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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
17/84

ダンジョン

 と、いうわけでやってきましたシッドダンジョン。実況解説共に関隆治でお送りいたします。……一人ふざけたはいいけどこの後思いつかねえ。

 ダンジョンの入り口は山の中の整備されたちょっと大きめな洞窟のような感じだ、その前に男性がいた。


「それじゃ、馬車の方よろしく」


アゲートが言った。


「かしこまりました」


 馬車から降り、その洞窟へ向かっていく――すると何かいることに気づいた。サッカーボールほどの半透明な液状の中に小さな丸い白い石がある何かが向かってくる。


「なにあれ?」


「スライムです。このダンジョンで主に出る魔物です、あれは基本種でして、スライムは変異種がでやすい魔物なのです」


 似ている生物といえばアメーバってとこか、分裂とかするのかな、ワクワク。そんなことを考えていると大分近寄ってきて、俺のほうに飛び跳ねてきた。ってちょっ……ルビーがスライムの中に手を入れ核のような物を握り潰していた。……マジでやばいっすこの子。


「こんなふうにスライムは核にダメージが入ると死んでいきます」

「大丈夫なの……? 腕に大分かかってるけど」

「あ、サティエル水」

「水で流す程度で大丈夫なのか……」

「危ない種類もいますけど基本種ならまあ、それでも手を入れようとは思いませんけど……」


 アゲートが言った。男子でもそう考えるレベルなのな……そういえばアメーバは核が複数あるけどこいつは一個か。


 水で洗い終わらせてルビーが言った。


「では行きましょう、道はわかります。以前来たことがあるので。私が前衛、サティエル、サルトロがタカハル様の左右、アゲートが最後尾」


「「「はい」」」


 アゲートは不意打ち対策か。前衛はルビーだけで充分っていうのも全員わかっているんだろうな。

 この陣形で中へ歩いていく、するとものの数分で先ほどのスライムと遭遇した。今度は二体だ。だが目にも留まらぬ速さでそのスライム達はルビーの大剣によって弾け飛ばされた。


「魔石ごと砕きってんじゃん」

「はい、価値もほぼ無いですし」

「ふーん、そういえばあいつら目とかも無いのにどうやってこっちにいるのをわかってるの? やっぱり魔覚?」

「はい、目、鼻、耳も無いので魔覚という説が最も有力です。なので一番にタカハル様に飛びついて行ってしまいますね」


サティエルが言った。


「教わった魔力垂れ流し対策は一応やってるんだけど、まだまだ甘いよなぁ」


「こればっかりは練習です。やり続けるしかありません」


 俺は魔力量が多いので魔覚で察知されやすい。そこで余る魔力で出て行ってしまう魔力を抑えるのだ、コーティングするイメージで。ただ強く意識しなければゼロにできないしいつもそうとはいかない。すごい人、例えばサティエルやサルトロは寝てる時もやってるそうだが俺には無理です。何その仙人。

 そんな事を考えていたら、今度は一体のスライムと遭遇した――


「でかくね? 大きさ四倍くらいか」


「変異種ですね。微大スライム、見たとおり通常より少し大きくなったスライムです。ただ大きさとその分の重さだけですのであんな風に――」


 サティエルが解説した瞬間にルビーがそいつを弾け飛ばした。


「特に意味はないと」


 せっかく突然変異起こしたのに可哀想に。まあ明らかに俺らを攻撃してくる気だったけどな。


「そういえば一般的なスライムって人間相手にどう攻撃してくるの? 突撃してくるってことは攻撃方法はあるだろ?」


「基本は体当たりですね、これでも危険なのは子供年寄り、重傷者くらいですね。捕食の際には身体の中に入っていって圧迫して血液など吸収していきます。」


 聞いてないえげつないこと補足してきたんですけど!? 確かに人肌も溶かせないのにどうやって捕食するかっていったら片っ端からジュワーじゃ無理だもんな。恐ろしや。

 そう考えていたら後方およそ10mほどに魔覚が今までにないことを察知した。魔力が一点に収縮している。


「何あれ……?」


「あれが魔物が生まれる瞬間です」


 サティエルが言ったのを聞くと地面からぷくぷくと無色透明な液体が湧いて出てきて通常の半分くらいで核も出てきた。気付くとアゲートが剣を持ってそこへ歩いていっていた。


「待って、最後まで見させて」


「すいません、わかりました」


 マジでわからん。一体魔力でどうやったらこんなんできるんだよ。ただ魔力を濃縮して作っても意味ないのは確認済み、何がトリックなんだ? 一体なぜ何がどうしてこうなっている……ヒントが無さすぎる。俺が最初やったみたいに空気中もしくは地中から集めているのか? ……あれ、それだと納得いく結果がでるぞ? 地下水が豊富にあるとか何も違和感ない、鉱物が出るのも広範囲から収集しているとなれば納得ができなくはない。で、問題の魔物だ。さあ考察タイムだ。


「ダンジョンの地下に魔物の素がある、コアとやらに素がある、コアが光合成的なことして空気中の物質から魔物の素を貯めて生成している、でもP(リン)やらイオンとか圧倒的に足りなくないかな? 他には――」


「あのー、もう倒しちゃっていいですか……?」


「ああ悪い、いいよ」


 アゲートが剣でスライムの核を突き刺し、スライムは地面に崩れていった。アゲートは剣をスッと振り、スライム液を振り落とした。あれかっけえ。

 つーかそもそもスライムって何でできてるんだ? 水が主成分は間違いないが核の中に魔石、染色体やら入っているのがわかるがが細胞質基質はいったい何でできている? 普通だったら水八割にタンパク質と酵素が二割くらいが基本だが、試験管とか持って来ればよかったなー。


 さて、そんなこんなで歩き続けました。色々な変異種と遭遇したが特筆するべきことはない、それよりも目の前にあるこれだこれ!


