用途無いよな。カブトガニの血は薬になったりしたっけか。でも流石にそれとは別だよな。……竜は全部魔物だからやっぱる魔法的な用途か? そこら辺の道具類とか全く調べてないんだよな。落ち着いたら調べるか。


 そういえば、ルビーってこういうの詳しいな。あと戦闘系。科学、数学とかの話になると顔しかめるけど。


「どうかなさいましたか?」

「いや、ルビーってさっきのみたいのとか詳しいんだなって」

「これくらいなら当然です。それに王族ですから教わったことは多いので……」


 ああ、確かに王族なんて英才教育すごいだろうな。


「それに護衛になるには学識を必要としますから。ルビー様はそれだけ苦労されたようなので」

「ええ、死ぬかってほど頑張りました」

「すごいな、俺だったら多分逃げ出してるよ」

「いやいや、タカハル様の方がずっと多くのことをご存知じゃないですか」


「俺は、好きなことだから。――嫌いなことからはほとんど逃げてるよ」

「要領がいいってことですね!」

「そうか?」


 そんな会話で狭い空間の中、笑い声があったりしながら屋敷に到着した。

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