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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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レプリカ・彼女黙示録 華嫁降誕 友情

 西暦二〇一五年 六月六日

 ストーンロール 木場家



 十兵衛は表札に木場と書かれた一軒家の前に来ていた。


「よう!十兵衛!待ってたぜ」


 インターホンを押す寸前、玄関ドアが開いて小太りの少年が姿を見せる。


「朝からテンション高いね。シンヤ」


「まあな!さ、上がって上がって」


 シンヤに促されて木場家にお邪魔し、シンヤの自室に入る。


「面白いものって何?」


「まずはこれを見てくれ」


 そう言って開いたダブスクの画面にはメッセージが表示されている。


「今朝、午前九時五十五分に届いたグローバルメッセだ」


「ちょうど俺が寝てた時間だ」


 件名には、レプリカ作製ツール、と記されている。


「件名だけ、本文なし。凄く胡散臭いだろ?」


「うん。あれ?添付ファイルがある……」


「添付ファイルの中身はイメージROMだ」


 チャット画面を閉じてアプリ一覧に移動し、エミュレータをタップして起動させ、メニュー画面から読み込むイメージROMを選択して決定ボタンをタップする。

 二十秒のローディング後、ソフトが立ち上がる。



 奴隷娼喚_VER.5.5.exe

 SUMMON

 STATES

 UNITE2

 UNITE3



「奴隷……娼喚……。何これ?エロゲ?」


「違う。これが件名にあったレプリカ作製ツール。超どストレートに表現すれば、俺の嫁メーカー」


「え?え?どういうこと?」


「生きて動く女の子のレプリカを作れる。……らしい」


「……は?」


「らしいってのは、このイメージROMには電子説明書とかチュートリアルが無いから世界中の有志の解析した情報がネットを錯綜してんだ。だから、マジかもしれないし嘘かもしれない。という訳で……」


 シンヤが一本の髪の毛をパーカーのポケットから取り出す。

 

「今から実際にレプリカを作る!俺とお前の二人で!これを使って!」


「え……?え!?えええ!?大丈夫なの!?」


「人生は冒険だ!」


「そうかもしれないけど……。ところで、その髪の毛は?」


「レプリカの材料」


「……てことは、その髪の毛の人のレプリカを作るってこと?」


「イエス」


「誰の?」


「真菜」


 真菜とは十四歳の中学二年生のシンヤの妹である。


「あいつの枕元に落ちてたのを取ってきた」


「真菜ちゃんのレプリカなんか作ってどうすんのさ?」


「野暮な質問だな。やることなんて一つだろ?」


 シンヤが不敵な笑みを浮かべる。


「ダメだって!兄妹でそんなこと……!」


「十兵衛。レプリカだぞ。レプリカ」


「ああ!なるほど!……え!?もしかしてそういうツール!?」


「俺と同じ考えの奴は絶対居るだろうし、ツールの作者もそういう奴だろ。たぶん」


「作り方は分かるの?」


「有志が上げた情報を整理してプリントアウトした。じゃあ、早速始めるぜ」


 ダブスクの右サイドカバーニを外し、パーソナル登録パイプに髪の毛を入れる。


 ダブスクにはセキュリティ性向上と転売防止のための購入時パーソナル登録が義務づけられている。

 購入時にレジで髪の毛を抜いて本体右横にあるパーソナル登録パイプに挿入すると、髪の毛の遺伝子情報をダブスクが読み取り、記録された遺伝子情報と一致するユーザー以外には本体操作ができない仕様になっているのだ。


「遺伝子情報読み込み終わり!次は?」


「モデルの作成をタップする。この時、メモリーカードの空き容量は最低でも六十四ギガバイトあるのが望ましい。……だって」


「ノープロブレム!有志の情報を見てすぐに新品の百二十八ギガを買って本体に入れた」


「じゃあ、モデルの作成をタップして」


「オッケーイ!」


 モデルの作成が始まり画面中央にローディングバーが表示される。


「モデルの作成には三十分から五十分かかる。その間に性格や性癖などのパーソナルデータを入力したテキストファイルを作成し、拡張子をpsdにして任意の名前をつけて保存。作成したファイルをメモリーカードのpsdフォルダ内に移動させる。……だってさ」


「それもノープロブレム!既に作成して移動済みだ!」


「……俺、居る意味ある?」


「歴史の目撃者って大事な役目がある!」


「ハハハ」


 歴史の目撃者だなんて大げさだなあ。


 三十五分後。モデルの作成が完了する。


「できあがったモデルに書き込むパーソナルデータをドラッグアンドドロップする。書き込みには五分から十分かかる。書き込み完了後、任意の名前をつけて保存すればレプリカの完成」


