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科学少年の異世界戦争  作者: 歯並び悪い人
戦争準備編
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いざ化学

「お届けに参りました」


 魔道具開発の人とガラス職人のドワーフが頼んだものを持って来た。


「ありがとうな」


「じゃ、仕事は終わりだ。金は国の人から受け取ったからな。ご贔屓にしてくれよ、転生者さん」


「ああ、また仕事を頼むと思うよ」


「私もこれで失礼します」


「ちょっと待ってくれ、まだお前には見てもらいものがあってな」


「はい、何でございますか?」


「それじゃあ早速この試験管を使って――サティエル、例のものを」


 このセリフ一回やってみたかった。


「はい、こちらです」


 サティエルは小さな袋を渡した。袋を開けると黄色い粉が入っていた。


「そちらは……硫黄ですか」


「正解だ。ここから実験タイムだ、俺は結果はわかるけど」



            楽しいゴム状硫黄の作り方


「手順は簡単、試験管に入れた硫黄を強い火で数分熱するだけ。この時振り続ける必要があるけどな」


 加熱の魔道具で熱する。

 これ明らかな燃焼現象起こしてるよな、魔力で炭素作ってそれを熱して空気中に酸素で燃焼してるっぽいな。

 ん? 魔力からできた物質って数分でもとにもどるんだよな? 二酸化炭素からすぐに酸素と魔力にもどるのか。

 あれ、魔法ってクリーンで超効率のいいエネルギーなんじゃね?




 ……三分半ほどで色が黒く液状になっていた。


「もうそろそろいいか」


皿を取り出しそこに黒くなったそれを置く。


「こちらは……?」


「こいつはゴム状硫黄、硫黄の同素体だ。手だと熱すぎて触るの危ないけど」


 魔力障壁の応用で棒を作ってそれを突っついたり二本で持ち上げたりする。


「同素体というのはなんでしょうか?」


「えーと、説明難しいな。同じ材料だけど構造が違う物質……かつ一種類だけの材料からできている物質か? あー、元素から話さないと難しいか?」


「水と氷のようなものでしょうか?」


サルトロが言った。


「ちょっと違うんだよなー。水と氷、あと水蒸気は状態変化って言う全てのものに存在する固体、液体、気体の状態だ。たまに液体がないのあるけど、例外はいい。うーん、いい例えないかなー……」


元素から話すのは長くなるしなー。


「こんなのいいんじゃないか?

 そうだな、全ての物質は兵士の集合だとする。

 それで水は剣でも槍でもなんでもいいけど二種類の兵士が三人くっついてる状態でこれ以外三人の組み合わせはない。それが氷の時は三人一組のペアがいくつも密集してて中のペアは動けない状態だ。

 液体の時は広がってどのペアも十分に動ける状態、

 気体の時はさらに広がって大きく動いても全く問題ない状態だ。

 そして、この硫黄の時は一種類の兵士だけだ。その兵士さん達は自分達だけで三種類の陣形を組むことができるんだ。きっかけが必要だけど」


「わかりやすいですね、話のつながりはわからないですけど」


「アゲートは無視してください。とてもわかりやすい説明でした」


「サルトロさん!?」


「おう我ながらいい例えが思いついた」


 戦争中だからこれはイメージしやすかったのじゃないか?


「さて、じゃあ本題だ。こいつを魔道具にして弾力を持たせたまま硬くしてそして伸ばしても戻るようにしてほしい、別に切り割いて戻るとかじゃなくていい、ちょっと凹ませたり伸ばしたりしても再生するようにしてほしい。

できるか?」


「やってみます。他に欲しい効果はございますか?」


「えーと耐熱はあったら嬉しいけどなくても全然問題ない、そんな高温はとりあえず使う予定ないし」


「はい、かしこまりました」


………………


 数日後


「タカハル様、彼に頼まれていたものです」


 アウインさんがやって来た。王様に謁見した時にいた、魔導科のおじいさんだ。


「どうもありがとうございますっと。えっと、あの人は?」


「そのですね……よほど頑張ったのかこれと一緒に倒れているのが見つかりまして」


 どこにでもいるんだな、そうなっちゃう人。

 休息休養マジ大事。


「お大事に言ってあげて。で、これの出来はどうなのかな?」


 魔道具化したゴム状硫黄がゼーリーのように入った箱を受け取り、そのゴム(仮)をつついたりしてみる。


「おお! これは完全に俺の世界のゴムとほぼおなじだ」


「ところで、そのゴムというのは一体なんでしょう?」


「ゴムっていうのは俺の世界で重要な材料の一つだ。色んなものに使われている。密閉するための接合部分や弾力性を活かしてタイヤに使われていたり、あとは液体や気体を通す一部の管なんかに使われてるな」


