表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
21/84

帰宅

 あれからおよそ一週間後……


「ふー、帰ってきたー」


 意外な出会いがあったりしたものの予定通りだ。ちなみに南の海に近い方が生産量が多かった。雨が降るのだから当たり前だけどな。


 馬車から降りて護衛達と城に戻る。


「さてと、それじゃあスティフのところに行くよう手配しておいて。俺は部屋で資料とにらめっこでもしてるから」


「かしこまりました」


 歩きながら話してサティエルが返事をする。するとある男が来て話しかけてきた。


「長旅お疲れ様です」

「ああどうも、プレナイトさんでしたっけ?」


 今は腰に剣をかけ、鎧を身につけている。


「覚えていただき光栄です。実は現在、一部の兵達が王城に来ておりまして。士気を上げるためぜひタカハル様にご挨拶していただければと」

「一般の兵がタカハル様の姿を見るなんて危険すぎます。プレナイト様もわかっているはずですよ」


サティエルが反応した。


「では、監督官にだけでも」


「ああ、わかった行くよ。ただし行ってすぐ戻る。それでいいですよね?」


「ありがとうございます。では、こちらに」


 プレナイトに着いていく……



「では、あちらに」


 プレナイト背中に人のいる方へ歩いていく。

 ――すると物音がした。


「〈魔力障壁〉」


 ルビー、アゲートが同時に動いたが俺の魔法に気付いて合わせるように動きを修正する。流石だ。

 しかしコンマ数秒プレナイトが魔力障壁に到達する方が早い。


「〈障壁破壊〉……なっ!?」


 後ろへ振り返ると剣を弾かれたプレナイトがいる。すぐにルビーに腕を掴まれ地面に叩きつけられ、剣は手から離れ、首元にアゲートが剣を突きつけた。


「〈バインド・グラウンド〉」


 サティエルがそう唱える地面から岩の棒のようなものが生え、プレナイトを拘束した。そしてそのまま地面へ這いつくばさせる。


「……なぜ……」


 アゲートが呟いた、剣を持っていない手は強く握りしめられている。


「まあ、この可能性はあると思ってた。だいぶ前から敵の息がかかっていたっぽいな。ただ転生者相手の演技が上手くはなかったな、宗教的に強い立場の俺を否定するにしても言い回しがもうちょっと他の方法があったな」


「それだけで……」


「いやそれだけじゃないな」


 声を上げるプレナイトに言い返した。


「兵士を増やさない、そう言われて合理的な理由があるんだと思ったんだけどな。よくよく考えてみたら、俺の世界では戦争中無理矢理でも兵を増やすよう戦争中はどこの国も立ち回ってた。理由は単純、それが経験上正解だからだ。無論この世界の常識は知らねえけどよ。

 だから結局は勘だ。けど見事に的中した。

 さて、今まで戦力をコントロールしようとしてたなてめー。誰も気付かなかったのは多分お前が一番戦争に詳しいって他のみんなは思考停止してたんだろうな、俺もしかけてた。いい感じに手柄を上げた、もしくは上げたように見せたんだろ」


 少しの沈黙の後、サティエルが魔法で首を絞めて気絶させ、喋り始めた。


「――そいつの処分は上に任せます。大事なので、混乱に乗じて刺客がまた来るかもしれません。ですのでタカハル様は少しの間隠れてもらうことに――」


 足音がした。サルトロの方からだ。どうしたのかと視線を向けると――







 ――右手でナイフをこちらに向けていた。それは明らかな攻撃目的だ……


 くそ! 状況の処理に時間がかかった! サルトロは視線に気づいて地面を蹴って距離を詰めてきた。

 魔法は間に合わない。こんな時のために練習重ねてきただろ! 距離を取りながら攻撃を外らす、何度もやってきた。

 よし、受け流せた。次の攻撃には誰か間に合うだろ――


 ――反対の手にもナイフを向けて突きつけてきた。

 両手も使えない、魔法も間に合わない……! なら受けるダメージを少なくだ。狙いは腹だ、体の中心は避けろ、横なら治療もなんとかならないこともない。

 痛みに心の準備をした時、横から衝撃を受けた。ルビーが跳んで俺を庇った。ルビーの腕に少しナイフが掠って、そのまま地面に倒れる。ルビーの傷は浅い。するとアゲートがサルトロの方へ走ってきて柄の部分で首を叩き、サルトロは倒れた。あれみねうちってやつだよな?

 サルトロが倒れる時妙な感覚が魔覚であった。


「サルトロさんまで……」


 アゲートがとてもショックを受けている。かくいう自分も大分ショックだ。可能性はあると思っていた……だけど杞憂だろっていう方の考えが強かった――しかしそう考えるのは早とちりかもしれない。


