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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
27/84

犯人捜索

 馬車でエルフの森まで丸一日ほど走った、ここからは徒歩だ。


「ほれ、お前は先歩け。ただし広い道選べよ、幻惑魔法で勝手に着いてくから。サティエル、頼んだ」


「〈イリュージョン〉」

「〈ステルス型魔力障壁〉」


 サティエルが魔法を使いそれを俺が魔力障壁で囲む。どうやら周りからは見えないらしい、光学迷彩のようなやつっぽい、俺も使えるようになりたい、夢が広がる……車が光学迷彩するのとかかっこよくね? でも音の問題もあるか。静音車とか何年掛かることやら……

 そんなこんなで歩き続けた……ちょ、疲れた、二時間は歩いたぞ……小学校の時の遠足や中学校の修学旅行での嫌な記憶が蘇る……ヤメロー、先生と一緒に後ろ遅れてくるの気まずいんだよお〜。

 そんな考えを巡らせながら頑張って歩いていると小屋が見え、その前であいつが止まりノックをした。すると男性の声が聞こえた。


「合言葉」


「レ、レックス国万歳……ホウカイ様を崇めよ……」


 ホウカイはレックス国の宗教だったか、確かにこの国の宗教の信者だったら言わない合言葉だな。

 扉が開いた。中に見えたのは黒いローブを被り、身長はローブ込みであのエルフと同じくらいだ。他にも複数人いる。

 するとエルフは周りを少し気にした後入っていった。小屋に近ずくと窓があることがわかった。中を見ると……

 ――いた、エルフとさっきのローブ男と……ウィザライだ。護衛達の方を見てどうするかを求める――ルビーがジェスチャーを使った。えーと、三・二・一で突撃……うん、まあそれが最短だろうな。さてどうするか、安全に鎮圧する方法……これでいくか。頷き合図を促す。


 ルビーが玉を持ち左手を空け、アゲートが腰の剣を構えて、俺、サティエル、サルトロが杖を構える。

 三――小屋の中の敵を見据える。

 二――脚に力を入れ、杖に魔力を流す準備をする。

 一――ただルビーの人差し指が曲がるのを待つだけだ……

 ……ルビーの左手が拳に変わった。俺は魔法を解除する、それと同時にルビーが玉を大剣に変え窓に飛び込みガラスを叩き割る、そしてアゲートが入り込み近くの奴を倒す。それに続き俺ら三人が窓から侵入する、もうちょっとカッコいい入り方したかった。


「!? おい近くに何にもいねえって言ってただろ!」

「本当に探知魔法でいませんでしたよ!?」


「クソエルフ、転生者生きてるじゃねえか! てめえの仕業だな!」

「ヒイッ、ぼ、僕は悪くない……」


 ウィザライがローブ男に怒鳴り、エルフの首を掴んだ。そんなことしてる暇あるのかねえ。


「「〈バインド・チェーン〉」」


 サティエル、サルトロがそう唱えると地面からあのエルフ以外の全員を縛り付ける鎖を出した。都合がいい、魔力で銅線をすぐさま作り出し最短ルートで敵全員の鎖を繋ぐ。


「〈電流〉数mA(ミリアンペア)、50万V(ボルト)


「「「ぐあああ!」」」

「ヒギャア!?」


 銅線と鎖が電流を伝って、全員が叫び倒れた。ついでにエルフも。二人は安全を確認して魔法を解除した。


「あ、わりい。生き物の体も電気通すんだった」


「な、なんで……二回目……」


 体を痙攣させながら彼は不満を言う。電流受ける時間短かったしまあ他の奴らよりマシだろ。

 ……さて、あとは適当にまとめて拘束して、後から来る人達に任せれば……

 ――ウィザライが動いた、そして後ろへ跳躍した。うっそだろ、あんだけの電圧電流喰らっといて動いて……あ、鎖の電気抵抗忘れてた。でも他の奴ら動いてなくね? んなこと考察してる場合じゃないな。さてどう動いてくる……そいつは二本の指で輪を作りそれを口に入れ大きく口笛を吹いた。あー、想定内で一番面倒なのやりやがった。