「それは、とても活用法が多くありそうですね。すぐに取り入れられそうなのはタイヤでしょうか」


「これだとちょっと柔らかすぎてタイヤには向かないかもな。そこら辺は硬さとか調節すればいい」


「なるほど。そういえば、こちらは切り分けてご使用下さいとのことです」


「わかった、それじゃあ早速」


 試験管を手に取り穴の大きさを定規で長さを測る。

 それよりも少し大きめに魔力製カッターで切り取る。

 切り取ったものを円錐の底部分のみのような形、いわゆるプリン型にする。それを試験管にはめ込んでみる。


「よし、うまくいったな。そういえば入れた効果はどうなったんだ?」


 耐熱を入れれたら入れるみたいな話だった気がする。


「硬化、耐久力上昇、弱自動修復、弱耐熱です」


「弱耐熱ってどのくらいだ?」


「通常の炎では何も問題ないくらいですね」


「七百度くらいは大丈夫ってとこか。なかなかに強いな。これを使ってそっちでも研究に活用して欲しい。温度計の話もあっただろ?」


「はい、タカハル様の知識のおかげでございます」


「とりあえずタイヤだな。兵站の移動も馬車だろ? タイヤ用のゴムを作れば舗装されてない道も移動しやすくなるはずだ」


「かしこまりました、そのように進めます」


「検知もよろしくな。準備は揃った、あとは結果を待つのみだ」


「はい、想定どうりに事が進んでおります。もうしばらくお待ちください」


 俺も時間を無駄にせず一般魔法使い兵士にも使用できる魔法を開発しなくちゃーな。効率の良く敵にダメージを与える、もしくは味方を支援できる魔法。

 科学の知識を蓄えてきた俺にしかできない事をやるんだ。転生者という社会的地位から人は使える、任せるべきことは任せて効率のよい時間の使い方をせねば。


………………


 寝る前、俺の部屋の机に向かって唸る。


「うーん、魔法のアイディアも出てこないしなあ。イメージしやすく魔力もそんなに使わず便利……ダメだ。どうしても原子論が必要になる……」


 下手なペン回しをしながら考える。

 何かきっかけが必要かな。とりあえずは保留で……思い浮かばないものをいつまでも考えても仕方がない。テストで三十秒考えても出なかったら次だ。


 やっぱ化学肥料で欲しいのは窒素、つまりはハーバーボッシュ法。大規模な建築をしなければならない、魔法でなんとかなるかもしれないけど3Mpa(メガパスカル)とかあの中庭程度の広さでやったら後始末失敗したらとんでもないことになる。

 王様に頼んで工場建設……金足りるか?資材足りるか?

 土地は大丈夫だとしても……


 できるかどうかはともかく書いておかなければ。

 ……やっぱ金稼ぎの手段か。自国内で解決する手段はわからん、一応公共事業を行うわけだから経済が回るけどそれはド素人無知な俺がやるべきことじゃない。

 何か製品作って輸出だな。何作ろうか、保存食に電化製品……は無理か、電気がねえ。んーとあと高価なものと言ったら兵器、情報、宝石……宝石?

 炭素を魔法から作れること発覚したから詐欺まがいのことできんじゃね? ……馬鹿野郎、倫理観を俺は持ってないのかよ。それに国の信用を落とす。

 て、なると既にある炭素からダイヤモンド構造にする必要がある。……結局高温高圧かー。

 ……もしかして俺の魔力障壁使えば高温高圧作れたりしないか? こう、正六面体を縮める感じで、圧力上げれば勝手に温度上がるし。魔法で空気入れながら、あるいは魔法で空気を作ってもいい。


 あれ?いけんじゃねこれ?


 工場は俺がいなくても稼働する必要があるけど人工ダイヤモンド製作できるのは俺だけでいい。

 しかもブリリアントカットすればダイヤモンドの価値も爆上がりだろ?

 ウハウハの人工ダイヤモンド無双きちゃう?

 そうと決まれば紙に殴り書く。よし、明日以降だ。今日は寝る!

ちょっとしたお話


色んなタイプのゴムを作ってもらった。


「これ面白いですね」


アゲートが10cmくらいの伸び縮みするタイプのゴムを弄りながら言った。


「ああ、そうだろ。小さい頃よく輪ゴムで遊んでたなぁ。それでちょっと油断すると……」


「あ」


バチーン!


「こんな風に攻撃される」


「か、かおが……」


「これで騎士なんですから驚きです」


サティエルが呆れながら言った。

そういえばそうだったな。



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