触媒完成と車
情報提供頂いて、急いで改稿しました。なんとか間に合いました……
科学、世界観で気になったこと、矛盾してると感じられたら遠慮無く感想で書いていただけると幸いです。
「とりあえず混合気体を入れる空間は必要だな、650ml以上、H2Oの分子量はおよそ18、計算しやすいのは……720gの720mlをかけ16/18で、640gの酸素で――だいたい640mlの千倍くらいで640Lくらいか……」
「「「千……倍……」」」
スティフ含めたみんなが口を揃えて言った。
「意外と普通だぞ、水も液体から気体になると体積はおよそ八百倍になる。まあ分子が目視できるほど集合してる中から見えない、感じ取れないほど分散するんだから当たり前っちゃ当たり前だが実感は湧きにくいな。
てか640Lだったら家の風呂二、三倍くらい……圧縮しないときついな、でーその圧力に耐えられるくらいの耐久力が必要だから、ガラスだとちょっときついか? 魔道具にしてどれくらい強化されるかわからんけど……金属製がいいか……構造は意外と簡単だし教えればいけそうかな?
ともかく今は保留か、もともとそのつもりだったし仕方ないか――あー、くそ、悔しいなあ……」
そう言って研究室内に壺を持っていこうとする――迂闊だった、俺がこんな量の油を運んだことなんかない。
そう、重すぎた。
壺が傾く、それと同時に「あ」間抜けな声がでる。
――――やばいやばいやばい!! ってなんとかしないと。だがタイムリミットまで一秒もない。
ルビーが飛び込んで俺を庇う、それだとルビーが――あれ?
「…………あれ? 爆発しないの?」
スティフが最初に声を出す。その金属カリウムは油から完全に転げ落ちている、油でコーティングされてるのか……?
ふと昔の記憶が出てくる。七歳くらいの時。金属ナトリウムを父さんと共に大学の池に投げ込んだときのこと……
◯
◯
◯
「隆治、準備はいいか?」
「おー!」
あの時はかなり純粋だったな。
その返事に父親は手に持ったピンポン球サイズの金属ナトリウムを後ろに構える、そして思いっきり投げた。今思うと重さに対して飛距離全然ねえな。
金属ナトリウムが池に着水すると黄色の炎が見えた後、大きな水の柱が上がった。その光景に俺は歓声を上げていた。
「いいか隆治、将来やるかもしれないからもう一度言うけどな。多湿の時ではやるなよ、だから今回は太平洋側の冬でやったんだ。夏とかにやるなよ」
◯
◯
◯
…………多湿……多湿……
「あ!!」
「どうなさったのですか?」
サティエルが反応する。
「ここ内陸だから多湿なわけないじゃん」
「えっと……つまりどういうこと?」
「日本の夏とかだと多湿で空気中に置くと危険だけどここだとなんの問題もねえ」
テヘペロ的な感じでスティフの質問に返す。
「なんだ、びっくりして損したよ……」
「悪い、というわけでこいつらを粉々にして空気中に置けば完成だ。で、えっと……ルビーはいつまでそうしてるの……?」
未だ俺を抱えたままのルビーに問いかける。
「わ、えっと、申し訳ございませんーー」
ルビーが顔を赤らめて俺から離れる、その視線は斜め下を向いていた。
そんな表情されるとこっちまで恥ずかしくなる——おいこらスティフ、ニヤニヤするな。心の中でそのコメントを押しとどめて切り替える。
カリウム金属を拾って魔力ナイフで切っていく。
「そんな簡単に切れるんですか?」
「ああ、普通のナイフでも簡単に切れるくらい弱い金属なんだ。で、布で油拭いて空気中で放置で簡単に酸化してくれる」
そう言って研究室内の机にそれら置くと色が変色していく。
「あとはこいつらを合わせれば触媒完成だ! あとはこれを工場に渡しに行けばいい」
「そういえば工場自体はいつ完成する予定なんだい?」
スティフが下向く俺に疑問を問いかけた。
「早くて半年」
「半年!?」
「おう、長くても今年中だと。すげー早い工事だろ? 産業革命起きてないんだぜ、この世界」
