表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
6/125

出会い!五人の仲間

 登校中、アルケミーは軽トラックにはねられて異世界に転移してしまい、たどり着いた先で人型ロボットであるロリックの新型、ハイエッスのパイロットに選ばれるのであった。


「王様。一体何と戦うためにこのロボット……ロリックはあるんですか?」


「教えてあげます。展望台へ参りましょう」


 螺旋階段を登り、城の周囲を見渡せる展望台に到着する。


「東の果てに我が国の国境があります」


 もしかして、お隣の国と揉めているのだろうか。


「国境の向こうには隣国のジラスがあるのです。ジラスの初代国王が一昨年、腎不全で亡くなりご子息様が新国王となりました。しかし、その新国王は強大な国作りを掲げ、我が国を始めとする周辺諸国に対して武力を行使するようになったのです」


「じゃあ、その武力行使に対する防衛手段がロリックなんですね」


「その通りでございます」


「あの。武力行使って……。ジラスもロリックを?」


「ええ。諜報部隊からの報告ではアルケミー様のような転移者をスカウトして戦力を増強しているとのことです」


「転移者ってそんなに凄いんですか?」


「時代遅れの旧型ロリックでも転移者が乗ればたちまち新型に早変わりします」


 ロリックの性能はパイロットに依存する。ということは、パイロットはロリックのパーツの一部か。そういう扱われ方はちょっと嫌だな。


「安心してください。我々はジラスとは違います。パーツ扱いはしません」


「ひょっとして顔に出てました?」


「いえ。こんな話を聞かされたら、誰だって嫌な気分になりますから。さあ、下に戻りましょう」


 展望台を後にし、食堂へと向かう。


「全員集まってますね」


「王様!おはようございます!」


 クッション性に優れたスーツを着た五人の男女が頭を下げる。


「紹介しましょう。彼らがロリックのパイロットです。皆さん、自己紹介を」


「はい!俺はリーダーのフェスタム。ゼオラのパイロットだ。よろしくな新入り!」


 イケテるイケメンがハンサムに微笑む。


「私はパフィ。サークラッシュのパイロットです。よろしくお願いします」


 黒髪ツインテールの丸顔の少女が元気よく挨拶する。


「僕はリロード。ストナンのパイロットやってます。よろしく」


 金髪ショートの美少年がにこりと笑う。


「アタイはヴェネット。ギャナンのパイロットだ。よろしくな!」


 赤髪ポニーテールの褐色娘が威勢よく挨拶する。


「俺はディラン。オルガスタのパイロットだ。よろしく頼む」


 ハードボイルドな雰囲気のイケメンがクールに決める。


「皆さん。はじめまして!俺はアルケミー・フォーミュラと言います。この度、ハイエッスのパイロットになりました。よろしくお願いいたします!」


「そんなかしこまるなよ。今日から同じ釜の飯を食べる仲間なんだ。砕けていこうぜ」


 フェスタムがアルケミーの背中を優しく叩く。


「慣れない世界で戸惑っているだろう。そうだ。お昼が済んだら城下町を案内しないか?」


「その提案、イエスだと思います。リーダーはどうですか?」


 ディランの意見にパフィが賛同する。


「そうしよう!」


「どうせなら、城下町でお昼を食べませんか?」


「食べ歩きすれば案内できて腹も膨れて一石二鳥だね」


 リロードの意見にヴェネットが乗っかる。


「よーし。そうと決まれば財布を持って城下町に出発だ!」


 こうしてアルケミーと愉快な仲間たちは城下町へと繰り出した。


 そして、アルケミーたちは城下町の中心に位置する憩いの広場に居た。


「美味い!」


 屋台で買ったロブスターの残酷焼きをアルケミーが頬張る。殻が割れるパリパリという美味しい音が響く。

 ロブスターの残酷焼きとは生きたロブスターを高温で一気に焼き上げたもので、身だけでなく殻まで食べられるのが人気らしい。そのまま食べても、お好みでタルタルソースや醤油をつけてもいい、スタイルフリーのファストフードである。


 美味い。マジで美味いぞ。これ。


 アルケミーの住んでいる地域は海から大分離れた内陸のド田舎なので、魚介類を食べる機会はほとんど無い。学校の給食も家での食事も、野菜とか山菜ばかりがおかずとして出る。ちなみに肉類は、母親が離婚して名字が佐々木になった元・山田くんの家で飼っている牛と豚の肉がたまに給食で出たりする。


 海老ってこんなに美味いのか。知らなかった。


 カルチャーショックを受けながらも夢中で食べる。


「アルケミー。お前ひょっとして残酷焼きだけがここの名物だと思ってないか?」


 アルケミーの隣で残酷焼きを食べるディランが問い掛ける。


「え。違うの?」


「ここにはもっと美味しいものがいっぱいありますよ」


「マジで!?」


「次は僕の行きつけの鉄板屋に行きましょう」


 リロードが得意気に提案する。


「鉄板屋?」


「もんじゃ焼きとかお好み焼きの店さ。表向きはな。真の売りは客の目の前でタコとか海老を押し潰して焼き上げる魚介煎餅だ」


「何それ美味そう」


「ヴェネット!僕の出番とらないでください!」


「悪い悪い」


「んじゃ、案内頼むぜ。鉄板隊長!」


「はい!リーダー!では、皆さん!僕のあとに着いてきてください!」


 タコ……。図鑑で見たことはあるけど食べたことあったかな……。そう言えば一回だけあったな。小四の冬休みのお正月、妹に夜這いしたら両親にチクられ父親に殴られて鼻の骨が折れた宮田くんの家でごちそうになったっけ。あの時は刺身で食べたけど……。ダメだ。味が思い出せない。タコ。一体どんな味がするのかな。楽しみだなあ。


 初めての異世界。アルケミーは仲間たちとエンジョイするのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