「〈バインド・チェーン〉」


 サルトロが鎖でウィザライの首を絞め気絶させた。


「仲間呼んだな……」

「恐らくは、ですが問題ありません」


 ルビーが答えた。まあ戦力的に相当なのが来ないと護衛は四人のうち一人も傷すらつけることができないだろう……そうすると茂みの動く音がした。そっちを見ると魔覚が捉えた、炎だ。火球が飛んできたがサティエルの魔力障壁で消える。するといろんな方向から明らかな敵が出てきた、恐らく俺らの見ていない方向にもいるはずだ。えっと、約30度で九人か、かける12で……


「後ろ含めて百人ちょいくらいいるんじゃないか……」


 サティエル、サルトロも全員を外さず拘束するのはきついし俺も銅線を繋げるのは結構厳しい。だったら一人あたり二十人以上相手するのが簡単か。一応俺らは建物の中だ、一応少数対多数は有利だが……後方で魔覚が複数のそれを捉えた。


「あいつら火放ちやがったぞ」


「外に出る方が賢明です、私が安全を確保します」


 ルビーが外に出る、すると五人ほど剣を持って飛び込んで来るが……横一振りで全員吹き飛ばした。ルビーかっけえええ! ルビーに続き俺らも出る。すると何本も矢が飛んで来るが想定内、魔力障壁で全て弾く。さて、どうすれば一番効果的だろうか……

 敵を観察しながら思案する……すると敵が鮮血を出しながら倒れた、敵も困惑していたがすぐに同じように倒れる。そしてたった十秒程で全員倒れた。一体何が起きたんだ……


「――やあ、久し振り」

「スティフ! ここそんなに騒がしかったか?」

「まあ、騒がしかったけど距離があったから他の人は気づいてないと思うよ」

「じゃあどうやって……」

「この子さ」


 スティフの後ろから緑色の光の粒が出てきた。さらに続々と赤、青、黄、白、紫、その他諸々色の光も、それも同じのがいくつも出てきた。


「この子達、こっちに来た時に僕に懐いてくれたみたいでね。もしも転生者が来たら教えてくれって頼んだんだ」

「お前はただの剣士かと思ったら精霊したがえてるファンシー剣士かよ」

「もうちょっと言い方が他にあるんじゃないかな……というか死んだって知らせを聞いてすごく心配したんだよ、王都の城にアポなしで行こうかと思ったよ」


「大迷惑だからやめろ――それよりも……さっさと出てこいよ。上手いこと幻惑魔法を使ってるみたいだけどな、バレてんぞ正体見せろ」


 ちょうど右を見て言った。そこには魔覚で感じる空間がある。サティエルも気付いたようだ。


「フッ――」


 そう高い声での小さい笑いが聞こえ、20m程の所で姿を現した。身長は俺よりも低い。またローブ姿だ。あの声だと男女わからないな。

 気付くとルビーが飛び込んでいた、マジか様子見とかしないのな。


「〈グラビティ〉」


 ルビーがあと半分のところで止まった。魔覚でわかる、重力魔法をかけられた。敵は魔法系だ。しかしルビーは先程の九割程度の速度だがもう一度突っ込んだ。あれ2Gは軽く超えてるぞ……


「〈魔力障壁ガラス〉〈魔力障壁鉄壁〉〈魔力障壁土壁〉」


 敵は三度魔力障壁を使った。それをルビーは二連続で破壊するが、土壁で止まった。削ることはできたが下に落ちてきて魔力の土がルビーを襲いそうになるがすぐバックステップで回避する。


