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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
73/84

楽をするために苦労する

 ようやく帰ってきた。気がつくと肌寒さがある季節になった。日本よりも気温が年中気温が低いのは確実だな。


 スティフが体を伸ばしながら話し出す。


「あー、疲れた。僕は早く部屋に戻って休むよ」


 城の中へ歩き出すスティフに首根っこ掴む。


「え?」

「休ませねえよ。まーだ昼間だろ? 大丈夫ちょーっとしか時間取らねえから」

「その顔でちょっとと言われても信用できないなあ……」


「フローラもだ、手伝ってくれ」

「了解です! 今度は一体何を?」

「ここじゃあ言えねえな」

「あはは……出たよタカハル君のゲス顔……」


 気がのらないスティフと、興味津々と対照的な二人を連れて中庭の研究室へと到着する。

 中へ入るやいなやフローラが顔を近づけて聞いてくる。


「それで一体全体何をなさるおつもりで!?」

「近い、一旦落ち着け。……戦争六百年、それよりも昔から人類が踏み入れられなかった領域……」


 その場にいる全員が息を飲む。


「俺らはその領域――空を掌握する!」


「空……ということはあのローブ魔法使いのように……?」

「いやルビー、そんなちゃっちい低高度なんかじゃねえ」


「ってことは飛行機……!?」

「ブー! 残念スティフ、違いまーす!」


「……僕君になんかした……? じゃ、なくて。それじゃあどうするのさ?」


「俺らが今から作るのは……気球だ!」


 俺とスティフ以外が首をかしげる。


「作れるの!? この世界で!?」

「ああ作れる、飛行機より全然楽だ。なにしろ俺の父主催【マンガ完全再現、ゼロから気球を作って飛ばそうイベント】の参加者だからな」


「と、飛ばせたの?」

「残念、国の許可がおりませんでした」


「それじゃあ飛ばせるかわからないんじゃ……」

「飛ぶ」


「――根拠は……?」


「俺の父さんが言ってた。」

「……それだけで君みたいな理屈屋を信じさせるんだね?」


「ああ、科学()()なら世界で二番目に信用できる。」


「含みのある言い方だね……しかも二番目なんだ」


「流石の父さんでもコンピューターには勝てねえ」

「あぁ、そういうことね」


 かのノイマンも現代にタイムスリップしたら悔しさと嬉しさで涙を流すに違いねえ。


「ま、んなことどうでもいいんだ。計画を説明するぞ」


 紙を机に開く。


「まずは、とういうか九割方重要なのは大量の布が必要だ」


「それだったら簡単そうじゃないかい?」

「いえ、そうはいきません」

「ああ、サティエルの言う通り、俺も最近わかった」


「大量の布をそう簡単には用意できないっす。それにそれを作るための糸、さらにそれを作るための羊毛も棉も、もちろん絹もそんなにないっすからね」


「ああ、俺らの世界みたいに大量生産はされてねえんだ。で、使うのは麻だ」


 収納棚の奥から一本麻を取り出して話す。


「へー、それが布になるのかい?」

「こんなのじゃ布どころか糸にすら足りないがな。 量があれば布になる。で、その量は国全土から自生してる麻を大量に掻き集め中だ。報酬も出してるぜ」


 こうでもしないと国からの命令でも積極的にやらないだろうからな。


「麻から糸を作るのは作業は単純だ。だが糸から布を作るのは単純さは上がるが作業量がとんでもねえ、人海戦術でも数ヶ月かかるくらいだ。が。俺らはもうちょい合理的にいこうぜ」


 そう言ってもう一枚紙を机に広げる。


「これは……!」


「俺らの世界の機構のうち再現可能なのを組みに組み込んだ織り機の設計図だ」


 身を乗り出すフローラに答える。


「こ、こんな緻密な……ど、どうなっているのさこれ?」


「まず三本の棒に糸巻いてこのリングに糸通す、これが経糸(たていと)な。で、ペダル踏んで奇数番目のリングを持ち上げて、密度の高い布を織るためにこのハンドルで垂直に出てる棒を操作して経糸を制御して、それで緯糸(よこいと)通すのはここで――」