「いや驚いたのは早いって言うわけじゃなくて……よくよく考えたらすごい仕事だけども……タカハル君は聞いた中の転生者で一番ゆっくりしているなと思ってね…………ところでタカハル君、ハーバーボッシュ法教えてもらってたけどさあ、誰かに聞かれた時、企業秘密の一点張りじゃダメだったのかい?」
「あ……………………」
視線を逸らす。
「あ、じゃないよおお!!! 今まで頑張ってたのなんなのさ!? 絶対いらなかったでしょ!!??」
「ちょ、悪かったって、落ち着け」
目の前で騒ぐスティフをなだめる。
「この二日間なんだったのさ……」
「だから悪かったって、世の中失敗がつきものなんだよ、二日間くらい簡単に取り戻せるし。ほら俺も無駄な計算してただろ」
うなだれているスティフに声をかける。だがまだなんかうだうだと文句を言う……
「はぁ、みっともない……」
ルビーが蔑みの視線で見下す。気付くとサティエル達もだ。
「もういいだろ、子供みたいに騒いで――お前は少なくとも俺より大人だろ」
「確かに二十歳だけどさあ……僕はタカハル君みたいに簡単に切り替えられるような人間じゃないのさ……」
「なら切り替えさせてやるよ、俺の世界男子なら誰もが興奮するようなビックリドッキリメカだ。」
研究室の中へ物を取りに行きながら言う。
「ビクッリドッキリメカって……それがビクッリドッキリメカ?」
「の部品な、これはただ回るだけの魔道具。魔道具ってだけでビックリドッキリメカなのは置いといて。完成品はなんだと思う?」
歯車に軸がついてその軸の真ん中にすこし膨らんだ部分がある、それに魔力を流し回転を見せながら言う。
「歯車……歯車……わからないや」
「もうちょい頑張れや。ったく……」
「何かまたまた不思議な物質を作るための道具でしょうか?」
「何か兵器では?」
サティエル、サルトロが言う。
「兵器っていうといい線いってるな」
「えーと、何か凄いもの!」
「わざわざすごくないもの作る必要ないだろ」
「じゃあ正解ですね!」
「違うそうじゃない」
アゲートの解答に突っ込む。漫才してるんじゃないんだが…………
「兵器に近しい物……あのような生き物……でしょうか?」
「――あのようなって?」
ルビーの発言にスティフが疑問を出す。
「あー、ここで飼ってるやつ、最初に見せたのはサティエルとアゲートだな。で、その後ルビー、サルトロにも見せたやつだな。こっち来い、こいつのことだろう」
「ッ……これは……僕は動物愛護者でもないけど……これは何というか……」
檻の中に入った人工心臓のつながれた魔物ネズミを見てそうスティフは言った。
「酷いか? それとも、命を冒涜してるか? 確かに俺の世界じゃ機械につながれた動物なんてそう言われるだろうな。だがこの程度科学の世界じゃ序の口、それよりももっと手前だ。科学の世界っていうのは蓋を少し開くだけで闇の世界だ、争いや興味本位の倫理観ガン無視の実験からお前は前の世界で便利な生活しながらスポーツに打ち込めたってわけだ」
俺の発言にスティフはこっちを真剣な目で見る。
「ネズミどころか人の命をいくつも落とした実験、いや落とすとわかっていたのにもかかわらず実行した実験だな、死刑囚とか使ってたかは知らんけど。それがどうとか言わねえ、過去のことをうだうだ言ってそこから何かを得るわけでもない、それはとんでもなく非合理的だ。俺の大嫌いなことだ。言っておくが俺は倫理が無いわけじゃないぞ、ただ科学者よりってことだ、倫理と合理を天秤にかけて得られる過程、結果、さらにその後のことを考えた結果こいつをこうしたわけだ。無論俺にとってこうするよりも良い結果が得られた」
魔物ネズミを見て言う。
「君にとってとその子にとっては違うということはわかっているよね?」
