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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
4/84

魔法について学ぼう

まだちゃんとした知識チートはしません。

申し訳ございません。

書きたいことを書いていたら文字数が多くなってしまいました。

次回こそは科学的知識チートします。

 朝の日差しで目が覚めた。ベッドの上にいた、家の落ち着くベッドでなく、大きな高価そうなベッドでだ。

夢などではなかった。嬉しいような寂しいようなそんな気がした……

 割り切れ、もう終わってしまったこと。過去を足枷にするな、過去は変えられない。未来のことを考えろ。それが合理的だ。


 時計を見た、ちょうど五時……そもそも寝るのが早かったからに違いない。不安などないはず、これからどうするか道筋が頭の中で立っていたはずだ……


 六時半にサルトロとアゲートが起こしに来てくれると言っていた――時計はあるのか。中世よりも後の発明と思っていたが……それとも魔道具か。


 二人が来る前に着替えてしまおう。それにしても採寸してから服が数時間で渡されていたな……もともと用意していたり取り寄せたりしたのか。


 そんなことを考えているともう着替え終わってしまった。

 暇だ。だからと言って部屋から出ても二人を困らせることになる。窓から眩しい太陽を薄目ながら見る。俺の世界と変わりない。自転、公転周期が一緒なのだから太陽の規模も同じなのだろうか?

 そういえば昨晩の月の模様は全然違ったな。そこまで一緒だったらもう恐ろしいが。


 まだまだ時間はある。暇なので机の引き出しの中を見てみた。何も入れていないので何も入っていないはず――万年筆と数枚の紙があった。

 ふと思い出した、女神が日本語を話せなくなるわけではないと……

 しかし新たな言語を得て今になって怖くなった。脳の容量は膨大だが限界はある。新しい言語をそれだけ記憶したということは、それだけ忘却したんじゃないかと。震えながら日本語を書いてみた……


 書けた。


 相変わらずの汚ったない字で。万年筆など握ったことなどないのでさらに汚い。

肩の筋肉が緩んだ、安心したのだろうか。

 なにを書くつもりはなかったが無意識に書いた字は自分の名前だった。


 関隆治


 なぜだかわからないがこの字を見ていると落ち着く。


 まだ時間はあるはずなのでこの世界の字も書いてみた。

スラスラと書くことができる。

 会話だけだと気づけなかったが、この世界の言語は母音に子音を足す、もしくは母音のみの――「ん」のみ子音のみのローマ字みたいな言語をしている。五字の母音と十四字の子音のみのようだ。後は0〜9の数字。同音異義語が多そうだがモールス信号化は簡単だな。


 そんなことをしているとノックがなった。時計を確認すると六時半を指していた。こんなにも時間が過ぎていたのか。


 紙とペンをしまいドアへ行き、そのまま開けた。


「おはようございます!」

「おはようございます。起きていらっしゃいましたか」


「ああ、おはよう。目が覚めてな、と言っても起きて着替えたばかりだが」


「そうでしたか。このまま朝食へ向かってもよろしいでしょうか」


「ああ、頼む」


 そのままサルトロとアゲートについて行く。食堂へ着くとサティエルとルビーが待っていた。


「おはようございます」


「……ぉはようございます」


 ルビーはすごい眠そうにしている。他三人はそんな感じはしない。アゲートなんかはむしろ運動した後みたいじゃないか? 実際そうかもしれない。


「ああ、おはよう」


 どこへ座ればいいのか考るとサルトロが椅子を引いてこちらを向いていた。そこに座るよう言われたのでそうする。


 言われたように座った。昨日と同じようにメイド達が料理を持ってきた。

 聞いておきたいことを食いながら聞く。


「今日は何かやらなきゃいけないことは?」


「やらなければいけない事はございませんが、魔法のない世界から来たという事なので魔法について教わってもらいたいのですが」


「うん、俺も知らなければいけないと思っていたんだ。教えてくれ」


 サティエルは少し上機嫌になりながら「はい」と答えた。


「ところで、農作物の収穫量を増やすと言っていましたが、具体的にはどうするおつもりで?」


 サルトロが聞いてきた。


「農家の人に天候、土の耕し方、肥料何撒いてるかとか片っ端から聞いてって、土のいろんなこと調べまくってその他もろもろだ」


「それは、とても地道ですね」


「ああ、俺の世界はその地道さで発展してきた。実際土地あたりの収穫量を三百年やそこらで二倍近くまで増やしてる。そもそも農作物の特徴が分からねえ異世界なんだ。情報を集めまくるしかない」


