転生者墓地
デーナがしなきゃいけないこと、それはプラメアー様の墓参りだ。まだスティフが出発するまで時間はあるのでスティフも同行。
その墓地は城の裏にひっそりとあった。そしてプラメアー・ガイアと書かれた暮石の前にする。
デーナはそこで座り込み手を合わせた。後ろ姿しか見えないので見間違いかもしれないが雫が彼女の顔から落ちたのが見えた。しばらくすると立ち上がって目を拭きこちらを向いた。目の周りは赤くなって泣いた後ということがわかる。
「ありがとう、ここまでしてくれて。」
その感謝の言葉に護衛たちは謙遜する。
「えっと、まだよく何があったかわからないんだけど。」
「スティフお前は聞くタイミングに場違いにも程があるだろ……」
そう言うとスティフは「悪かったよ」と平謝りする。だがデーナは首を横に振ってこの事について話す。
「デーナちゃん……そんな可哀想なことが……」
「大の大人、それも男が泣くなよ気持ち悪い」
「ちょっと!?」
しょーもないアドリブ漫才をしていると(スティフはそのつもりかわからないが)デーナはクスッと笑った。
「――それにしても亡くなってから三十年周期だったか、思ったよりも多いな。少なくともサルトロのところで見せてもらったよりも。全部で……十人か」
「はい、タカハル様にお見せしたのは確実な情報のみでして、嘘か真かわからないようなものは載せていませんし」
なるほどね、それでゼンジュボウさんと鍛治士の……グラムさんと一人空いてた訳か。
「……それでここに眠ってるのが初代の方か?」
一番奥にある暮石の前に行き、しゃがんでから言った。
「はい、イクス・リジル・ツヴァイ様。当時最強とされていた剣士です。」
「ツヴァイ……? どっかで聞いたことあるような……」
「はい、私の母上の結婚前の家名です」
「えっと、じゃあルビーの先祖ってもしかして?」
「証拠はありませんが剣豪の多い家系からそうだと言われています」
周りに転生者の子孫意外と多かった件。
他にも何かあるだろうと周囲を見るとそれに気がついた。
「えっと、グラムさんのところか。この剣はなんだ? 使ってたわけでもないだろうし」
墓の前に一本の剣が刺さってあった。
「グラム様のお作りになった武具の一つです。遺言に従い墓の前に刺して抜けることができた者に与えよと。ご試しなだいますか?」
「多分無理だろうけど……」
案の定無理だった。普通の剣もまともに持てない俺は無理だろ。
「ルビーはどうなんだ? 力的にいけそうな気がするけど」
「私も無理でした。必要なのは単純な力ではないようです」
なんじゃそりゃ。台座の方壊せばよくねという空気を読まないコメントは飲み込んで――
「それじゃあスティフはどうだ? ちょっとやってみろよ」
「ルビーちゃんが無理なら多分僕も無理だと思うけど。」
そう言いながらも彼は柄を持った。
するとなんと不思議、するっと抜けてしまいました。
護衛全員が驚きの声を上げる。
「え!? やった! 引いちゃった! 伝説の剣引いちゃったよ! エクスカリバーだよエクスカリバー!」
「いや違がうだろ」
スティフが何故か銀色に光り輝く剣を持ち興奮する。
すると不思議なことにその剣は細くなり、フェンシングで使うような細さになっていく。
「はああ!? どうなってんだこれ!? 質量保存の法則どこいった!?」
「うおお! すごい!」
「確かその剣は引いた者に合うように形を変えると。」
「いやいやいやいやおかしいだろ」
サルトロの解説に批判を浴びせる。
「なんだ合うようにってどうやって判定してどうやって形変えたんだよ……」
「いいじゃん、いいじゃん!」
「俺はよくねえ」
軽く剣を振るスティフの横でうんうん唸って考える。合うようにって言ったらDNAか? 遺伝子から最適な形を導き出し……観測結果がないからこんなんただのSFだ。
「これとっても手に馴染む。……元使っていた剣は愛着あるけどこっちのが間違いなく使いやすいね」
…………まあ色々あって夕方となり、スティフを見送る。
「は〜……アイスクリーム食べたかったよ〜」
「まだ言ってんのかよ、早く行けよ御者さん困ってるだろ」
ウダウダと言うスティフを馬車に押す。すぐにはできないって言ってるのに……
「わかったよ……それじゃあ僕のアイスクリームみんなの倍で!」
「つまり俺らが0だったらスティフも0と」
「ちょっと!?」
「ま、茶番は置いといて、精霊数匹連れたか?」
「うん、言われたように。そんなに心配する必要ないと思うけど」
「心配しろ、お前は世間からはとんでも知識もった流れ転生者だ。どこもかしこも喉から手が出るほど欲しがるはずだ、どんな手を使ってでも。実質お前は俺の『影武者』だ」
「『影武者』っていうとカッコいいけどただの身代わりだよね!?」
「あーそうだよ。とにかくさっさと行きやがれ、心配したけど何も起きませんでしただったらそれがいいんだよ」
スティフは軽く頷き馬車に乗り込む。すると窓から顔を見せて口を開く。
「それじゃあアイスクリームよろしく」
馬車は走り出して行ってしまった。あの馬車は俺たちが乗っていたものほどではないがそれでも豪華だった。
「まだ言ってるのかよ」
「スティフさん面白い人でしたね」
後ろにいたデーナが話しかけてきた。
「あれでも俺より年上でしかも俺のとこの世界一の剣士だったんだけどな」
フェンシングだけで剣道とかと戦ったら知らんけど。さてと、変なこと喋んなきゃいいけど。
――――――レックス国、戦地近くのとある砦にて
「アホか、キサマは無能なのか。いくらこのオレサマが大天才であることを考慮してもキサマの失態はただの無能だ」
「……」
「そこまでできておいて護衛に駆けつけられ一人犠牲をだし、挙句の果て転生者を逃しただと? 兄弟揃って役立たずか」
「お兄様を悪く言うなら――」
無能が手を挙げてこようとするので無詠唱で重力で地面にへばりつかせ鎖で拘束する。
「ハッ、それで暗殺者である転生者の孫だと? 巫山戯ているのか? ――このオレサマが生まれる時が悪くレギア国の転生者と相対する羽目になった。ただあの転生者の知っていること全て話させればこの大天才であるオレサマのおかげで数年以内の勝利は確実だ。それだと言うのに最高のチャンスを無駄にした」
無能は何も答えない。
「反吐が出る」
鎖の力を強める。するとそいつは苦しそうにもがく。
「そこら辺でやめたほうが良いかと」
チッ。思わず舌打ちが出る、何も言わず魔法を消す。
「もう、一度行って、必ずあいつを――」
「当たり前だ! これで終わるなどと泣き言を言ったらどうしてやろうかと思ったぞ」
後ろの設備に歩き、話始める。
「だが、行くのは俺もだ。この後俺は知識を持った流れ転生者と接触する。四日後城の近くで合流する、明確な情報は後だ。さらに!」
後ろの設備のカーテンを開けて話す。
「無能なキサマに【これ】のようになる特別な物を用意してやろう。安心しろオレサマがいれば元に戻れる。」
無能とあと凡人一人がこの光景にまだ驚愕しているようだ。
引き篭もっている転生者にもう一度一泡吹かせてやる。
ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。
星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)
科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)
レビューやブックマークをしていただくことも勿論嬉しいです。