「当たり前だ、ただこれは小動物、魔物が相手だ。それは弱肉強食と何が違う? 人間っていうのは必要以上の食事なんか簡単に取るぞ。それと必要以上の命の消費が何が違う? 人体実験だと話が変わってくるがそれは置いといて……お前はそうだな――虫、さらには微生物相手でも同じことを言うか? 世界では実験が終わったからと一日で数兆匹の微生物が高熱で焼き払われているぞ」
「……わからないよ、僕には。実際ここでも僕らの出身の世界でもこのようなことはきっと多くあったんだろう?」
「これよりもひでーものはいくらでもある、クローンにキメラに遺伝子改造、ゲノム解析なんか個人情報どころか個体の情報全てを覗き見るような行為だ。悪く聞こえるかもしれないけど実際役に立っている部分、役にたつだろうとされているところがある」
スティフの口からは言葉は出ない。あいにく俺は心理学で人の心を読めたりはしない、察しがいいわけでもない。
「ま、これは考え方の違いだ、答えなんてねえ……かなり脱線しちまったな、じゃ、こいつの答え合わせといくか」
ガサゴソと研究所の奥から物を取り出す。……ここ整理しといたほうが後々楽だな、後でやっておくか。
「こいつ、まあミニチュア版だけどな」
両手サイズの四輪駆動の物、つまり車をみんなに見せる。
「おお! つまり完成品は自動車かい?」
「くるま……ですか? 馬車ならもう……」
「こっからが凄いに違いない、タカハル様のこと、今までのこと忘れたのか?」
アゲートの言葉にルビーがそんなことを言う。
「そんな期待してるとこ悪いが言うほど凄くはない、大体まだ試作品だ。しかもちょっとつまずいてる問題がってな、まあ走らせりゃわかる」
そう言って研究所の外の地面に置き、ギアの魔道具へ魔力を送る。すると早歩きくらいのスピードでまっすぐ走り出す。
「その車について何も存じ上げませんが、問題は無いように思えますが?」
「曲がれないとか?」
サルトロとスティフが言う。
「曲がることは前輪を曲げるだけでいいからそれは問題ない。ただブレーキしようとすると――」
近寄りアクセルの方の魔道具への魔力の供給をやめ、ブレーキの魔道具へ魔力を供給する。
すると バギッ と音が聞こえ、前輪の片方のタイヤが外れる。そしてそのまま反対のタイヤも外れる。
「こんな風にアクセル側が魔力供給止めても少し回り続けてこんな風に壊れる。ブレークとの調整が難しいし、ブレーキできなきゃ危険すぎて乗り物として使えねえ。」
「ブレーキはどのような仕組みになっているんですか?」
「待ってろ……」
サティエルが聞いたので壊れている車を分解して前輪の折れた軸に部分を見せる。
「こっちに歯車部分がアクセルに繋がってて、でブレーキの魔道具入れるとこの革が押し付けて摩擦でブレーキする。ただ押し付けの調整が上手くいかないし、ブレーキしながらアクセルするっていうそんな負荷がかかることやってるからそりゃ壊れるわって感じなんだよ。……なんかいい案ない――?」
するとうーんと言った感じでみんなが考え込む。するとルビーがハッと何かに思いついたようでそれを言い出した。
「強い素材で作るというのはどうでしょう?」
「正直木材とはいえこの程度で壊れてるようじゃこの先めちゃくちゃ硬くて軽くて加工しやすい素材探さなきゃいけない……あー、魔道具っていうのも手か」
「そもそも列車みたいにレールの上走らせればアクセルの調整だけでなんとかなるんじゃないかな? あんまり知らないけど」
「それもいいかもな、レール自体の建設に費用も時間もめちゃくちゃかかるわ操縦者の技術超必要だろうけど」
スティフの案に答える、するとあんまりいい表情はしなかった。
「むしろ爆発する魔道具思いっきり積んで止めずに特攻させるのはどうでしょう?!」
「いい案かもしれないけど目的が違う、頭の片隅にでも入れとくけど」
「いやそれなんてパンジャンドラム」
アゲートと俺の会話にスティフが若干呆れたように発言する。
「このブレーキの機構を地面に突き出して車輪ではなく全体ごと止めるというのはどうでしょうか?」
