試運転
王都内にある魔導科の施設。結構広い土地を有している、元々魔法ぶっ放す為にこんだけ広い庭があるんだが今回は車の運転練習。
「お上手ですタカハル様」
「まあこれくらいはな」
車内でルビーに返事をする。こっちの世界の人よりは上手いくらいだ、車の運転なんかしたことない。父さんがしてるのは見てただけ。それでも見たことない人よりは全然。
「俺よりもあいつらだろ……」
車を止めて視線を100mほど離れたところへ送る。
「フウウウウ!!!」
スティフ大暴走。車の免許は持ってたけどほぼ運転してこなかった、だけど本当は運転したかったとか。
うん、周りの人達、ナイスだった。
あと魔力供給係のサルトロはご愁傷様。
そして横に並んで飛ばしてるもう一台よ。
「あっっははははは!!!」
フローラさん。ハンドル握ったら人が変わるっていう人がいるとは聞いていたがこんな豹変するか、それに自動車なかっただろ。
あと魔力供給係のサティエルはご愁傷様。
「はあ、ちょっとあいつらには運転任せられねえな……」
「いち早く到着できそうですが?」
「勘弁してくれ」
ちなみに、その他の運転手候補の能力は三者三様。上手い人もいれば下手な人もいる。
アゲートは……
――少し遠くで追突事故が見えた。あの車は……アゲートの運転してるやつだ。
……だめっぽいな。
………………
運転を終了して護衛を集める。あとスティフともう一人いる。
「面目ないです……」
「初めてだから仕方ない」
アゲートは罰の悪そうな顔をする。御者はこいつの仕事だからな、できなくて悲しんでしまうのも当然。
――科学の発展で職業が代替わりするっていうのは俺のとこじゃ百年以上前から言われていた。……そこらへんの失業者が出てしまう対策考えておかないとな。
「そしてお前ら二人は安全運転心掛けろ。カーレースしてんじゃねえよ」
「いやごめんね。ハンドル握るのが久々で……」
「ふへへ、すんません」
スティフの横に立つ丸眼鏡を掛けた女性、フローラ。てか眼鏡あるんだ。眼鏡の発明って結構最近だと思ってたんだが、流れ転生者伝来か。
「あと、サティエルとサルトロは休んでろ」
「は、はい……」
「これが明日以降もですか……」
「魔力供給量はこいつらのことを聞かないでいいから」
すると暴走二人組が「え」と声を出す。暴走レースする必要はねえんだよ。わかったかこの世界の初代暴走族。
魔力供給量は運転手が決めるっていうのが間違いだった。これからは過度な魔力供給はしなくても良いってことにしとくか。
あと、問題は運転手と魔力供給係の相性だな。俺みたいに運転と魔力供給一緒にできれば問題無いんだが、そうでない人が多い。もしかしたらアゲートも相方次第で運転できるようになるかもしれない。
ちょっとずつ解決していけばいい。時間が沢山あるわけではないが一週間はある。
「さて、とりあえず初日の練習は終わったわけだし、教えてもらえるか? フローラ」
何について、とは言うまでも無い。彼女はゴーレム使いの転生者の子孫、その中でも最も器用な人だそうだ。それと同時に豪快だったが……
ただ彼女がとんでもなく器用というのじゃ外見からわかる。
腕が六本……いや、木と金属を使った義手を肩に二本、腰に二本くっつけている。
「あ、やっぱり気になっちゃいますよね。色々と便利でいいんですけどね。外しときましょうか?」
「いや、大丈夫だ。それよりもどうやって動かしてるんだ? ……というか、あれだな。それもゴーレムの一種だろ、ゴーレムの基礎から教えてくれ」
すると目を見開いて興奮して話してくる。
「おお! タカハル様もゴーレムに興味をお持ちで!?」
「ああうん、ある。だけど一旦落ち着け、近い」
親の仕事柄、こういうタイプはよく見てきた。なんなら親も俺もそのタイプだし。こういう人は質問してくとちゃんと答えてくれる、経験則だが。
「ふへへ……すみません。まずゴーレムってのは魔道具を組み合わせた物ですね。この腕は回る魔道具をいくつも組み合わせて作りましたっす」
そう言って義手の指をわしゃわしゃと動かす。こう……その動きは気持ち悪いな。
「ん? でもゴーレムってダンジョンにも出るんじゃないのか?」
見たことはないが。
「いい質問ですね! 実は最初の人工のゴーレムは、ダンジョンに出るゴーレムをバラして必要な部分だけくっつけたものなんです。どうしてか、ダンジョンから出るのに魔道具がついているっていう魔物とはかけ離れたものなんです。それもひとりでに動く! 色々と言われてますが、自分は魔石のある頭に何かあるんじゃないかとおもってるっす!」
「あー、魔石があると知能が上がるって法則もあるみたいだしな」
で、身体中の関節部分の魔道具をバラしてくっつけると。
「なるほどな。それで、そのゴーレムはどうやって動かしてるんだ?」
「やり方は簡単っす、それぞれに魔道具に魔力を送り込むだけっす。言うのは易しっすけど実際にやると結構難しいんです、やってみるっすか?」
彼女の提案に「ああ、やってみる」と言って頷く。すると五本の手で器用に肩についていたベルトを外し、一本渡してきた。意外と軽いな、ほぼ木でできてるからか。
試しに人差し指だけに魔力を送ろうとする。
「……あー、なるほど。勝手に他の魔道具に魔力が持ってかれちゃうのか。指定のやつだけに魔力を送るのが難しいのか」
「はいっす。まあ魔力がある程度あれば一時間あればできちゃうっす」
「「いやいやいや」」
「そんなすぐにできませんからね?!」
「簡素なものでも、数十日はかかります」
サティエルとサルトロが否定に入る。そんな難しいのか。……もうちょい頑張ってみるか。
配線のイメージだ、物質である魔力を配線にした魔力を流して魔道具に流し込む。
「あ、いけた」
「「えええ!?」」
護衛魔法組が驚きの声をあげる。
「いやぁ、さすが転生者様っす。自分でもちっぽけっすね」
「まあまあ、あいつら見る限りお前もすごいはずだし」
関節を動かしながらフローラをフォローする。
……なるほどな。
教えてもらってばかりじゃ悪い、俺も役に立てる情報は伝えてった方がいい。
「関節一個一個に魔道具につけてるよりも、効率がいい構造がある。腕掴みながら指動かすとピクピクしててわかるんだが、動物の腕は健で関節動かしてる。指の関節一個だけ動かすっていうのが難しくなるがそっちの方が力が出やすい」
「おお! ありがとうございます! 是非ともすぐにやってみようと思います」
「すぐじゃないが、ゴーレムの開発に参加させてもらいたい。返事はすぐじゃなくてもいいが、かん――」
「いいんですか!? 是非とも是非ともよろしくお願いします! あのタカハル様にご協力いただけるなんて感激です!!!」
「お、おう」
握手されてブンブン手を振られる。
ともあれこの国のゴーレムに関われそうだ。俺の一番の問題、至近距離戦をある程度カバーできるようなものが
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