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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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大勝利!また会う日まで

 エロ広告を倒すため、アルケミーはヴィルバスの下で地獄の修行に挑んだ。

 一か月後、修行を終えパワーアップしたアルケミーはエロ広告本体の待つ暗黒空間へと旅立った。


「久しぶりだな。エロ広告」


「懲りもせずまた来たか。小僧」


 暗黒空間でアルケミーとエロ広告の本体である大男が対峙する。


「我が創造主の邪魔をするなら容赦はせぬ。前回のように見逃しはしない。死んでもらうぞ」


「覚悟はできている!今日、お前を倒す!」


 一瞬で大男の懐に飛び込み、体当たりを喰らわせる。


「ぐぬ!おああああ!」


 巨体が宙を舞い、放物線を描いて二十メートル以上吹っ飛ぶ。


「この前と段違いだと!?」


「まだまだ!」


 ダッシュで距離を一気に詰め、大男の顔面に高速な往復パンチを叩き込む。


「うおおおおおおお!」


 顎が砕け、鼻が潰れ、口の中が切れ、パンチが一発当たる度に血が飛び散る。


「わあああーっ!」


 とどめの一撃に顔面に正拳突きを炸裂させ、五十メートル以上殴り飛ばす。


「どうだ!」


「う、ぐぐぐ。見事だ」


 脳震盪でふらつきながら大男が起き上がる。


「我より強い。ならば、殺すに値する!おおおーっ!」


 戦士の雄叫びを上げ、大男が炎に包まれる。


「我の本気を受けてみよ!」


 炎を右手に集め、アルケミーに向かって発射する。


「そんな攻撃!スゥー……」


 思い切り深呼吸し、身体をのけ反らす。


「ラアアアアアアアアーッ!」


 口を中心に大声で発生した空気の波が火炎弾をシャットアウトする。


「音障壁を習得した俺に飛び道具は無意味!」


「ならば、直接ねじ伏せるまでよ!」


 互いに懐へ飛び込んで同時にパンチを繰り出す。

 轟音が響き渡り、衝撃波が発生し、暗黒空間が激しく揺れる。


「うぐぅ!?」


 大男の右手に亀裂が入り、バラバラに砕け散る。


「馬鹿な……。これは……悪い夢だ!」


「現実だ!」


 アルケミーの右腕が大男の身体を心臓ごと刺し貫く。


「ぐ、あ」


 右腕を抜いた直後、大男がその場に崩れ落ちる。ピクリともしない。


「終わりか」


 緊張から解放されホッと一息つく。


 次の瞬間、アルケミーの胸にニードルが突き刺さる。


「あれ……?」


 バランスを崩し、仰向けにバタンと倒れる。


「油断大敵よ。ふはは」


 死んだはずの大男が立ち上がる。先程砕かれた右手はニードルガンに変化している。


「我はこの暗黒空間と共にある!闇がある限り、我は死なぬ!復活してやる!ふははははは!一か月の修行?そんなもの我の前では無意味!我の勝利は既に約束されていたのだ!戦いが始まる前になあ!どうだ!?悔しいか!?」


 ニードルが胸に刺さったまま動かないアルケミーに問い掛ける。


「……もう何も聞こえないか」


「いや、聞こえてるぜ」


 アルケミーが静かに起き上がり、胸のニードルを引き抜く。


「何故!?何故生きている!?確かに心臓を……」


「お守りに助けられたのさ」


 暗黒空間に旅立つ直前にノーポンから貰ったペンダントがアルケミーの心臓を守っていた。


「一度のラッキー、二度は無い!死ねえ!」


 ニードルガンで心臓を狙い撃つが、ハエを払い除ける要領でニードルを弾き落とされる。


「俺が死んだと思ってペラペラ喋ってくれたお陰で、お前の倒し方が分かった。観念するんだな」


 大男に向かって歩き出す。


「ええい!知った風な口を利くな!」


 ニードルガンを連射するが、全て弾かれる。


「何故、エロ広告の本体であるお前が暗黒空間に引きこもるのか……。それは……」


 大男の前に辿り着き、胸ぐらを掴む。


「デスクトップの光が弱点だからだ!」


 アルケミーは大男を無理矢理引きずり、自分が暗黒空間に入る際にこじ開けた入口へと連れていく。


「お天道様の下へご案内!」


「やめろおおおおお!」


 ありったけの力で大男を暗黒空間の外、デスクトップへと放り投げる。


「ぬああああああああ!我の!我の身体があああああ!」


 大男の全身がボロボロに崩れ始める。


「も、申し訳、ありません。創造主……様。うう、うわあああああああ……」


 断末魔の悲鳴を上げて大男が消滅するのと同時に暗黒空間が激しく揺れ始める。


「脱出!」


 デスクトップへ飛び出した直後、アルケミーの背後でエロ広告が大爆発を起こし、跡形もなく消える。


「や……やった!師匠!俺、やりました!」


「それでこそ俺の弟子だ。よくやったな」


「アルケミーさん!」


 ノーポンが抱きつき、アルケミーも抱きしめ返す。


「無事でよかったです!」


「君がくれたお守りのお陰で助かったよ。ありがとう。でも、壊しちゃって……ごめん」


「役に立てたならいいです。それに最初からあげるつもりでしたから」


「えっ。貰っていいの?」


「はい!」


「大事にするよ。ありがとう」


「アルケミー。青春してるところ悪いが現実世界に戻った方がいいぞ。そろそろご両親が起きる時間じゃないか?」


 デスクトップの時計は午前四時五十五分を差している。


「本当だ。あれ?でも、ここで一か月過ごしたから向こうは……?」


「修行の間、タイムゾーンと内部時計を弄った。だから、ここでの一か月は向こうでは二時間ちょっとだ。時間の心配はしなくていいぞ」


「ありがとうございます!師匠!」


「アルケミーさん!また会えますか?」


「もちろん!またね!」


 アルケミーは現実世界へと帰還した。


「さーて、今日も一日頑張るぞ!」


 また、いつも通りの日常が始まる。

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