「なるほど……これは記録が大変な事になりそうです」


 そういえばスギタニ家は転生者記録係だったか。


 そう考えていると覚えのある味がした。食レポじゃない、フォークで皿から1つのそれを取り出し聞いた。


「これ紫キャベツか?」


「はい、苦手でしたでしょうか?」


 メイドさんが聞いてきた。


「いや、そうじゃない。これがあるならあれができるぞ……!」


「「あれ?」」


サティエルとサルトロが言った。


「料理ですか?」


アゲートがそう言った。まあ普通の考えだろう。


「後のお楽しみだ」


………………


 とは言え、午前中は魔法について教えてもらう。


「タカハル様の世界には魔法が無いということでしたので、一番最初から教えさせていただきます」


「ああ、頼む」


 サティエルが俺の机の前で教えて他三人が後ろで見ている。サティエルは先生ってとこか。


「では、タカハル様は魔覚をこの世界に来てから感じていますでしょうか?」


「魔覚……? ないと思うが」


 体に違和感など感じていない。魔覚というものが感じれなかったらどうしようか……?


「魔覚は六つの感覚器官の内の一つとされています。この魔覚を使って魔法を使ったり自分以外の魔法を察知できます。とは言っても口では難しいので感じてもらうのが早いですね」


 感覚器官が六つか。俺の世界と違ってもおかしくない。俺の世界の第六感は直感みたいなものと言われていたが関係あるのかどうか……

 そして口で説明できないのは盲目の人に視覚を説明するようなものか。やっぱり俺になかったりするんじゃないのか? 魔覚とかいうの――


 そう考えているとサティエルが俺の後ろに立ち肩に手を当てた。


「目を閉じて極力全体の感覚を抑えてください」


「わかった」


 感覚の抑え方はよくわからないが敏感になるなということだろう。


「む……サルトロさんちょっと手伝ってください」


「ああ、タカハル様は8でしたね」


 二人が何か話している。そうすると誰かの片手が俺の肩に置かれた、おそらくサルトロだろう。

 すると自分の身体の中に何かを感じた。今まで感じたことのない、液体のような気体のようなものが自分の身体の中に入っているように感じた。


「何か感じ取れましたか?」


「ああ、何かが体の中にあるのを急に……」


「それを動かすことはできますか?」


 体の下の方の筋肉を動かすようにして下の方に圧力をかけると上の方に昇ってきた。少し動かすと何かの動かし方が本能的にわかった、圧力をかけたりしなくても動かせるようになった。

 まるで手足の筋肉を動かすように。


「できた」


「それを体の外に出すとはできますか?」


 今度は体表に出してみる。すると出したあたりの体表にそれを纏った。それをさらに飛ばすと霧散していってしまって戻ってこない。


「できた」


「では、目を開けてください」


 そう言って二人は手を放して、サティエルが俺の目の前に手を出した。


「では、私の手に何か感じ取れますか?」


「……何かが渦巻いているのか?」


「おめでとうございます。これで魔覚を習得できました、今感じたものは魔力というものです。」


 よかった、とりあえず一安心だ。それにしても不思議な感覚だ、自分の魔力をいじくる。


「はぁ……サルトロさん、手を抜きませんでしたか?」

「そんな事はありませんよ」

「なんでそんな余裕そうなんですか、こっちは結構疲れたんですけど?」

「知りませんよ、やってること違うんですから」


 二人が何やら言い合っている。


「どうした?」


「失礼しました。実は最初に魔力を感じてもらったときに、微量の私の魔力を送ろうとしたのですがタカハル様の魔力量が私より多かったので送るのが難しいのでサルトロさんに手伝ってもらおうと思ったのですが……」


 そう言ってサティエルはサルトロの方へ向いていた。

 なるほど、熱や電気と似たようなものか、低い方から高い方へは基本動かない。自然の摂理だ。


「だから手を抜いてませんって」


「何にも言ってないですよ」


「手伝うとは言っても流し込む量増やすわけじゃないだろ?」


「はい。サティエルさんの魔力をタカハル様へ押し込む事をしていました」


「それでも、そんなに疲れていない様子なのはおかしいですよ」


「タカハル様の前。見苦しい」


「っ! ……大変失礼致しました!」


 ルビーがサティエルを止めた。そしてサティエルはすごい深刻そうに俺に謝っていた。そんなに転生者は横暴なイメージなのか……?