「えーと、それだと……いや、平地だといいがでこぼこ道で後々使い物なくなるな……」
今度はサティエルに答える、うーん……もうちょっとで出てきそう……
「……アクセルを外してからブレーキするというのはどうでしょう?」
「えっと……どういう機構にすればいけるか――歯車を離すまではいいがその後噛み合うように戻すには……手動でいいか。……よし、いける」
思わず右手で拳を作りガッツポーズをしてしまう。だがそれくらい良い案が出た。研究所に戻り神に殴り描く。ただ必要なところは精密に記す。するとスティフが書いている紙を見てから言葉を出す。
「うーん……見ているだけで頭痛くなってきそう」
「そうはならんだろ、車だぞ車、ロマンだろ」
「小さい頃は良かったけどさ、今とはなってはもう別にって感じで……」
「まじか。大人だからとはいえ父さんは趣味で車修理できるレベルだったのに……俺の家普通じゃなかった」
「……えっと、どんな家族だったんだい?」
スティフが聞いてきた。
「まずマッドサイエンティスト生物母、各種タンパク質とかセルロース、デンプンの構造とかその他諸々の高分子暗唱できるわ何千匹のマウスを葬ってきたやばい大学教授、化学物学と色々大学で教えられるおなじくウルトラやばい大学教授、あと俺」
「大学教授とはどのような方なのでしょうか?」
「えーとそうだな、俺みたいなのが学ぶ道一、二本に決めて五年くらい学んだのをさらに教えられるような人」
サティエルに答えるとみんなが青い顔をする。
「そんな驚くことでもないと思うけどな、特にスティフは」
「いや君どれだけやばいか分かってる? 色々聞いたけど、特に砂糖! 君はどっちの世界でもおそらく光合成した初の人間だよ!!」
「確かにそうだな! これがアメリカンジョークってやつか。アッハッハ」
「いや、そうじゃなくて……それくらいの人を教えられるってとんでもない人だったんだなあって……」
「ま、俺は例外か。ふざけたみたいなその二人の間に生まれて育てられてきたらそらそうなるぜ。高分子暗唱してるのを小さい時から聞いてたから俺もある程度覚えちまって光合成できたってこと。別にトンビが鷹を産んだわけじゃない」
「転生者に選ばれるのは誰もが納得しますね」
サルトロの発言に皆が頷く、なんか小恥ずかしいな。俺の世界だと知ってても使うことがなくてこんな褒められること親以外にはなかったしな…………
「って、また脱線した。そんばことよりこれ、ブレーキの魔道具を発動するとアクセルの魔道具と歯車から外れてブレーキの負荷が下がる。こんな簡単な構造なのに以外と気づかないもんだ」
「相変わらず君は切り替えが早いね……」
「切り替えは早ければ早いほど合理的だ」
その返事にスティフは苦笑いをする。もうちょい言葉の選び方があったか、流石に淡白な返事だったな。ま、後々直していけばいい。さて、これから魔改造タイムだ、まずはこの壊れた車を直して改造して実験だ!
ちょっとしたお話
「やっぱりアルカリ金属手に入ったらやることは一つだな!」
そう言って中庭の真ん中に桶、さらに紐を引っ張れば物が落ちる機構がある。そして俺は紐を引き、桶の中にそれは落ちる。するとバシャンと大きな音を上げ仕掛けごと吹き飛んだ。
「うへえ、一歩間違えればああなっちゃうのか。」
「そういうこと。」
スティフにそう返す。
「みんなもアルカリ金属、土類アルカリ金属を扱うときは気をつけよう!」
「普通扱わないよ!?」
ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。
星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)
科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)