「これがコア……」


 比較的広い部屋の中で大きさ縦横高さ30cmほどの回転している光る正六面体を二つの大きさの異なる赤と青の半円リングが軸となってそれも回転している。魔覚では強い魔力をそこに感じる、一体どうなっているんだ。

 魔覚を集中させてそれを感じ取る。魔力を凝縮したり発散させたりしている、これだけ魔力を凝縮させる、しかも長時間となるととんでもない魔力を消費すると思うがどこからそんな魔力補給しているのか……これの魔力操作は何をしているのか一切わからない。ワケワカメ。仮説第三が有力か? いやでもなあ、P(リン)とかどっから補給してんだよ……


「何かわかりましたでしょうか?」


 サティエルの声がした。


「なんもわからん、それっぽい仮説は立つけど根拠もねーし。俺が一番最初やってたみたいに魔力からじゃなく物質集めて作ってるっていう仮説な。今のところそれしか考えられないっていうだけだし」


「確かに、それなら矛盾はありませんが――」


サルトロが言った。


「残念なことにどっからその物質引っ張り出してるかわからん。保留! 今の知識じゃ無理」


 もっとやわらかい頭があれば……


「では、別の場所に行きましょう。ここまでの魔物は弱すぎます、先程よりは手応えのある魔物を相手にしていったほうが良いです。その、もし気を悪くなさら無いのであればタカハル様もこの後に参加していただければと……」

「もちろんいいよ」

「……ここのダンジョンに手応えのある魔物なんていましたか?」

「いないのか? サルトロ」

「普通には見つけられません、ですが私はそいつらがいる場所を知っています」


「?」




 ルビーに着いて歩いていく――


「行き止まり?」


「仕掛けなども見当たりませんし感じられませんけど……」


「サルトロ、甘い。こうする。」


 ルビーが行き止まりの壁に向かい剣を振り下ろした。すると壁の向こう側に空洞があった。


「わかりませんよそんなの!?」

「てか大丈夫なの? ……地崩れとか」

「何度もやったことがあるので大丈夫です?」

「何度もってことは壁って復活するの?」

「この程度でしたら、二週間ほどで壁はダンジョンの力によって修復されます。」


 魔物以外にも壁とか直っていくのか。

 この先には明かりがないのでサティエルが〈ライト〉で照らして行く。そして遭遇した、一体のスライム……でかいデカイ!? 通常スライムの二十倍はあるぞ? 色若干紫っぽくてしかもパナイ魔力を感じる。あと核が心臓みたいにピクピクしてキモい。生き物にキモいとか言っちゃ悪いけどスマン、でもキモいんだよあれ。


「マジックスライム、それも巨大種。この隠し通路はいきなりこんなの出てくるんですか……」


「サティエル、解説頼む」


「端的に言えば魔法を使ってくるスライムです、そしてそれが巨大になった種です。核を攻撃すればいいのは他と同じです。……来ます!」


 ちょ、そいつが火魔法撃ってきた。が、サルトロ魔力障壁によって止まった。さて、俺も攻撃し無いとだったな。


「〈高運動エネルギー弾〉!」


 核に向けて放つが……当たんねえ! 核から逸れて体抉ったけどダメージ入ってねえ。そりゃそうだよ動くやつに当てる訓練なんてしてねえよ俺。アホだろ。なに異世界転生してチート強キャラぶってんだよ。練習しなくても大丈夫なんて都合のいいことはないんだよ。


「すまん!」


「気にしないでください、〈アイスアロー〉〈リピートVII(セブン)〉」


 サティエルが氷の矢を七本魔法で撃ち放った。〈ライト〉維持しながらすげえな、だが――


「まじか、あいつ魔力障壁使えるのか。――土壁タイプか」


 するとサティエルとアゲートがそれに向かって走った。アゲートは剣に炎を纏っている。何だあれ初めて見たぞ!?


「「〈障壁破壊〉」」


「ナイスだ!これなら……〈魔力障壁〉上から押しつぶされやがれ。」


 スライムの上に大きな魔力障壁を作り出し押し付ける、触手のようなものを作り出し抵抗するが俺の多量の魔力に敵わず押しつぶされ核までが潰された。そのあと液が目の前まで流れてきた、やっぱり死体の液の量がやばい、が地面に透けていった……

 ん? 地面に透けていった?


「なあ、ダンジョンで出た死体ってどうなるの? 食われるの?」

「もちろん食べられますが、食べられなかった死体は時間が経つとダンジョンに吸収されてしまいます。ダンジョン外のものは、簡単に吸収されてしまいます。」

「なのでダンジョンに入って行方不明は死亡として扱われます。」


 サティエルが言ってルビーが補足した。


「ここよりももっと危険なダンジョンって、大量の犠牲者が出て遺体も持って帰れないこととかは?」

「もちろんあります」

「ちょっと実力あげた人達が油断して全滅なんてよくある事故です」


 サルトロとアゲートが言った。謎が解けてきた……あれ、重要なことを見落としているぞ。


「なあ、事故がほぼ無かったり誰も入らないダンジョンとか死体やらがダンジョンに入ることはないよな?」

「魔物は生物に変わりはないので外に出て狩りをして体内に入れて戻るなどありますよ」

「ダンジョンがさ、魔物を生むのが減るとかって現象ない?」

「はい、弱い魔物しか生まないダンジョンにあることは多いです」


 確証はないがもう正解と言っていいだろう。謎を解き明かした気になって一人るんるん気分でダンジョンを歩いて行った。

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