「いやまあ、気にするな」


「面目ございません」


 サティエルは頭を下げたままでいる。これどうしたらいいんだよ……


「タカハル様は魔法について話を進めてほしいと思いますよ」


 ナイスだアゲート。俺じゃあこんな機転きかない。


「ああそうだ、頼めるか」

「はい。お任せください」


 ようやく頭を上げてくれた。人の上になんか立った事ないからどうすればいいかわからないことが多い。ルビーでも参考にしていけばいいか?


「では……まずは魔法の行使からですね。タカハル様は魔法を見た事はございませんよね」


「ああ、ない」


「魔法というものは体の魔力を使って火や水、風、光などのものを出現させたり現象を起こしたりするものです。攻撃だけでなく様々なことに応用ができます。

 魔覚はもう持ってらっしゃいますので、実際に感じてもらった方が早いですね。中庭へ行きましょう」


 サティエル、他三人と共に中庭へ行く。最初から中庭でよくなかったか? ただそんなに中庭までは遠くない、広い城を歩き回らなくても大丈夫だ。

 中庭へ着くと芝生が広がっていて道の脇に広い間隔で木が立っていたりした。


「ではまず、安全な水魔法から始めましょう。見るだけでなく魔力の動きを感じ取ってください」


 そう言ってサティエルは誰もいない方へ向き、片手を前に出した。


「〈ウォーターボール〉」


 サティエルの手の先に魔力が集まった。サティエルの手の前に水が出現してだんだんと大きくなり直径15cmくらいの球体になり止まった。

 そして水が射出された。射出する直前魔力がもう一度サティエルの手に集まって、すぐはじけていた。射出された水は地面にあたり弾けた。


「ご覧になられましたか?」


「ああ、見れた」


「では一度試してみましょう」


「もう?」


「はい、魔力を見て私たちがアドバイスします」


「わかった」


 そう言ってサティエルのように手を前に向け魔力を集める。手の体表に出してみるが水ははでない。魔法の名前を言う必要があるのだろうか。


「魔力を動かすだけでなく魔法自体をイメージしてください。魔法はイメージの方が重要です」


 まるで原理がわからなかったが、とりあえずやってみる。

 手の先に水が出るようにイメージしてみる……俺はバカだ。どこからともなく物質が湧いて出てくるわけない、空気中から水が出てくるのは結露だ。

 空気中の水分を集めて凝固させる……魔力が水を一箇所に運んでくるイメージだ。魔力が熱運動を抑えて一箇所に集める……

 気がつくと目の前に直径5cm程度の水の塊ができていた。それを大砲や銃の火薬の役割の要領で魔力を弾けさせる。

 すると水は飛んでいって地面に落ちた。


「お? できたか?」


「はい、おめでとうございます」


「結構ちっちゃかったけどな」


「最初はこんなものです、練習していきましょう」


「ああ」


 しかし、空気中の水分から持っていくんだから連発は難しそうだ。場所を変えるか湿度高い場所でやるか……いや、何も水魔法だけでない。他も頑張らねば。


「それでは別の魔法にいきましょう。次は風魔法――」


「ちょっと待ってください」


 サルトロが止めた。


「どうした?」


「タカハル様の魔法の水、全く揮発していませんね」


 サルトロが俺の水の着弾点を見ていた。俺もそこへ見にいってみる、サティエルも付いてきた。


「まだ一分も経っていないだろ、そんな簡単に揮発しないだろ」


「いえ、魔法からの物質は魔力圏から離れると揮発し始めます。この量ですと、半分はもう揮発していいはずですが、どのようなイメージで魔法を使っていたのですか?」


「結露だ、結露。空気中の水蒸気を水にするイメージだ。どこからともなく水が出てくるイメージは第一にそれだ。ところで魔力圏って?」


「魔力圏はそれぞれが魔力を霧散させずに操れる範囲のことです。タカハル様は魔力を水に変えずに行っていたと言うことですか」


「ああ、そうだが?」


 核融合やら核分裂やらを無しに原子が変わるなんて考えられない。もしや魔力では可能とか……?


