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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
28/84

流れ転生者

「そこで僕は考えた、なんとか転生者に取り入ってもらって護衛になれば戦争に参加かつ命の奪い合いが少なくなるんじゃないかと!」


「……くははは、上手いこと考えたな。条件を一致する方法を考えた、これが思いついた時はとんでもなく興奮しただろ」

「ああ、そうだよ。詳しく考えて一晩眠れなかったね」


「さて、じゃあ腕出して」

「? いいけど――ええっ、ちょっとこれ何!?」


「安心しろ、危なくとも何ともないから。そうだな……自作自演……」

「なにが?」


「反応無しか…………うーん、じゃあこんな風に考えることもあるんじゃないか? 転生者一人殺せば一生分戦争に参加することになるんじゃないか、と」


「……考えたかどうかだったら『Yes』だよ。でもすぐにその考えは消えた、だって流れ転生者程度で転生者と相手になるかどうかは例の上位存在が難しいと言っていた。しかもそんなことしたら一日も経たず僕の頭と首が離れてるだろうね。しかもその転生者は同郷! 僕にはそんなことできないよ。

 で、そろそろこれのこと教えてくれない? すごい居心地悪いんだけど」


 俺はメモリを机に放っぽり出し見せつける。


「ポリグラフってやつ、聞いたことくらいはあるだろ。もう外していいぞ……俺も色々あってな。もし……万が一、小数点百桁以下の確率だろうと少しでもあるなら怖いんだよ……同郷だとしても……同郷だからポリグラフ対策しててもおかしくはない」


「……そんなことないんだけど、どうすれば仲良くなってくれるかな……ほら、僕『ジャパン、ニッポン』のこと大好きだよ、サムライだってニンジャだって好きだ。過去の転生者にサムライがいたって聞いてすごい興奮したよ」


「……」


「君ならこんなのがいいかな、あの狩ゲームは初代からやってるよ」

「まじで? 4からしかやってねーな」

「今それはどうなってるんだい?」


「立体起動してる」


「え? 漫画の話じゃないよ?」

「本当なんだなこれが」


 ぷちジェネレーションギャップだな。


「護衛が置いてけぼりだからここら辺で終わりな、もっと話していたいけどな……あー、色々バカらしくなってきた。あーだこーだ考えてるよりもっといい方法があったよ、人質だとかカネだとかで俺の命狙ってやがるなら聞け。全部一緒に解決してやるよ、だから知ってるこ全部話しやがれ。そしたらお前の願ってること叶えてやるよ!」


「僕には話すことなんてないよ、つまりそれは即効の話でいいのかい?!」


「いやまあ、すぐは難しいけど転生者権限で護衛任命」


「「「「!!??」」」」


「あれ、勝手に決めちゃダメなやつ?」


「え、えーとサルトロさん、前例は?」

「無いと思います……」


「よーし、前例がないならどうとでもなるな!」


「そんな暴論な……」

「……流れ転生者といえど護衛としての能力があるか不明です」


 あー、そういえば転生者護衛ってとんでもない努力して何人もの中から選ばれたんだったか、そうするとあんまりいい目では見られないか。


「じゃあどうすればいい? 実力はあったみたいだけど……」


 ……アゲート、サティエル、サルトロにダメージが入った。


「リ……リベンジです! あの時は見苦しい姿を見せましたが次はそうはいきません、一対一で負けたら自分は認めますよ!」


 アゲートが立ち上がりそう言った。ちらっと他護衛の方に視線を送る。


「アゲートがリベンジするのは勝手ですけど、護衛になるかどうかは……」


「じゃあやりましょう!」


 サティエルの話を聞いたアゲートはそう言った。この際護衛とかどうでもいいのな、スティフの方を見て確認する。


「うん、いいよ。わかだまりも無く働きたいからね。ぽっと出の人が来ても不安だろうしね」



 ……家の裏に行く。アゲートとスティフが向かい合う、そしてアゲートは両手で、スティフは片手で剣を構える。アゲートの方が剣のリーチは長い。


「……始め!」


 サティエルの合図にアゲートが飛び込む。スティフはそれに対して体を横にして細剣を前に突き出し牽制する、フェンシングのように。実際転生前はフェンシング選手だったけどな。アゲートは剣を避けながら一定の距離を保ち隙を見て縦に振ろうとする、しかし横にいなされる。続けてスティフは突きを繰り返すがアゲートには一定の距離を保たれる。

