触媒
絶対どこかしらでガバってるでしょ……本当に気づいた方いらしたらコメントで教えていただけたら幸いです。
「楽しい楽しい実験タイムだ。」
大荷物を持ったガラス職人のドワーフが研究室の前に到着する。よく持てるなそれ……
「ここに置いておけばいいか?」
「ああ、頼む」
前に見たガラス職人のドワーフが大きなバッグを下ろす。そしてそこから大きないくつかガラスの容器を出す。そしてからのバッグを持ち帰っていく。
「……なにこれ?」
スティフが疑問を口に出した。
「まあそんな反応するよな。さて、今から酸化カリウムの準備だ! で用意するのはこっちの容器、水、カリウム塩、あと保存用の油!」
「それだけ? あとカリウム塩っていうのは?」
「それだけだ今用意できるのは、ちょっと待ってろ……えーとここら辺に……こいつ、塩化カリウム、化学式はKCl、普通にはカリウム塩なんて呼ばれてる。そいつが岩塩として産出される、それを砕いたのがこちら。」
そう言って研究所から取り出したピンクに少し黄色がかった色のっぽい粉を見せた。
「で、この容器。」
ただの鉄の器。そこに塩化カリウムを入れて熱する。ドロドロとなった状態の塩化カリウムに魔法製の金属の棒を突っ込む。
今からやるのは塩化ナトリウムを高温で融解して、それで電気分解しる、いわゆる熔融塩電解だ。
そして魔法で電気を流す。ばちばちと火花が出る、そしてプールの匂いが出ている、つまり塩素が出ている。
そこに一瞬金属光沢をもつ破片が見えるが、一瞬で濁る。自然放熱で冷ました後、ピンセットでそれを集める。
「一体何に使うのでしょうか?」
油の入った瓶を持ってきたサルトロが言った。蓋を開けて慎重に液体ごと入れながら説明する。
「こいつ、金属カリウムはとんでもなく不安定な物質なんだ。で、水もといその中の水素と反応して熱を生む。その熱で自身を燃やしてしまう、んでその燃焼が強くて爆発する、ドーンだ。スティフ以外には見せたろ、あれはリチウムだったけど」
五人がその言葉に息を飲む。瓶に絵を描き言葉を書いた紙を貼り付ける、炎の絵が描かれ、水反応可燃物質と記されている。危険性はこれでわかるだろ。
「マジで厳重に注意しろ、あれ程度の量とはいえ他と連鎖で事故起こされたら大事故だ。酸化カリウムにはこいつに硝酸をつける必要がある、そのためにはアンモニアが必要だ。で、それを作ろうとしているのが工場な。それまでこいつは保存だ。次に酸化アルミニウムだ、原料はボーキサイト、赤い石として産出される……けどこいつは砕いて粉末にするだけでいい。」
「そんなのでいいの?」
スティフが言った。
「ああ、そもそもこいつの主成分が酸化アルミニウムだ、しかも酸化鉄が入ってる、後は二酸化ケイ素とか入ってるけど問題ねえ。で、それを砕いたものがこちらになります」
「そんな料理番組みたいに出されても……」
ガラスケースに入れた粉末を見せた。
「この粉末はかなり厄介でな、吸い込むと結構やばい、死ぬ。だから準備した上で十分に時間があるときにやっといた。で、酸化鉄――ほい、伸ばした鉄が錆びた黒錆鉄、終わり」
「……すっと出されても困るんだけど……」
「だって説明これしかねえもん、金属鉄を空気中で高熱下に置いて酸化反応を起こした、どっちかっていうと燃やしたか。あとはアンモニアができれば硝酸ができてそれで酸化カリウム……アンモニアがあれば…………」
冷や汗が顔から出てくる。視線をみんなから逸らす。
「タカハル様、どうなさいました?」
「……」
ルビーの問いに答えられない。
「! タカハル様、大丈夫ですか?」
「いや、体に異常があったりするわけじゃないけど……」
駆け寄ってきて心配したルビーに答える。
「じゃあ、どうしたっていうんだい? 普通には見えないよ」
「えっと……触媒ないとアンモニア作れなくて硝酸作れない……」
「――つまりそのアンモニアというのが無いので触媒が作れず触媒が無いのでアンモニアが作れないという訳ですか?」
「――うん……」
サティエルの予想に肯定する。
「へえ、君にも意外なところがあるんだね、プランに穴があるなんて――」
「そうです俺はどうしようもないアホです……」
しゃがみ込み土に指を当てながらスティフに答える。その言葉にルビーがあわあわとする。
「いや、そこまでは言ってな――何書いてるの……?」
(カリウムの重さ調べて粒子の量求めてそっから二分の一の量の酸素当てて……酸素は水を電気分解して、水素と酸素の混合気体はそれだけの空間にして下方置換で……そもそも重さをどうやって出す? いや、メートル法は使える、気圧は地球とほぼ同じ、だったら水の体積から重さは天秤で出せる、それで……)
「――何も地面に書くことは無いじゃないですか。」
地べたにメモを殴り書きしているとサルトロがペンと紙を持ってきた。気づくとさっきの思考が口に出ていたようだ、周りの反応がいじけてる情けない奴を見るような目じゃない。
