対策
帰りの馬車の中、石油を積んでいる。帰ったらいよいよ飛行機だ。
馬車の中、いつもだったらガタゴトという音か話し声くらいしか聞こえなかった。だが、今回は普通に過ごしていたら聞こえない音がしている。
バリバリという異様な咀嚼音が聞こえる。
前にスティフは精霊があれをバリバリと食べることがあったと言ってたな。
魔物はそれを食べることがあるんだろう。
馬車が走っていて揺れるのによく器用に問題なく食べられるな。
右にいる少女を見て思う。
デーナが大きめのおにぎりサイズの魔石を持って、バリバリと音を立ててかじっていた。
「魔物の場合って魔石食べるのは問題ないのか?」
「うん。まずくないよ、食べます?」
「いや、魔物以外が食べるとまずいらしいから……」
「そうですか。」
デーナは魔石をかじりながら「おいしいのに」と呟く。流石に魔物化する気はない。
「そういえば、スケルトンって体動かすのは魔法だとして、知能はどこから出てきてるんだ? 脳はないし」
「魔物に関しては魔石が知能を上げていると言われています。魔物化する前と後では知能が上がっていますし、植物も知能を持つようになるんです」
サティエルが説明してくれた。人の場合は知能上げてくれないんですかね、小さいからか? 人も魔物化すると知能伸びるんだろうか。いやならないけどな。
その後は特に何事もなかった。
………………
二週間ほどで城に着いた。中へ入ると複数の給仕の人が出迎えてくれた。
だが、その中にスティフがいない。時間は昼過ぎ、俺らが帰ってくるとなったら出迎えるくらいするようなやつだ。
嫌な予感がする。
恐るおそるスティフのことを聞いた。
くたばったわけではないようだ。安心した。
だが急いであいつのもとへ向かった。
「スティフ!」
「ああ、お帰り。どうだった?」
「なんも問題ない。それよりも自分のことを心配しろ、何があった?」
ベッドに横たわり、包帯でほぼ全身を巻かれたスティフに聞いた。
――――――
タカハル君達が行ってから普段通りに過ごしていた。正直、石油を取りに行って、それを加工して、飛行機を飛ばすなんて信じられない。だけど嘘をつく意味なんてないし彼はきっとできるんだろう、僕が心配する必要なんてない。
『カゲムシャ』として城にいればいい。あとは彼らとは友人として。
一人でいるとわかったことがある。どうやら僕はモテるようだ、メイドさんや貴族といった女性にアプローチされることがあった。ただ僕には心に決めた女性がいるので心を痛めながらも断った。
タカハル君達が行ってから二週間くらい後だったかな。夜寝ていると精霊達が叩き起こしてきた。精霊についていくと、元のタカハル君の部屋にローブの低身長の人がいた。僕とタカハル君が二回目に会った時の魔法使いだと思う。
ダメ元で降伏勧告を言ってみたけどやっぱりダメだった。
ただ、彼はすごい実力者だった。精霊達の援護があっても全然近づけなかった。魔力量が多くて魔法の数が多くて近づけなかった。
しかしながら一度戦った相手、一方的に負けるわけではなかった。
それに時間さえ稼げば、兵士がたくさんいる城だ。戦ってる音がなって、時間を稼いでいれば自ずと詰所から多くの強い兵士さん達が応援に来てくれる。
形勢は逆転した、捕まえられる。
そう思ってた。
この世界の魔法というものを甘く見ていた。周りの被害のことを考えなければ威力はとてつもないことになる。
窓から逃げながら強い炎を置き土産された。見たことないくらい巨大な火の塊が城の中に撃たれた。幸いなことに死者はいない、負傷者も治る傷だ。精霊達も犠牲はない。
「……という感じで。」
「治癒魔法とかでお前治らないのか?」
「どうやら皮膚の奥まで熱が入ってるだとかなんとかで難しいって……一ヶ月くらいで治るって」
「そうか……元俺の部屋の近くにいたってことは完全に資料狙いだな」
「もうそこには無いって知られちゃったけどね。それに中庭の方をずっと気にしてた」
そう言うとタカハル君は腕を組んで考え込む。
「手傷は負わせられたか?」
「えっと、かすり傷くらい……」
「むこうは何がなんでも情報を奪いにくるだろうな……」
――――――
「はい、作戦会議。議題は襲撃者対策だ」
護衛四人と丸机で話す。サルトロが手を上げたので話させる。
「まずは敵の今までの手札をまとめていきましょうか。今回確認されたのは複数種の氷や岩などの牽制用の魔法、そして巨大な火球です」
「前回は魔物化する魔石と、その人員。転生者の孫だな」
「器用の高い風魔法、煙幕もありました」
俺が話すとルビーが続いた。あの時戦闘したのは俺ら二人だけだったな。
「複数人員が使えることも間違いないでしょう」
サティエルが言うようにその時は爆発があった。それは他に人がいないとダメだ。
「一番最初の時は幻惑魔法、あと空飛んでましたね」
アゲートがそう言った。せいぜい10m程度だが、それでも脅威だ。
「そん時はあと三種類の魔力障壁、重力魔法、強い魔覚くらいか」
とんでもなく強い魔法使い、魔力量多い、めっちゃ強い魔物化できる奴がいる。しかも戻れる。
「それがいつ来るかわからないし……要は情報狙いだから、実際狙うのは中庭の研究室か俺なんだよな」
うーん、それじゃあ罠っていうのが妥当か。ホームア◯ーン大作戦……
「とりあえず研究室の重要なもの全部俺の部屋に運ぶ、それで研究室には罠を置くってのは?」
護衛達はそれに賛成した。研究室が狙われているんだろう、だが実際はもぬけの殻で罠だらけだ。それに俺の部屋はなんと魔力が部屋から漏れないようになっている。どういうことかというと、一番最初に魔力量計った時に足に敷いていたカーペットが魔力を弾くようになっているのだ。それを壁、床、天井に至るまで貼ってあるという奇妙な部屋なのである、合理的だがな。
正直研究室の外に明らかに科学アイテム置きすぎてたのが狙われている原因だが、それが活きそうだ。
「では、その罠の方ですね」
サティエルが言った。
無力化したいんだよな、眠らせる。酸欠にするか……亜酸化窒素吸わせる……あー、アンモニアがないと合成できねえ。
それじゃあアホほどでかい音。130dBくらいの音で人は失神するんだったな。爆鳴気を使って、それでパラボラで集中させる……着火はどうする、少し時間かかるだけで警戒されて消火されるかもしれない。電気分解で風船を割るにしてもだ。
硝酸がありゃなあ……
「でてこねえ、なんか良い案ないか?」
「研究室ごと爆発させてしまうというのはどうでしょう」
ルビーが言った。最悪死ぬような罠か、あと爆弾、黒色火薬はあるにはあるんだったな。
「瞬時に着火できる方法あれば……」
「え、できますよ。」
「できるの!?」
アゲートが言ったことに机に身を乗り出した。
「例の剣が魔力送るだけで炎が――」
「おお! アゲートが持ってる。剣があれば……!」
そう言うとアゲートが視線をを斜め上に動かした。どうしたんだ?
「実は……デーナ様に悪いので剣新調して家に送っちゃいました……」
「何やってんだよ!!」
その後、俺に迷惑かけただかなんだかでアゲートは他護衛からまた軽くリンチにあった。これはもう間違いなく理不尽だ。
あと数日後にちゃんと届きました。その間襲撃もなかった。
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