「いよいよ最終工程か……。緊張してきた……」


「落ち着いて!ドラッグアンドドロップするだけだよ!」


「お、おう」


 無事に書き込みを終え、実体化モデルに真菜と名前をつけて保存する。


「これより、レプリカ真菜を娼喚する……!十兵衛!心の準備はいいか!?」


「イエッサー!」



 奴隷娼喚_VER.5.5.exe

 →SUMMON

 STATES

 UNITE2

 UNITE3



「では……!娼喚!」



 SUMMON 娼喚する奴隷を1体選択してください

 →真菜 従順度12

 この1体でよろしいですか?

 →はい

 いいえ



 次の瞬間、二人の目の前に光り輝く人の形をした何かが出現し、やがて皮膚や髪の色がつき始め、見覚えのある人間の姿へと変貌していく。


「真菜……!」


 娼喚から十秒後。そこには全裸の少女が目を閉じて立っていた。


「す、凄い!本当に実体化した!」


「やった!やったぜ!」


 レプリカ真菜が目を開く。


「真菜。兄ちゃんだぞ!分かるか?」


「お兄、ちゃん……?え?お兄ちゃん!?何であたしの部屋に居るの!?」


 般若の形相でシンヤを睨む。


 あれ?雲行きが怪しい……?これヤバいんじゃ………!?


 十兵衛はシンヤがプリントアウトした有志の情報を急いで読み直す。


「真菜。ここは俺の部屋だ」


「は!?意味分かんない!何であたしがお兄ちゃんの部屋に居んの!?どういうこと!?」


「真菜!落ち着け!」


 シンヤが真菜の両肩を押さえる。


「え?え?あたし……。裸……!?えっ!?何で裸なの!?何!?何!?どういうこと!?」


「真菜!落ち着いて!」


「嫌!触んないで!キャ……」


 悲鳴を上げる寸前、レプリカ真菜が消える。


「あれ!?真菜!?」


「よ、よかった……。間に合って……」


「十兵衛!何をした!?」


「RETURNコマンドでダブスクに戻した。モデルは無事だから安心して」


「……そっか。助かった……。いやー、肝を冷やしたぜ」


「裸の女の子一人に男二人って構図はヤバいからね」


「しかし、一体何がいけなかったんだ?モデルは完璧だったのに……」


「あっ!分かった!シンヤ!お前、真菜ちゃんのパーソナルデータ、本人に忠実に書いただろ!?」


「え?当たり前だろ。身内なんだから」


「それがまずかったんだよ!本人に忠実過ぎて、お前のことが嫌いなとこまで似ちゃったんだ!」


「なるほど!そーゆーことか!となるとパーソナルデータのクオリティダウンが必要だな。しかし、それは真菜のレプリカと呼べるのか……。うーん……」


「少しずつ忠実さを落として丁度いいところを探そうよ。俺も手伝うからさ」


「十兵衛……!」


「俺たち、親友だろ?」


「ああ!よーし、そうと決まれば早速やるぞ!お袋と真菜本人が帰ってくる夕方までに完成させるぜ!」


「おう!」


 こうして、レプリカ真菜のパーソナルデータ改変作業が始まった。一か所変更したら実体化を何度も繰り返し、あーでもない、こーでもないと試行錯誤するのは重労働だったが、親友兼共犯者という奇妙な一体感が二人の集中力と情熱を後押しした。



 作業開始から六時間後 午後七時



「六十九度目の正直……。娼喚!」



 SUMMON 娼喚する奴隷を1体選択してください

 →真菜 従順度23

 この1体でよろしいですか?

 →はい

 いいえ



 シンヤの前にレプリカ真菜が出現する


「真菜。お兄ちゃんだよ」


「そんなん分かるわよ。何か用?」


 シンヤの手が真菜の肩に触れる。


「お兄ちゃん。この手は何?」


「……怒らないのか?」


「別に?キモいとは思うけどキレることじゃないし……」


「そうか……!それだけ聞ければ十分だ」


 十兵衛がRETURNコマンドを発動し、レプリカ真菜をダブスクに戻す。


「完成だ……!ありがとう!十兵衛!」


「おめでとう!シンヤ!」


 この出来事を通して、二人の友情は更に強くなるのであった。

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