「一般では魔力を変化させて魔法にするのが一般です」


「え? ……サティエル、もう一回ウォーターボール……? 見せてもらっていいか?今度はゆっくりと」


「はい、では……〈ウォーターボール〉」


 確かに魔力が消えてその代わり水ができている。一体どうなっているのか?やってみる方が早いか。手を出し魔力を手先に溜める。その魔力を溶かしてH2Oが出現するイメージ、より細かく、中性子、陽子、電子までイメージする。それを連続して行う。

 気づくと手先に直径30cmほどの水ができていた。成功だ、同じように水を射出する。速度はさっきより遅いがうまくできた。


「おめでとうございます。完全に成功でございます!」


 思わず顔がにやける、他も試してみたくなった。


「他もやろう、次は風魔法だったか?」


「はい、ではまず私が手本を――」


「待ってください。タカハル様は我々の常識を知らないままに魔法に触れてもらった方が魔法の歴史を大きく変える事となると思います」


「賛成、タカハル様が私たち以上の常識をもってえいることは明らか。私たちが足枷にならないべき」


「えっと〜。自分はタカハル様が好きなようにやるべきだと思います!」


 ルビーとアゲートが言った。おそらくサルトロは魔法研究のため、ルビーは戦争のことを考えているのだろう。

 アゲートは俺のためか……?


「でもそれだとイメージできないと思うぞ?」


「風を起こすためにどうすればいいかタカハル様の故郷の知識を使っていただいて、ダメでしたら我々がお教えします」


 とりあえずやってみるか。魔力手の先で扇風機みたいにしてみる、家にあった羽が四枚あって少し傾かせて丸い形のやつだ、それを回してみる。魔力を運動エネルギーに変換するイメージで。少しずつ速くしていこう、まずは秒速10回転くらいで――弱い。もうちょいあげるか、

秒速20回転でどうだ? ……いい感じだ。


「「「「おお!」」」」


護衛たちが声あをあげた。魔感で他人にも見えるんだったな。


「やっぱり私は間違っていませんでした!」


「さすが転生者様です!」


「お父様の前で言った言葉も大きくないかもしれない!」


「すごいです! ……でも風魔法にしては弱くないですか?」


 そうだった、扇風機を再現しているんじゃない。風魔法だ。


「もっと上がるぞ、とりあえず50倍でどうだ」


 調子に乗って一気にあげる――


「ちょちょちょ! 腕もげる!!」


 魔力の回転に体ごと持っていかれそうになった。急いで羽を手から離す。そして尻餅をついてしまった。

 すると羽が後ろへ飛んでいきその先の木を抉って止まり、そのまま木が倒れた。凶器となった魔力は霧散していった。


「大丈夫ですか!?」


 全員が駆け寄って来てくれた。倒れてなかったら俺が死んでた、いやもう一回死んだけど。

 今度から魔法を使う時は事故に気を付けよう。そう肝に銘じた。

 あと木を倒しちゃたけど大丈夫かな……

ちょっとしたお話

(こちらでは本編に関係ない裏話のようなコーナー(?)です。読まなくても結構です。それではどうぞ)


しっかし扇風機をみるとやりたくなる。


「あ゛あ゛あ゛〜〜〜」


「!」


「何ですかそれは?」


サティエルが効いてきた。


「こいつの前で喋ると声がこんな感じになるんだ。」


「へ〜、そうなんですね」


あんまし興味なさそう……アゲートが目をキラキラさせてこっちを向いている・・・


「やるか?」


「いいんですか!?」


めっちゃ嬉しそう。


「いいぞー。ほれ危ないから近づきすぎんなよ」


「あ゛あ゛〜」


楽しそうに声出してる...ちょっと遊びたくなった。

回転数を5倍にした。これくらいなら大丈夫だ。


「あ゛〜〜アブウェッフ!ちょ、タカハル様!?」


「ごめん、遊びたくなった」


「クフフ」


「アハハハ」


「フフッ」


他の護衛は笑ってくれていた。


「酷くないですか!?」


「いやー、わるかった。・・・ッフフ」


「じゃあ何で笑ってるんですよ?ねぇ!?」

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