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第38話『Oh, Shine!』

 青空の下、日焼け止めを塗った僕らはついに海で遊ぶことに。ただ、常盤さんは海で遊ぶ僕らのことを浜辺から写真で撮っており、松雪先生はサマーベッドで僕らの様子を見ながらゆっくりしている。それぞれの過ごし方があっていいんじゃないかと思う。


「そーれ!」

「やったな、明日香。それっ!」

「きゃっ! 冷たくて気持ちいい!」


 明日香、とても楽しそうにしているな。

 今は明日香と2人で自由気ままに浅いところを歩いたり、海の水を掛け合ったり。一昨年や去年も同じようなことはしたけど、そのときは常盤さんや芽依、羽村も一緒だったので2人きりなのは今回が初めてだ。こういうことをしていると……何だか恋人っぽく思えてしまうな。

 てっきり、咲希も僕や明日香と一緒に行動するのかと思いきや、元水泳部の血が騒いだのかまずはこの海を自由に泳ぎたいと言い出して、気持ち良さそうに泳いでいる。たまに泳ぐ姿が見えるけど、とても美しい。

 僕らから少し離れたところでは、芽依と鈴音さんがビーチボールを使って楽しく遊んでいる。時には黄色い声も聞こえてくることも。行きの車で隣同士になったこともあってか仲良くなったようだ。

 羽村と三宅さんは……見当たらないな。岩場とかもあるのでそっちの方に行っているのかな。2人きりの時間も楽しみたいだろうし、敢えて考えないでおこう。


「あっ、つーちゃん! 後ろ後ろ!」

「えっ? 後ろ?」

「翼のこと、捕まえた!」

「うわっ!」


 僕が後ろに振り向いた瞬間、咲希からぎゅっと抱きしめられ、そのまま海に倒れてしまう。気温が高いけど、海は意外とひんやりしているな。

 まさか、僕のすぐ後ろまで泳いでくるとは思わなかった。全然気付かなかった。

 海から顔を出すと、そこには心配そうな顔で僕を見る明日香がいた。


「つーちゃん、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ。それにしてもビックリした。今日はたくさん咲希に驚かされるなぁ」

「ごめんごめん。波も穏やかで泳ぎやすいし、せっかくだから翼のところまで行こうと思ってね。それに……水着姿で翼のことを抱きしめてみたかったから」


 そう言って、咲希は僕にキスしてくる。海に倒れてしまったこともあってしょっぱい味がした。


「さっちゃん、プライベートビーチとはいえ、近くにはみなみん達がいるんだし……」


 あうっ、とキスを目の当たりにした明日香が一番恥ずかしそうにしている。


「僕もここでキスされるのは恥ずかしいな」

「……あたしも恥ずかしい。ただ……岩場のところまで泳いでいたら、羽村君と陽乃ちゃんが口づけしていたのを見てね。それで、あたしも翼としたくなっちゃって」

「えっ! は、羽村君とはるちゃんもキスしていたの?」


 熱中症になってしまうんじゃないかと思うくらいの顔の赤さである。

 羽村、順調に三宅さんと仲を深めて、思い出作りをしているじゃないか。今の話を聞いてドキドキもするけれど、それ以上に嬉しい想いが強い。


「きっと、僕らの見えるところでキスするのは恥ずかしかったんだろうね。だから、岩場でしたんだと思う。偶然見ちゃったのは過ぎたことだし仕方ないとして、2人のためにもこのことは心に留めておこう。明日香もね」

「そうだね」

「しゃ、喋らないように気を付けるよ! つーちゃん!」


 今の様子からして、咲希よりも明日香の方が喋ってしまう可能性が高そうだな。常盤さんや芽依あたりに。2人ならまだしも、松雪先生に知られたらどうなってしまうか。


「……そうだ」


 明日香はそう声を漏らすと、僕のことを抱きしめてキスしてきた。咲希と違って軽く舌を絡ませて。


「さっちゃんが羨ましくて私も。外でするキスも……いいものだね。つーちゃんと一緒に海に入っているからなのかな」


 ほんのりと笑みを浮かべながら明日香はそう言った。


「明日香って意外と大胆なところがあるよね」

「そ、そうかな? 転入早々つーちゃんに告白するさっちゃんには敵わないよ」

「そう言われちゃうと何も言えなくなっちゃうな。でも、ああいう状況じゃないとみんなの前で告白するのはなかなかできないかも。あのとき……実は緊張していたけど、翼のことをひさしぶりに見たからか告白せずにはいられなかったんだよ。いやぁ、世の中勢いって大切だよね!」


 あははっ、と咲希は大きな声で楽しそうに笑う。咲希も周りにあまり人がいない状況だったけれど道端で突然キスしたこともあるし、大胆であり、勢いで動くタイプの女の子なのかなと思う。


