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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
18/84

ダンジョンその二

 よーし、大分手際良くなったぞ。地面に溶けていく青白い液体を見て思う、魔法で核を傷つけるのに慣れてきた。


「そういえばどこまで行くつもりなの?」


「最深地までです。そこまであと三分の一程度です」


 そこまで歩いた気はないが外が見えないと大分時間感覚が狂う。とはいえ俺が疲れてないのだから歩いた距離が短いことには変わりないだろう。

 そんなこんなで何も遭遇せず数分ほど、小さいスライムがいた。見た目では強そうでは無いがここにいるのだから通常種で無い可能性が高い。

 そう考えるとルビーが地面に剣を突き刺し地面が少し砕け、そのかけらをスライムに投げつけたが掠っただけだった。何してるんだろうか……


「姫様!? 何なさってるんですか!?」


サティエルが叫んだ。


「――どういうこと?」


「あれはコールスライムというスライムでして危険を感じると周りのスライムを呼び寄せるといいう……」


「へー…………え? サルトロ、今なんて――」


 その瞬間そのスライムからの急激な衝撃が魔覚を襲った。


「っ! 今ので助けを呼びました。」

「解説してる場合じゃねえだろ!? サルトロ」


「はい! 多くのスライムが来てしまいます!」

「なんでルビーは興奮してるんだよ!?」


 そんなことを話していたらもう来やがった、高さ2m程の山型だ。魔法でいくつか氷を作り核に向けて放つ。そいつは倒せたが――


「……何体来るんだよ」


 サティエルとサルトロも攻撃を始めている、ルビーとアゲートは俺の近くで警戒態勢だ。


「後ろからも来ます!」


 アゲートが告げた。すると今までに見たことない速さでスライムが飛んできた。しかもなんか棘ついてるぞ!? 魔力障壁を――

 それよりも先にアゲートが剣に炎を纏わせてタイミングよく斬りつけ蒸発させた。この調子なら……

 ……俺の横数十cmくらいのところに液体が落ちた。上を見ると触手が天井から穴を開けこちらを狙っている。


「上か!」


 即座に魔力障壁でガードする。それが突いてくるが魔力障壁によってガードされる。数秒遅かったらマズかった。

 しかし核が見えない、一体どうすればいいだろうか。

 するとルビーが跳躍して天井を剣で砕いた。まじかよ。


「〈放射斬撃〉」


 ルビーがそう唱え、ある方向へ剣を横へ振ると魔覚がその剣から放射状に魔力が広がっていくのを捉えて視覚が放射状に広がる光を捉えた。一体何のエネルギーだあれ、光エネルギー? 光るくらい熱エネルギー持った物質を飛ばしているのか?

 

「〈魔力障壁〉」


 ルビーは魔力障壁を足場にして天井の上に行った。そういう使い方もあるのか。

 どうやらダンジョンは蟻の巣のように立体的に道が繋がっているようだ。


「ここの奴らを担当します」


「お、おう。わかった」


 気付くとアゲートの負担がやばそう。善戦はしているがサルトロとサティエルと違い一方向を一人で相手しているから俺も参加した方がいい。さて一本道、どうするのが効果的か……ある魔法を思い出した。


「アゲート、魔法ぶっ放すから合図出して下がれ!」


「じゃあ、今で大丈夫です!」


 そう言って後ろに跳躍した。え? 早やいよ! 準備出来てねえよ! しゃーない、全速力で魔力を回せ! 文字通り!

 アゲートの前まで走りそれを投げる。

 食らいやがれ、名付けて〈プロペラ飛ばし〉! 前のより巨大だし回転数も速い! ネーミングセンスはシラネ。

 それは壁や地面と衝突してバウンドしながらスライム達を核もろとも抉っていく。あやべ、急いで俺の前に魔力障壁を作る。それに液がびちゃびちゃついてくる、そらそうなるか。

 こっちの方は来る様子がない。サティエル達の方を見ると一回りも二回りも大きいスライムがいた。どうやら魔力障壁に手こずっているようだ。手伝わないと――

 そう考えるとそいつの上の天井が光った気がした。うん? すると天井が落ちてきた、正確にいうと天井をくり抜いた岩が落ちてきた。もちろんスライムはぺしゃんこだ、しかもなぜかそれの上にルビーが乗っている。いや登場のインパクトよ。


「こっちは終わった。そっちは?」


「姫様なんで上にいたんですか……こっちもそいつで最後ですよ。もう、その下に魔石いっぱい落ちてたのにペシャンコじゃないですか」


「ダンジョン内なら問題ない、お金に困ってるわけでもない」


「確かにそうですけどー……って、もう行ってますし。ちょっと待ってくださいよー」


 気付けばアゲートが魔石を急いで袋に拾い入れて戻って来た、いつの間に。そうしてルビーに着いて行く。

 その後は全然遭遇しない、さっきので間引きすぎたのか。数分歩くと道の奥に空洞が見えた。


「あれが最深地です。ボス魔物がいるので入ったら安全を優先してください」

「ボス魔物?」

「ダンジョンの奥に住む魔物をそう呼んでいます。他より強力な場合がほとんどです」


 サティエルが解説した。そうして準備は確認されてから入っていく、するとそこは巨大な空間であった。サティエルが光を強くすると数十m先に今までにない巨大な黄色いスライムがいた。しかも今まで見た核のようなものがおよそ二十個ほどある。


