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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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レプリカ・彼女黙示録 華嫁降誕 鶴姫

 ピラミッド 第三層 泉の間



「未知のフロア……。ドキドキするね!」


「おう!」


 目の前に出入り口が三つある。


「どれ行く?」


「そうだな……」


 ダブスクのタッチペンを取り出して床に落とすと、ペン先は真ん中の出入り口を指した。


「行くぞ」


 出入り口を潜り、曲がりくねった廊下を進む。


「一階と違って迷路っぽいね。迷いそう……」


「確かに迷うかもしれねえが、そんなに不安がることはないぜ」


「どうして?」


「ピラミッドって上の方が細くなってるから、上がれば上がるほどフロアは小さくなる。だから、迷っても探検しやすいと思うぜ」


「だといいけど……」


 丁字路にぶつかり、タッチペンで進路を決める。


「こっちだ」


 右へ進み、曲がり角を曲がると六畳の部屋に出る。


「行き止まりだね」


 曲がり角から続く入口以外に出入り口は見当たらない。


「ハズレかよ。つまんねーの」


 きびすを返そうとしたその時、天井板が落ちて階段が現れる。


「アタリみたいだね」


「よし、上るぞ」



 ピラミッド 第四層 回廊



「急に雰囲気が変わったね」


 ヒノキの床、漆喰の壁、障子、襖。


「時代劇に出てきそうだな」


 廊下に並んだ襖や障子を開けて部屋の中を確認しつつ、木を中心に造られた和空間の中を進む。


「神社だ」


 回廊に囲われた中庭に鳥居と社が建っている。


「せっかくだし参拝してくか」


「いいね」


 中庭に降り、鳥居の下を潜って社の前に行き、お賽銭を賽銭箱に入れる。

 そして、二礼、二拍手。


 無事に逃げ続けられますように……。


 十兵衛は逃走生活の成功祈願をする。


「ロリババアと出会えますように!」


 シンヤが大声で願いを口にする。


「それ!?もっと他にあるでしょ!?逃走生活の成功とか!」


「あ、いけね、忘れてた!ついでに逃走も成功しますように!」


「ついでかよ!」


 せっかく参拝したのに……。台無しだよ……。


「ご利益なかったらシンヤのせいだよ!」


「えー!?何でだよ!?そりゃ逃走も大事だけど、場所的にロリババア一択だろうよー!」


「大体、ロリババアがいまいちよく分かんないんだけど……。ロリババアって何?」


「ロリババアってのは、見た目は少女だけど中身はババアの女の子で、お茶と煎餅が好きで、のじゃ!とかじゃぞ!が語尾につくんだよ。想像しただけで萌えるだろ?」


 中身がババアの女の子……。


「そんなに魅力的かな……?」


「見た目と中身のギャップがいいんだろうが!おまけに、前髪ぱっつんでつり目!しかも巫女姿ときたら、もう萌えるしかねーぜ!」


 こんな生き生きしてるシンヤ、初めて見たかも。


「そうだ!確実に会えるようにお賽銭たくさん入れよう!」


 そう言って財布から出した諭吉数人を賽銭箱にぶちこむ。


「わーっ!何やってんの!大事な逃走資金が!」


「神さま!あと何人の諭吉を捧げれば会わせていただけますか!?」


 再び諭吉をぶちこもうとするが、十兵衛が押さえつける。


「大事なのは金額じゃないよ!気持ちだよ!心が籠っていれば十円でもいいんだよ!頼むから諭吉を入れるのはもうやめて!熱意は十分伝わってるから!」


「いいや!まだだ!俺の愛はこんなもんじゃない!」


「今のシンヤ、握手券のために一人でCD八百枚買う人と同じ!同じ穴の狢だよ!目を覚まして!」


「うおー!離しやがれ!」


 何か手はないのか……!?


 暴れるシンヤの上着からダブスクが転がり落ちる。


 そうだ!一か八か!娼喚だ!