「オーケー、説明は大丈夫」


「すげえな、もう理解できたのか」


「いや説明してもわからないって意味だからね!?」


 だろうな。


「ま、口と絵だけじゃ難しいだろうな」


 研究室の奥に置かれている木材を取り出す。


「だから作りながら説明する。まずは土台から作るぞ」

「了解っす!」

「勿論お手伝いします!」

「なんでもお申し付けください」


「休みたいのになあ……」


 それぞれの反応を見せる。五人もいれば簡単な土台くらい一瞬だろ。


………………


 一瞬だったな。フローラのあの計六本の腕チートだろ、本人の器用さも相まって俺ら四人の作業量超えてたぞ。あれ貰えないかな。


「……動物園にこんな感じのあるよね」

「わからなくもないが違う」


 どうでもいい感想を言ってる間にフローラが伝えていた作業を既に始めていた。

 この作業はかなりの精密さが必要になる。1cmでもずれたら動かないかもしれねえ。


「タカハル君とサティエルちゃんは何を?」

「ロウを彫ってリングの型を大量生産中。金属のこいつが何百本も必要だからな。最悪金属じゃなくてもいいが耐久性考えるとな」

「これはなかなか骨が折れる作業ですね……!」


「ルビーちゃんは?」

「この木材を大雑把に削ってフローラに渡す。あとは知らない」


「ビームとか呼ばれるやつを大きくしたやつだ」

「ビーム?」

「お前の思ってるビームではないからな。仕立てる前の糸かできた布巻きつける棒な」


 そう説明しても「わかるようなわからないような」と微妙な返事しか返ってこない。こいつが理解するのは難しいか……


「んで、次のお前の作業が……」


 まずは簡単な方のペダルから、詳しく書いた設計図と――


「おーい何そそくさと逃げようとしてんだ?」

「うげ」

「うげじゃねえ」


「必要なノコギリとかはあっちから取ってこい。フローラの近くだ」


 そう言って木の板と設計図を渡す。


「これいつまでやるのー……?」

「終わるまで。今日は夕飯の前までくらいだな。さあ働け。」

「早く休みたいのに……」

「早く仕事すれば早く終わるぞ。」

「それやればやるほど仕事増えるやつだよね?」

「なわけあるか。仕事進めてればゴールまで近づく」

「少なくとも今日終わらないよね……」


 いいから仕事しろと伝えようとしたら急に背中に質量を感じた。


「うおビックリした! なんだデーナか」

「うん、デーナだよ。なにしてる……んですか?」


 まだ敬語が拙いな。まあずっと使わなかったんだろうから仕方ない。


「織り機作ってるんだ」

「織り機?」

「布を大量に作るための機械な」

「布をそんなに欲しいの?」


 敬語が抜けてる。まあ特段気にしないが。


「ああ、そうだ。気球って空飛ぶ乗り物に必要なんだ。あ、これ秘密な。誰にも言うなよ?」

「うん! ……でも私が飛べば一人くらいなら運べるよ」

「あー……デーナみたいなドラゴンが何人(?)もいればいいんだけどな……」


「デーナ様と違ってこの世界に元からいるドラゴンは知能がないか、傲慢さが出てきて結局人間の敵になるかですからね」


 横からサティエルが話し始めた。


「過去に卵から育てて命令を聞くようにするという計画が何度かありましたが全部失敗してます」

「へー。なんかしら決定的な人と魔物の違いがあるのか? でも俺の後ろに人間味の強い例外がいるわけだしな」


 そもそも魔物と人間の違いってなんだ。ただの動物と比較して、魔石を持つことは共通している。その結果かどうかわからないが魔法が使える。

 ただ凶暴性が段違い。どの魔物も手懐けるのは無理に等しい。プラメアーさんが召喚したとかいうのは従順。


 そもそも魔石がなんだ、この世界の一般認識だと魔力の結晶と言われてるが単体の魔力が超低温ですら固体にならないことを確認した。だから何かしらとの混合物なのは間違いない。

 あるいはなんらかしらの条件があると固体になる? 


 それに魔石が知能を増すってなんだ? 植物でさえ知能を持つって、感覚器官なしにどうやって外界の情報を得るんだ? ――そう言えば植物が警報伝達を使ってる場合があるな、そもそも植物に最初から知性がないってのが早とちりだ。


 ……そもそもなぜ魔石が知能を増やすんだ? あるいは逆じゃないのか? 知能が発達しているから魔石があるんじゃないのか?


「タカハル様、手が止まってますよ」

「ああすまん、考え事してた」


 今はこの作業を進める方が合理的だ。――まだ一割くらいか。フローラがいて本当に助かるぜ。

ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。


星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)

科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)


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