 リーチの差を活かしてるのだろう、ただ決定打はない……するとアゲートが斜め横に跳び仕掛けた、姿勢を低くしながら横に剣を振る。しかし難なく後ろへ避けられる。


――ほんの一瞬だった、後ろへ跳ねたと思ったらすぐにスティフの剣先すぐにアゲートの額があった。目でギリギリ追える速さでもう一度前に跳躍したのだ……そのままお互い数秒動かない。


「……終了です」


 サティエルの合図にスティフは剣を鞘に戻す。アゲートも立ち上がり同じように剣を戻す。


「どうかな? 認めてもらえたら嬉しいんだけど……」


 アゲートに手を差し伸べた。それに不服そうに手を取り立ち上がった。


「言ったことですから取り消しませんよ……」

「うん、ありがとう」


「……これでいいか? 実力はあるのはわかるだろうしあとは城の人に言っておけばなんとか――」

「タカハル様……私にもさせていただいてもよろしいでしょうか……?」

「えっと、スティフがいいって言うなら」


「僕は全然構わないよ」

「……休みは必要か?」

「ご心配どうも、でも大丈夫です」


「えっと……また審判私ですか?」

「代わりましょうか?」


 サルトロが申し出る。


「……いえ、大丈夫です……では……始め!」


 ルビーが玉を大剣に変える。


「……さっきも見させてもらったけど、すごい力だね……」


 俺もそう思う。どっからあんなエネルギー持ってきてるんだよ。


「できる理由は色々――」


 ルビーが前に出る。それに対しスティフが剣を突き出す、ルビーは大剣の腹で受け止める。そしてそれを振り払いそのまま上から振り下ろし反撃する。スティフは斜め後ろに回避する。ルビーはすぐ剣を持ち上げる、反撃の隙を与えない。

 今度はスティフが出る、右手に持った細剣を幾度も突き出す。速いが質量が足りない、全て受けられる。

 ……そのような攻防が数度繰り返される、ルビーが連撃を振り払うと大剣を玉に戻してそれを持った腕を上げた。


「ちょこまかと…………」


 それを大剣にしながら思いっきり地面に叩きつける。その周辺の地面がえぐられる、轟音が出る。その衝撃にスティフは体勢を崩す。慣性の法則を駆使した合理的な攻撃だ……てかそんなにエネルギーでるか!? あとルビーの腕の負担やばそうだが大丈夫なのか……?


 ルビーは地面へ衝突させた分の腕へのエネルギーなど無いかのように崩した大勢のスティフにこの隙を逃すまいと高速で近づき大剣を振る、だがスティフはバク転で攻撃を避けながら距離を取る。身体能力すげえ、前世でもできたのか転生者ボーナスか……どちらでも今はいい。

 ルビーが剣を振り回してスティフはそれを回避しなんでがら攻撃を入れようとする。だがお互い一歩も譲らない。また同じような光景となる。

 スティフが剣を弾かれまたルビーに反撃されそうになるところで無理矢理剣をルビーに向けなおした。ルビーはそれに気づいたようだ、そこで無理矢理慣性に逆らい剣を振り落とす。いやマジでどうなってるんだ……腕ぶっ壊れないか心配なんだが……


 このままじゃ埒があかないとルビーは思ったのか左手に剣を持ちスティフに近寄る。勿論スティフは突きを繰り出してくる。


 ――すると右手でスティフの剣先を持っていた。そして大剣をスティフに向けて声を発した。


「私の勝ち」


「ちょっと!? 僕の負けだから早く剣離して! 血が出てるじゃないか――」


「――姫様なんてことしてるんですか!! そこまでしなくても――」


 サティエルが寄ってきた。そして魔法で治療しながらそう言った。するとそんなのは構わずスティフに向かって言った。


「名をスティフと言ったか、私たち護衛はタカハル様の為なら手どころか命すら惜しまない。それが保身の為に同郷だからとタカハル様に取り入って護衛になる? 確かに少なくとも戦闘面では十分な実力があった。だがそんなことだけでは私達だけじゃない……護衛になろうとしてできなかった人全てへの侮辱。聞く限りだとタカハル様より自分を優先するようにしか思えない」