「出ろ!真菜ちゃーん!」


 呼び出されたレプリカ真菜がシンヤを殴り飛ばす。


「お兄ちゃん!あたしとロリババア、どっちが大事なのよ!」


 シンヤの胸ぐらを掴んで問い詰める。


「そんなの……。お前が一番大事に決まってるだろ」


「お兄ちゃん!」


「心配かけてすまなかった。お陰で目が覚めたぜ。ありがとな」


「目が覚めたって……?」


「賽銭箱に諭吉突っ込むなんてどうかしてたぜ」


「まさか、操られてたの?」


「と言うより、好きって気持ちを暴走させられたって感じ?」


「でも、一体誰が……!?」


「わしじゃ」


 社の扉が開き、巫女服の少女が姿を現す。


「わしの術を破るとは驚いた!思わず部屋から出てしまったわい!」


「あのー、どちら様?」


「何じゃ!?会いたいと散々言ってたじゃろ!あれは嘘じゃったのか!?」


 語尾がじゃ!、前髪ぱっつん、つり目、巫女姿……。あっ!


「シンヤ!この娘だよ!この娘が鶴のロリババアだ!」


「あ……?ああっ!?ほ、本当だ!本物だ!」


「やっと気づいたか!」


「失礼ですが、今、おいくつで?」


「聞いて驚け!今年でめでたく四百歳!凄いじゃろ!」


 外見年齢十歳の少女が腰に手をあてながら得意気に答える。


「おばちゃん、若さを保つ秘訣ってあるの?」


 レプリカ真菜が質問する。


「鶴は千年と言うじゃろ?わしら一族は代々長命なのじゃ」


「長寿の血統だからロリババアなのか」


「シンヤとか言う坊主、そのろりばばあとは何じゃ?聞き慣れない言葉じゃが……」


「見た目が幼いクソババアって意味だよ」


「ほー、そーかそーか。……じゃあの」


 社の扉を閉めて閉じ籠ってしまう。


「しまった!ド直球で答えちゃった!」


「何してんの!」

「お兄ちゃんの馬鹿!」


 シンヤの脳天に拳骨を喰らわせる。


「鶴さん!開けてください!」


「嫌じゃ!」


 なんとかして機嫌を直してもらわないと……。


「今、シンヤが言ったのは嘘です!ロリババアの本当の意味は見た目も心も若々しくて可愛いお婆ちゃんって意味なんです!本当なんです!信じてください!」


「……今、何と?」


「見た目も心も若々しくて可愛いお婆ちゃんです!」


 直後、扉が外に向かって勢いよく開き、十兵衛が吹っ飛ばされる。


「本当か!?」


「は、はい……。いてて……」


 扉を顔面に喰らって鼻血を流しながら応答する。


「すまんな。ほれ」


 鶴が手をかざすと、十兵衛の怪我は治った。


「わしは凄く気分がよい。坊主、十兵衛と言ったな。わしにして欲しいことがあるなら遠慮せず言え。期待に応えてやるぞ」


「えっ?」


「さ、言ってみい」


「じゃあ、俺たちの仲間になってください。このピラミッドを出て一緒に旅をしませんか?」


「旅じゃと?」


「実は……」


 奴隷娼喚、レプリカ、自分たちの置かれている状況について、十兵衛は一通り説明した。


「外ではそんなことが起きとったのか。大変じゃったな」


「俺たちの仲間になってもらえませんか?」


「……よかろう。わしでよければ旅のお供になろう」


「ありがとうございます!」


「それに、下さ住む奴らをいい加減成仏させてやらんと可哀想じゃな。過去を引きずるのはやめて、この機会に外さ出るとしよう。ちと待っとれ」


 社の中から刀を持ってやって来る。


「荷物はこれだけじゃ。すぐに出れるぞ」


「シンヤ。どうする?」


「思い立ったが吉日!旅に出るなら早い方がいい」


「決まりじゃな。……おっと、自己紹介がまだじゃった。わしは鶴姫。ふつつか者じゃが、今後ともよろしく頼むぞい」


「こちらこそよろしく!」


「頼りにしてるぜ!」


「では、行くぞ!わしの身体さ掴まれ!」


 指示に従い、鶴姫の腰にしがみつく。


 なんか凄くいけないことしてる気分だ……。


 そんなことを思っていると、辺りが真っ白な光に包まれ、眩しさで思わず目を閉じる。


「ほれ。外さ着いたぞ」


 おそるおそる目を開けると、主を失って崩壊したピラミッドがあった。

 瓦礫の中には骸骨たちの姿があり、どこか安らかな表情をしているように見えた。


「みんな、成仏できたようじゃな」


 よかった……。


「んじゃ、旅を再開するぜ!」


「うん!」


「れっつごーじゃ!」


 こうして、二人と一羽のパーティーは歩き始めた。

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