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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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レプリカ・彼女黙示録 華嫁降誕 双鶴

 西暦二〇一五年 六月十二日 午前十一時

 孕ノ町 アーケード街 立ち食い蕎麦きよし



 娘鶴神殿から西へ一キロに位置する孕ノ町。


 商店街の一角の立ち食い蕎麦屋に十兵衛たちは居た。


「ピラミッドで三日くらい過ごしたのに、こっちでは七時間しか経ってないなんてビックリだな」


「長い間、籠ったせいで時が歪んだんじゃろう」


 鶴姫が鴨南蛮蕎麦をすすりながら呟く。


「それって鶴姫の力?」


「まあ、そんなところじゃ」


 時を歪めるなんて神がかってるなー。この娘のレプリカ作ったら滅茶苦茶強いだろうなー。


「シンヤ。食べ終わったら鶴姫のレプリカ作ってみない?」


「そうだな。あ!でも、パソコンないからパーソナルデータ書けねーや」


 パーソナルデータとは、レプリカの元となるオリジナルの性格や性癖などをパソコンのメモ帳に書き込んで保存したテキストファイルのことであり、レプリカ作成前USBケーブルを用いてダブスク内に転送しておく必要がある。


「ネカフェに行こうよ。ここに来る途中あったよ」


「そーするか」


「十兵衛、シンヤ。ねかふぇとは何ぞ?」


「行けば分かるぜ。ごちそうさま!」



 十五分後 午前十一時二十分

 孕ノ町 アーケード街 ネットカフェナーミン



 十兵衛たちはカップル専用の個室に居た。


「ここがねかふぇ……!」


 鶴姫が目を輝かせてはしゃぐ。


「この真っ黒で四角い一本足のは何じゃ?」


「それはモニター。絵を映す機械だよ」


「この尾が長くてカチカチする黒いネズミは何じゃ?」


「マウス。それでクリック……。モニターに映る絵を触るんだ」


「このイボっこが沢山ついとる真っ黒は?」


「キーボード。それで文字を打つんだ」


「きいぼおど?文字をうつ?……うつ?……も、もしや、言霊を操る呪術の道具か?」


 なんか凄く壮大な勘違いしちゃってる……。


「シンヤ、どう説明したらいい?」


「実際に使って見せるのが手っ取り早いだろ」


 パソコン本体の電源ボタンを押す。


「おおっ!?もにたあに絵が出た!」


 起動画面見てはしゃぐなんて、微笑ましいなあ。初めてパソコンを触った小学生の頃を思い出すよ。懐かしいな……。


「わあー!絵がどんどん変わってく!もにたあは凄いのう!」


 モニターよりパソコン本体の方が凄いんだけど、言ったら混乱しそうだから黙ってよう。


 デスクトップ画面左下のスタートを開き、アクセサリからメモ帳を選んでクリックする。


「何じゃ!?この真っ白い四角は!?」


「メモ帳。これで今から鶴姫のパーソナルデータを作るぜ」


「鶴姫、君の性格を教えて」


「わしの性格……」


「そんな難しく考えないで。例えば、好きな食べ物とか、君に関することをどんどん言ってくれればいいから」


「好みの男とか好きな体位とか、週に何回一人で慰めるとか、経験人数でもいいぜ」


 次の瞬間、シンヤの顔面に鉄拳がめり込む。


「破廉恥な!生まれてこのかた、純潔は誰にも捧げとらん!もし捧げてたとしても、男を食い散らかすアバズレにはならん!わしは一途じゃ!」


「経験なしの一途……と。慰めるのは週に何回?」


 メモ帳に入力しながら質問する。


「五回くらいじゃの……。あっ、こらっ!シンヤ!また破廉恥なこと訊きおって!手打ちにするぞ!」


 鶴姫がシンヤの胸ぐらを掴んで揺さぶる。


「蕎麦はさっき食ったし、うどん頼むぜ」


「手打ち違いじゃ!」


 その時、隣の個室から壁をパンチされる。


「うるせーぞ!隣!」


「すっ、すみません!」


 何で俺が謝ってんだろう……。


「シンヤ!いい加減にしろよ!」


「悪い悪い。つい調子に乗っちまったぜ。でも、どんなことを言えばいいか分かったろ?」


「そ、そうじゃな」


「そんな感じでどんどん言ってくれ」



 四十五分後 午後十二時二十分



「できた!」


 鶴姫のパーソナルデータを、予めUSBケーブルでパソコンと接続していたシンヤのダブスクに転送する。


「転送完了!」


「鶴姫、髪の毛を一本ちょうだい」


「それくらいお安いご用じゃ。……ほれ」


「サンキュー。んじゃ、実体化モデルを作るぜ」


 鶴姫の髪の毛を元に実体化モデルの作成を開始する。


「モデル完成!最後の仕上げだ」


 鶴姫の実体化モデルにパーソナルデータを書き込む。


「レプリカ完成!」


「じゃあ、娼喚してみようよ」


「おう!娼喚!」


 レプリカ鶴姫を呼び出す。


「わしがもう一人!?」


「むっ!何奴!?名を名乗れ!」


 同じ顔を持った女の子が二人……。不思議な光景。


「こやつがわしのれぷりかか!?」


「そうだぜ」


「シンヤ!こやつは何じゃ!?」


「お前のオリジナルだよ」


「おりじなる!?何じゃそりは!?」


「お前はこいつを元に作った双子の妹みたいなもんだ」


「妹じゃとお!?では、こやつはわしの姉か!?」


「そういうことになるな」


「あっ、あ、姉上!若輩者でございますがよろしくお願いします!」


「わしらは今日から姉妹じゃ。そうかしこまるな。姉上でなく、姉やと呼べ」


「では……。姉や、よろしくな」


「うむ」


 レプリカとオリジナルが互いを認め合って握手する……。感慨深いなあ……。


 その時、隣の個室から壁を叩かれる。


「おい!うっせーぞ!隣!キレるぞコラ!」


「すっ、すみまっせん!」


 もうキレてるじゃないか。あと、何でまた俺が謝っているんだ……。


 何はともあれ、レプリカ鶴姫が仲間に加わった。

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