 ……考えが浅はかだった。護衛を目指した人はこの四人だけじゃない、きっと数多くいるだろう。スティフが護衛になることに対してルビーはその人達にも気にかける。もしスティフが護衛になったら我も我もと頼み込んで来る人が多く出てくるだろう。


「悪かった、俺の考えが甘かったな」


「! あの、タカハル様の判断が間違っているというわけではなく……」


「大丈夫、地位に甘えて間違いを認めないわけにはいかない」


「……僕の方こそ間違っていた。なんにも知らず無責任なことを頼んでいたよ。確かにそんな僕には転生者の護衛なんて無理だ、諦めるよ……」


「ああ、護衛は諦める方針で頼む。だけど人の命を奪いたくないわけだろ? じゃあそこで頼みだ」


 この発言にスティフは期待の込めた瞳でこちらを見た。


「何をすればいいんだい?」


「まずは隠蔽工作だ、俺が科学マンだってことは知ってるだろ。そんで今大規模な計画が始まっててな、だーけど転生者がそんなこと企んでるなんてわかったら間違いなく妨害工作の嵐だ。だけど、金目的の商会と知識持った流れ転生者が手を組んだってならまだ納得ができる」


「そこで形だけでも僕がその流れ転生者になってもらうということだね」


「そうだ、で二つ目が監視『カメラ』代わり。お前の精霊はサティエルの幻惑魔法、俺の対魔覚魔法を看破した。あの小屋とこの村の距離で俺らが姿現してから時間が合わない、実際俺のところにちょっとした事件に乗じて城に侵入した暗殺者がいたんだ。んで、それの対策してほしい。できるか?」


「別に僕の精霊ってわけじゃないけどね。できるよ、城の中に精霊が浮いてうろつくって面白い光景になるけど――ってそれもう護衛みたいなものなんじゃないかな……」


「いや、能力を買って仕事をしてもらうんだ。対価払えば問題ないんじゃないか?

 ……そんな建前はあるけどな、本音は俺は仲間――友人が欲しいんだと思う。もともと俺は友達が多いわけじゃなかったけど色々あって楽しかった。今は四人もいてくれる、辛いこともあったけどほぼ毎日楽しいよ、楽しんでていいのかは別問題だけど……でもみんな敬意を持って接している」


 その発言にルビーが少し反応を示す。


「勿論それが悪いことだとは言わない。良し悪しなんて決めるのは人間だ、それも今回は当事者だけ、俺は自由にして欲しいよ。それは無理に合わせる方がお互いにいい気はしない。でも……論理的には難しいな、なんていうんだろうな、同郷だからだろうか、同じ経験にあったからだろうか、それともそれ以外、あるいは複数または全部か。親近感がスティフに湧くんだ」


「僕も君とは仲良くなれそうな気がするよ、なんならもっとフレンドリーになった方がいいかい?」

「やめろ気持ち悪い」

「君ズバッと言うところあるよね、友達少なかったのそれのせいなんじゃ……」

「だろうな。俺の思考の天秤は相手に傾きやすい欠陥品なんかじゃねえよ。」


「でも王都周辺を一周するし極秘プロジェクトは?」


「俺の時間、それに必要な他人の時間とそれによって救われる人の時間が比べ物になんないほどだからだよ。重量強すぎて万有引力で思いっきり引っ張られるほどだ」

「ハハ、合理的に自分より周りの結果を優先するところすごい良いと思うよ。それにジョークの才能もあると思うよ」


「そうか……で、説明は終わりだ。お前はどうするんだ? 俺は断ろうが引き止めるつもりはない。」

「答えは決まってるよ。君の友達として、僕を頼ってくれ、そして君を頼らせてくれ」

ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。


星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)

科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)


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