「サティエル、今の魔覚は?」


立ち上がりながら言う。


「おそらく、伝達魔法か隠匿しきれなかった支配魔法かと」


 情報を伝える伝達魔法、他人の体をロボットのように操る支配魔法。両方効果範囲は最大2kmほどだ


「だったらサルトロさんは……!」


「俺もそう願ってるよ、てか魔法じゃなくてナイフ使ったあたり確実だろう」


 他人の魔力を使うなんていうのはとんでもなく難しい、支配魔法を使っていてもだ。しかもそれが遠隔だ、ほぼ無理に近い。


「にしても、こんなナイフで殺害まで持ってくのは場所限られて難易度高すぎるだろ。主犯は一体何考えて――」


 ナイフを拾い上げて言う。


 こんなナイフじゃ難しい? それは隠しておくためだ、なら殺害するためにどうする――





 ――ナイフにルビーの少量の血とついていない場所に透明な液体が付着していた。


「……ルビー、傷見せろ」


「こんな傷なんとも」


「ダメですよ。ルビー様は王族なんですし、それ以前に女性なんですよ。早く傷は治して――」


 サティエルが傷に魔法をかけようとした。


「待て!!」


 他のみんなを驚かせた。


「悪い、でもダメなんだ。こんなナイフで簡単に殺せるわけがないのは向こうもわかってるよ、じゃあどうするよ?」


「え…………毒……!」


 サティエルがそう声を発して全員の表情が変わった。


「そういうことだ。ああもう、くそ! 毒の種類も分からねえ、致死量もなにもかも。しかも毒を出すには時間をかけすぎた!」


 嘆いてる場合じゃねえだろ! ヒントから答えを出せ! 手元に毒の実物があるだろ。


「無色透明、匂いは……なし。なんか気付いたことあったら、言ってくれ。ルビーも体に異常があったらすぐ言え」


「……あ! タカハル様、サルトロと二人きりになる時がございましたよね。」

「ああ、あったな……ああ! ってことは毒を手にしたのはおそらくその後か!」

「そしてその後に手に入れたとして思い浮かぶのはブラックテシフコブラの毒かと。その毒の特徴と一致もしますし、暗殺にもよく使われることで有名です」


「毒の症状、致死量、解毒方法は?」

「症状は傷に少しでも入ったら呼吸困難に、そして……最大三日で死に至ります。致死量に関しては少しとしか、解毒方法に関しては全く……申し訳ございません」


「いや十分だ、恐らく神経毒か。だけど……もし致死量超えてたら解毒まで時間が足りねえ、くそどうすれば、考えろ考えろ――!」


「タカハル様……その、ほんの少し呼吸がしずらいです」


 ……! くっそもう進行し始めやがった、プラシーボ効果の可能性もある。だが実際に進行している可能性も十分だ。どうすれば助けられるんだよ! タイムリミットは三日……!


「タカハル様、時間があれば助けられるのですね?」

「……稼げるのか?」

「はい、時間低速魔法を極力かければ。私含めて王城内の魔法使い全員で、ルビー様の体を考慮して三十日は稼げます!」


「三十日……ギリだがやるっきゃねえ! アゲート! 研究室の緑色の印の試験管、細長い器を五本持ってこい、全速力だ!」

「はい!」


 ルビーを確認すると呼吸音がかすかに聞こえるほど呼吸が少し荒くなっている。親指をルビーの手首に当てて脈を測ると少し速い、どうにか安心させる必要がある。この場合の毒で一番の敵はプラシーボ、思い込みだ。どうすればいい……


「あっ」


 手首から手を離すとルビーがそう声を発し、俺の手を掴んだ。目が合うとその瞳には涙が溜まり今にも泣きそうだった。

 手を優しく握り返して語りかける。


「……安心しろ、絶対に助ける。いいか、思い込みがこの場合一番の敵だ。自分ではそんなつもりは無いって思ってても意外にも体に影響があるものなんだ。だから落ち着いて呼吸を整えて、心拍数を抑えて毒が体に回るのを遅くさせるんだ」


「――はい」


 ルビーの気持ちも少しは落ち着いたようだ。


「持ってきましたー!」


 アゲートが駆けて戻ってきた。


「よし、ルビー。今から血を抜く、そうしたらすぐに延命だ」


 ガラスタイプの魔力障壁を穴の開いた管状、穴の直径は0.1mmくらいだ。できた、それをガラスの管状の大きい棒とくっつける。その棒に大きさがちょうど入るフタを入れる。


「うっし、腕出せ。そのまま手を握って、大丈夫だリラックスして」


 こっからはぶっつけ本番だ。人の血なんて抜いたことねえ……ぶっつけ本番なんて今まで何回もやっただろ、今更だ。理屈ではわかってるだろ、緑色に見えてる静脈に刺して血を抜くだけだ。なんてことはないはずだ。

 針をルビーの腕に刺していく、ルビーの方は大丈夫だ。採血された時の見た目から大体この辺か、そのまま蓋を動かすと血は出てくる。500mlは欲しい。

 ……これくらいか。あまり多すぎてもルビーの体に悪い、多ければ多いほど確実だがそうするとルビーの免疫にダメージがいくジレンマだ……


「よし、サティエル。準備は?」


「伝達魔法で連絡をしました、もうしばらくお待ちください」


「ブラックテシフコブラの毒をできる限り多く用意しろ、あとマウスも二十匹は必要だ、用意しろ」


 サティエルに必要な物を伝える。


「ルビー……ブラックテシフコブラの毒ピンポイントで解毒を進めるか、毒を解析しながらいくかどちらがいい? 必要なことだ、決めてくれ」



「……タカハル様の信じる方を」



 …………俺は言い訳を作っていた、失敗した時のために。なんて無責任なやつなんだ……俺は。

 だがそんな考え取り払え、迷ってる時間が非合理的だ。さあ、タイムリミットありの科学、生物実験だ。やるっきゃねえ、俺ならできるはずだ!

ご閲覧ありがとうございました。よろしければ評価、感想をお聞かせください。気軽にお願いします。


星一評価、辛辣、一言感想でも構いません、ちょっとした事でも支えになります。世界観や登場人物の質問もネタバレにならない程度に回答します。(ガバあったらすいません)

科学質問も出来る限り回答します(ネット知識なので大したことはできないしガバガバですが……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