「あれどれが核?」

「全部です」


 ルビーが言った。


「リプロスライム、分裂しては合体して核の数が増えていくスライムです」


 なんだその生殖の意味もたねえ生物は。しかしまあそれが生存戦略なのだろうか、というかダンジョンから生まれたモンスターは生物と呼んでいいのか…………そんなことを考えていたら気づかれたようだ。


「とりあえず一個ずつ核を壊していけばいいよな?」

「はい」


 先手必勝だ、〈プロペラ飛ばし〉! ――敵の魔力障壁に受け止められて霧散してしまう。俺の魔法は結構なエネルギー持ってるはずだが――土壁タイプか。

 そこから魔法で礫を撃ってくる。だが俺の魔力障壁には効かない。ルビーとアゲートが走り出す、礫を避けながら魔力障壁へ向かう。その内に魔力を貯める。


「「〈障壁破壊〉」」


 二人が魔力障壁の下の方を破壊してそれは崩れていく、二人はすぐに離脱した。俺はもう一度魔力障壁を使われる前に〈プロペラ飛ばし〉すぐに撃ち放つ。

 しかし敵は魔覚で感じ取ったのかそれの軌道から全ての核を移動させた。そんなんありかよ!? 体の液体は抉っている、繰り返すしかないか。


「〈アイスアロー〉〈リピートC(ハンドレッド)〉」

「〈グラビティ〉」


 サティエル、サルトロが魔法を使った。サティエルのあんな数の魔法見たことない、すげえ。サルトロも重力をかけて自由を奪っている。魔力を纏わせた触手でガードするがをその矢は三つほど核を射抜いた。だがあれだけの量の矢でたった三つだ。さて、どうすれば役に立てるか……敵の液の量を減らすことに徹してみるか。

 ああ、あれやってみるか。父さんとふざけてやった結果母さんにこっぴどく叱られたあの実験を思い出した。元素番号11番、アルカリ金属のメジャー中のメジャー。魔力で湿度ゼロパーセントの空間を作り出した後金属ナトリウムを作り出す。1kgってとこか。それをその空間と一緒に魔力で投げる。

 触手でガードされるがそれは液体の中に取り込まれた。そして……

 一瞬黄色い光が見えた後それは爆発を起こした。その触手と周辺の液体は消し飛んだ、あるいは飛び散った。スライムはそれに反応できなっかたのか核もいくつか壊れている。ナトリウム金属はあいつの水分と反応したけどなハッハッハ。


「! 〈アイスアロー〉〈リピートC(ハンドレッド)〉」

「〈流星〉」


 サティエルとサルトロが畳み掛ける。流星ってカッコいい名前だけど空気摩擦で光るくらい熱持つ速度で撃ってるだけじゃん。でも運動エネルギーすごいけど。

 って、まだ核残ってる。こんだけやってもまだ足りないのかよ。大丈夫まだまだ手はある――そう考えるとサティエルがアゲートの襟を掴んだ。何するつもりだ?


「え?」


 投げた。スピードも出てる、どこにそんなパワーがあるんだよ……


「ええええ!!!??? 姫様!? ――ああもう、〈烈火回転斬〉!」


 剣に強く炎を纏わせ体を捻らせて回転斬りで巨大スライムの体を抉って貫通いく、残った核も全て壊した。そのまま着地して滑ってブレーキをかけて……壁に衝突した。最後の無ければ百点満点だったんだけどなあ。死んだスライムは魔石を残して地面に溶けていく。


「――もう、所々に飛び散った液がついちゃってるんですけど」


戻ってきたアゲートが言った。


「見せ場を作ってやった」

「自分が行きたくなかっただけですよね!?」


「ところでタカハル様、さっきのは……」


サティエルが言った。


「爆発か? ナトリウム金属っていう水と反応起こして爆発するちょっと危ない物質を再現した。空気中の水とすら反応するから自然界にはそうそうないけど」


 落ちている魔石を見ると、でかい。拳くらいの大きさがある。


「なあ、魔石の大きさは体の大きさによって変わるのか?」


「関係はしますが、魔力量の方が関与が大きいです。量が大きいほど魔石は大きくなります。ただし人は例外ですが」


 サルトロが解説してくれた。アゲートが魔石を拾い集めていた。色々あったけどダンジョン探索は終了だ。俺たちは何事もなくそのまま帰っていった。

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