「ケノン、幻惑魔法を僕にかけて。」


 すると紫色の精霊がスティフに魔法を使い、視覚からスティフが消える、だが魔覚でわかる。そしてジグザク走行しながら敵に近ずく。


「〈バインド・チェーン〉」


「〈アンチバインド〉〈グラビティ〉」


 サルトロが敵を拘束するがすぐに弾かれる。さらにスティフの場所を的確に重力魔法を使う。スティフの体が現れる、地面に手をつけていた。


「〈ウィンドフライ〉」


 敵の下から突風が発生する、しかもそれで5mほど浮かび上がった。確かに調節が完璧なら低空飛行はできる、だが一体どれだけの練習が必要なことか。


「逃がしません〈グラビティ〉!」


 今度はサティエルが重力魔法を使った。だがすぐに横に移動して回避される。

 ……すると重力魔法から逃れたルビーがアゲートの近くに寄った。すると投げた、流れ作業のように。驚いたアゲートだがすぐ状況を判断して敵を見据え剣を構える。


 が、風に上手く乗れず敵まで辿り着けない。俺は落ちるアゲートを風魔法で着地させる。逃がしたくない、さて広範囲、死なない程度……あ、


「〈高圧力空間〉! 50気圧!」


 魔力障壁の箱に思いっきり窒素を入れる。それを奴の足元に飛ばして魔力障壁だけ解除する。すると爆発で気流が乱れて制御が取れず落ちる、だがギリギリで持ち直された。

 そのまま高速で逃げられる。離れた所で幻惑魔法を使われた。


「流石にこの距離だとわからないか……」


 護衛組は大分悔しそうだ。エリート集団だもんな。


「た、助けてくださーい」


 あ、エルフのこと忘れてた。火がこの部屋まで回り始めたのでそいつが助けを求めていた。魔力カーボンナノチューブロープで引っ張り出してやる。


「彼は?」


「雇われて俺を暗殺しに来たけど返り討ちにされて犯人探しに協力してくれた奴。てか今はそれよりも消火だ」


 俺と護衛魔法組、そしてスティフの青い精霊が魔法で水をかけ鎮火させる。そして十分後くらいに騎士とかが来てここにいた敵を回収して馬車も届けてくれた。一応あのエルフも連れていかれた、悪いようにはしないでと伝えておいたけど。


………………


「もし君に今時間があるなら僕のところに来てくれないかい?」

「わかってる、もともとここに来たついでに行くつもりだったよ」


「で、僕は乗せてもらえないんだね……」


「悪いなスティフ、この馬車は俺と護衛専用だ」

「そんな日本の一大アニメの例の彼みたいな風に言われても……」


「タカハル様の同郷であろうと安全のために乗せられないんです、速さは合わせますので」


 アゲートがそう言って馬車が動き始めた…………数十分というところだろうか、村が見えてきた。ここには果樹が多くあるようだ、森だから畑は適さないだろうしな。そして一つも住居の前で止まった。


「ここだよ」


 スティフが言った。その小屋の居間に入ると金髪の長い髪、エルフの女性がいた。


「スティフさん、私はお邪魔だと思うので……」

「うん、ごめんね……えっとね、転生してから色々あって彼女のお世話になってるんだ」


「ふーん、まあお前の成り行きは興味ねえ。」


 スティフは一瞬微妙な表情をするが諦める。


「まず何で初めに会った時幻惑魔法なんか使いやがった?」


「あの時は本当に悪かったよ、迷惑になるとはわかってたんだけど。無視されて逃げられるのが僕にとって一番悪い結果なんだ。敵と思われても話すことが重要だったんだ」


 ……疑問点はあるが明らかな矛盾がない。


「……お前は俺と何を話したい、何をしたい、あるいは何をさせたい?」


「世間話は苦手なタイプだね。うん、結論から言うと君といさせてほしい」


 俺は特に反応するわけでもなく話の続きを待つ。


「僕は戦争に参加しろと言われた、いや脅されたの方が近いか。そうしなかったらどうなるかはわからない、具体的なことは教えてくれなかったけど人智の超えた力を使ってくることは間違いない。臆病かもしれないけど怖いんだ、戦うこと以上に」


「それは俺らの世界で生きてきた価値観でもか? ここでの戦うことは命の奪い合いだぞ」


 そう言うとスティフは小さく頷き口を開いた。


「転生してからすぐ色々あったんだ。どうも命の価値観が変わってしまった、良いことか悪いことかはわからないけど……」


 ちゃんとしたことはわからないが俺と違って流れ転生者は転生してからすぐは生存的にも社会的にも厳しいのだろう。


「それでも、やっぱり人の命は奪いたくない。兵に志願することは簡単だったよ、でも僕はすぐ転生者が転生してくることを知ったんだ。そこで僕は考えた、なんとか転生者に取り入ってもらって護衛になれば戦争に参加かつ命の奪い合いが少なくなるんじゃないかと!」

ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。


星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)

科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)


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