「あーっ! お兄ちゃん達! 危ない!」


 背後から芽依の大きな声が聞こえてきたので何事かと思って振り返ると、その途端にビーチボールが顔に当たる。今日は本当に不意打ちの多い日だ。


「ごめん、翼君。あたし、全力でアタックしちゃって」

「お兄ちゃん、ケガはない?」

「大丈夫ですよ。全然痛くなかったですし。ほら」


 芽依にビーチボールを返す。


「ここがプライベートビーチだからか、お兄ちゃん達は海でもイチャイチャするんだね」

「イチャイチャ……まあ、周りから見ればそうなのかな」


 咲希と明日香にキスされたし。そのきっかけは、羽村と三宅さんがキスしたところを咲希がこっそりと見ていたことなんだけど。

 芽依と鈴音さんに見られていたってことは、常盤さんや先生も見ていたかも。そう思って浜辺の方を見てみると、デジカメを持った常盤さんがこちらに向かってサムズアップした。先生と一緒に撮影した写真を見ているようだ。


「明日香ちゃんが翼君とキスしているのを見たとき、あたしもああいうことをしたんだなってドキドキしちゃった」

「そ、そうですか」


 告白のときのことを言っているんだよな、鈴音さん。あのときは胸元を晒して、キスよりも先のことをしたいって誘っていたっけ。水着を着ているときに見える胸は多少のドキドキで済むけど、あのときに胸元を見せられたときは結構ドキドキした。


「……翼、鈴音先輩の胸ばかり見ている気がするけど」

「そうかな? でも、鈴音さんの水着姿は可愛いからね」

「……何かごまかされている気がするけれど、まあいいや。あたしも先輩の水着姿は可愛いっているし」


 実際には鈴音さんの胸のあたりを中心に見ながら、告白されたときのことを思い出していたんだけどね。


「そうだ、翼君達も一緒に遊ぶ?」

「いいじゃないですか、先輩。あたしは遊びますよ。翼と明日香はどうする?」

「何だか楽しそうだね、私もやる!」

「うん、僕も遊ぶよ」


 球技はそんなに得意じゃないけれど、遊ぶのは好きだ。


「おっ、みんな集まっているな」

「ビーチバレーでもするんですか?」


 振り返れば、岩場の方から羽村と三宅さんが手を繋いでこちらの方に歩いてくる。キスをした瞬間を見たからか咲希はニヤニヤと笑みを浮かべ、その話を聞いた明日香はドキドキした様子。


「ビーチボールを使って遊ぼうかって話になっていて」

「そうなのか。これだけ多かったら試合形式でやるのもいいかもな」

「それはいい考えだね、羽村君」


 すると、松雪先生と常盤さんも僕達のところにやってくる。


「君達8人には今から4対4のチーム戦で、ビーチバレーをしてもらう。それで、負けたチームは今日の夕食のバーベキューの準備をするっていうのはどうかな?」


 昼食を食べて別荘に着くまでの間に、夕ご飯はバーベキューにしようという話になっていた。ただ、誰がその下準備をするかまでは決めていなかったな。


「ちょっと待ってください、里奈先生」

「何かな、美波ちゃん」

「チーム戦でゲームをして、負けた方が夕食の準備をするのはいいですけど、先生はどうするんですか? あたし達8人で勝負だと言っていますけど」

「わ、私は監督だよ。それに、あまり料理は得意じゃないし、手伝おうとしたらきっと足手まといになるだろうからね! 旅先で不味い料理を食べるのは嫌でしょ?」


 そう言って先生は仁王立ちして胸を張る。見事な開き直りぶりだな。ただ、こういう風に言われると先生に手伝ってもらう気が失せる。


「食材は揃っているそうだけど、何かほしいものがあったら先生が買ってくるよ。それなりにお金は持ってきているから」

「そういうことでしたら、先生は監督兼買い出し係でお願いします。ただ、俺達8人でも料理の得意不得意があるだろう。不得意なメンバーばかりのチームが負けたら大変なことになるから、そこでバランスを取ろう」

「じゃあ、羽村君の言うやり方でチーム分けをして対戦しよう」


 まずは料理が得意な僕、明日香、鈴音さん、三宅さんで2チームに分け、それ以外の咲希、常盤さん、芽依、羽村で2チームに分けた。そこからビーチボールのチームをAとBの2つ作る。

 その結果、Aチームが僕、三宅さん、常盤さん、芽依。Bチームが明日香、鈴音さん、咲希、羽村という組み合わせになった。

 ビーチバレーのネットがシャワー室の横にある倉庫にあったので、そこから持ってきて浜辺に簡易の試合会場を作った。


「先生が審判と得点係をするね。それじゃ、試合開始!」


 4対4のチーム戦を行なう。

 僕のいるAチームは、僕以外はみんな運動がそれなりにできるので、これは勝つことができそうだと思った。

 しかし、向こうのBチームは運動神経が抜群な咲希と、運動神経は普通だけど的確な判断と指示のできる羽村がいるからか、終始Bチームがリードした状況。Aチームも何度か追いつきそうだったけど、そのままBチームが勝利した。

 こうして、僕はバーベキューの準備を行なうことになったのであった。

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