「――ありがとう」
その紙とペンを持ち研究室の机に向かう、そして紙にKやらHやらOやらe-の文字を傍から見たらわけわからんように書き込む、スティフでもわからないだろう、だが俺にわかればいい。よくよく考えたら重さは必要ない、比でいい。酸化カリウムはK2OだからK:Oが2:1だから水との比も2:1で……いや全部分解できるわけがない、少し多めの量の水にしないとダメだ。さて、カリウムの原子量は大体39、酸素が16、水が18……そもそも覚えてる原子量はアバウトだ、同位体やらで誤差がある、だから多めでないと危険……電気分解はあの容器でよくて……
「よし、道筋が立った。同じ重さの容器と油用意しろ。あとは適当な長い木材とその容器を入れる皿、それにものさしも必要だ」
「かしこまりました、すぐ用意させます」
サティエルが答える。
「えっと、K:H2Oが13:6……ってどういうこと?」
紙を見たスティフがそう聞いた。
「原子量くらいはわかるだろ? つか説明したな、でカリウムが約39、水素1で酸素16だから水の分子量は18、で酸化カリウムはK2Oだから粒子の比は2:1。で、同じ粒子の量の時の重さの比は39:18、両比3で割って13:6。あとはそれをシーソーで計って終了」
「その酸素で酸化カリウムというものにするのでしょうか?」
サティエルが言った。
「やることは単純だ、酸素を金属カリウムに当てるだけ、ただその際水に触れさせちゃいけない。空気中のわずかな水にすらだ。一応俺の魔法で可能だったけど準備できる状況ならできる限りの用意はしておきたい、というわけでこの容器、今のうちに頼んどいてよかったぜ」
先程よりは小さいが直方体の箱の蓋に二つの伸びた口がある容器を出す。そしてそれを逆さにして先程の洗った容器に取り付ける。あ、やべえ足組取り忘れた。護衛に取らせて組み立てる。
「タカハル様、こちらは?」
サルトロが言った。
「空気より軽い気体を集めるように設計した容器だ。あ……」
「タカハル君、どうしたの?」
スティフが言う。
「水蒸気入ってしまうじゃんこの機構…………どうする、水蒸気、水素を一切入れず酸素だけを取り出す方法……過酸化水素の分解――過酸化水素の準備が長すぎる、保留……風船使って水素と酸素の混合気体は作れそう……そこで空気中の酸素で水素を水にして……あー、微妙に残っちまう……くそー、やっぱ魔法使う方が早いか?」
やっぱダメと容器を分解しながら口に出す。うだうだ悩んでいると頼んでいたものが届いていた。木材は大体2mくらいだ。物差しで正確に長さを測ったら丁度2mだった、それを1cmずつ目盛りを入れていく。
「水8:金属カリウム13で、容器をxとして、8+x:13+x……xを調べる方法は……x:13+xでいくか。よし、難しいかもしれないけど13のところに金属カリウムが入ってる方を、容器と油だけの方を丁度中央に置いて、それでつり合うようになるまで1ずつそれぞれ端側に動かしてくれ」
そう言うとアゲートとルビーがそれぞれ持ってきて1目盛ずつやってくれた。
「…………あ、つり合ったな。今度はつり合わなくなるまでそれを繰り返してくれ…………えーと、37〜40:50〜53か、ラッキー13で割れる値がある、大体39:13+39ってとこか」
「え? 大体でいいの?」
スティフが言った。
「大体でいい、そもそもちゃんと当てるなんてこと俺の世界の精密機械使ってもめっちゃ時間と金がかかるレベルだ、一応魔法もあるけど正直ふとした拍子にくしゃみとかで大惨事は避けてえ」
その言葉にスティフはアハハと苦笑いをする。
「さて、x=39を代入して8+39:13+39で47:52だ、47cmのところに金属カリウムの入ってる方を、52cmのところにもう一つの方を置いて、それで押さえといて」
そう言うとルビーとアゲートがやってくれる。すると金属カリウムの方に傾く、そして52cmのところに水を測りながら注いでいく…………650mlくらいか、それが最低限だからそれ以上……
「あとは肝心の酸素を取り出す方法だけど……魔法光合成は――酸素作るけど水も一緒に出しちまうし……なんかいい案ないか?」
「……そこまで悩むんだったら魔法使ったらいいんじゃないの? というかそれ以外僕らだと何にも思いつかないと思うよ」
スティフがそう言って護衛たちの方を見る、近接組はもちろんだめ、魔法組も考えてはいるようだが厳しい。
「しゃーない、そうするかー……」
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星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)
科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)




