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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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攻略!ゼウスクラッシャーの巻

 ダム開発の連中との決戦に向けて電脳世界で修行に励むアルケミーは、止まった時の世界への入門のため弾幕シューティングゲーム、ゼウスクラッシャーに挑戦するのだった。


 アルケミーはタイトル画面の部屋に立っていた。

 目の前には文字列が浮かんでいる。


 ZEUS CRUSHER

 PUSH ANY KEY


 文字列に触れると、また別の文字列が現れる。


 START

 OPTION


 STARTを押してゲームを始めるか……。いや、やめとこう。師匠は高難易度のゲームと言っていた。そして、俺はこのゲームをやるのは今日が初めて。なら、一番優しい設定にして雰囲気を掴むのが賢明。しかし、難易度変更はどうやるんだ……。とりあえずOPTIONを押してみるか。


 押した瞬間、部屋が真っ暗になる。

 再び明るさを取り戻すとオプション画面の部屋に居た。

 部屋の中央に文字列が浮かんでいる。


 サウンド設定

 STEREO

 MONAURAL


 難易度変更ができない……。そして、ある意味充実したオプション……。先が思いやられる……。


 タイトル画面に戻ってSTARTに触れると、宇宙空間に似たステージへと移動しゲームが始まる。


 AREA 1 START


 あれが敵キャラか。


 カニとエビを合体させたような見た目の敵機が前方からやって来る。敵機からレーザー光線が発射される。


 あれは恐らく追尾レーザー。ギリギリまで惹きつけてから前に移動すればかわせる。一……二……三。今だ。


 アルケミーは前方に移動しようとした。……が、できなかった。


「前に進めない!?足が動かん!どうなってる!?バグか!?」


 眼前にレーザー光線が迫り、反射的に横に飛び退く。


「避けれた……」


 ほっと胸を撫で下ろすが、すぐにあることに気づく。


 ひょっとして……。このゲーム……。弾幕シューティングなのに横移動しかできないんじゃ……。いや、まさかそんなはず……。


 もう一度、前に移動しようとするがやはりできない。しかし、左右に飛び退くと身体は動いた。


「マジか!……ハッ!」


 前方から次々と追尾性を持ったレーザー光線が迫ってくる。


「右か!?左か!?どっちだ!?」


 迷った末に右に飛び退いてレーザー光線をしのぐ。しかし、次から次へとレーザー光線が追尾してくる。結果、アルケミーは画面端に追い詰められる。


 横移動しかできない自機。横殴りの追尾レーザー……。


「あ……?あ……?あ!ああっ!しまった!」


 敵は弾幕シューティングという今時のスタイルで来るのに、プレイヤーは名古屋撃ちとかが流行ってた一昔前の……。悪く言えば時代遅れのスタイルを強いられる。そりゃクソゲーと言われる訳だ。


 レーザー光線が直撃する寸前、走馬灯の如く、何故このゲームがクソゲーなのか悟った直後、無慈悲な被弾がアルケミーを襲った。


「ぐおあああああ!」


 GAME OVER


 タイトル画面の部屋に戻される。


「いってえ……」


 床に血が滴り落ちる。


「野郎!もう一度だ!」


 STARTに触れ、先程の宇宙空間へと移動する。


 AREA 1 START


「来たな!」


 二十以上の敵機を見据え両手を前に伸ばす。


「やられる前に!やってやる!」


 ヴィルバス直伝。秘技静電射。


 静電気の塊を飛ばし、敵機を片っ端から撃ち落とす。

 撃墜された敵機が苦し紛れの攻撃を行い、レーザー光線がアルケミーの身体をかする。


「ぐぬあああ!」


 大火傷を負い右半身の皮膚がただれる。無重力に血潮が舞い、紅い天の川ができる。


 かなりのダメージだがゲームオーバーにならねえ……。どうやら、当たり判定は自機の頭だけらしい。なら……。


「頭に当たらない限り!俺は死なねえ!かかってこい!」


 レーザー光線に焼かれ、ミサイルで肉体を欠損しながらもアルケミーは第一ステージのボスが居る宙域にたどり着いた。

 両足は欠損、右半身は大火傷、左目は敵機が自爆した際の破片で失明という文字通りの満身創痍であったが、頭に当たれば一発アウトという極限の状況は大量のアドレナリンを生み出し、アルケミーの痛覚を麻痺させていた。


 HERE THE BOSS COMES SOON


「最初のボスか」


 エビとカニに加えて女性器が合体した、いやらしさとおぞましさを併せ持つ見た目のステージボスが小惑星を壊しながら姿を現す。


 AREA 1 BOSS ANGEL OF MUDDY UTERUS


 戦闘開始と同時に四本の腕のハサミから直進性のレーザー光線を発射されるが、アルケミーは光線同士の隙間の安全地帯を見極め、そこに留まりながら攻撃する。


 当たってはいるがダメージにはなってない。弱点以外には当たり判定が無いみたいだな。


 光線の隙間を左右に動きながら攻撃を続け相手の弱点を探る。

 その時、ボスの卵巣部分が光り、膣部分から大量の光弾を低速でばら蒔き始める。


 急に身体の動きが鈍くなったぞ。この妙なカクつきは一体……。


 思い通りに動かない肉体に違和感を覚えながらもなんとか光弾を避ける中、光弾が止み、ボスの膣部分からオタマジャクシ型の光線が大量に発射される。

 オタマジャクシ光線が画面内に残っていた光弾に命中した直後、授精して敵機に変化した光弾が次々とアルケミーに突撃する。


 自分の子供を特攻させるとは……。とんでもねえ奴。だが、今ので分かったぜ。


 突っ込んでくる子供たちを避けながら狙いを定める。


「弱点はそこだ!」


 発射した静電気の塊は膣部分にホールインワンし、身体を点滅させながらボスが狂い悶える。


「ビンゴか!俺の子種をたっぷり喰らえ!」


 ヴィルバス直伝。秘技静電連射。


 静電気の塊を連射しホールインワンを次々と決める。

 怒濤の攻めを受けてボスが絶頂し、断末魔の絶叫と共に爆発する。


 AREA 1 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


 まずは一勝。師匠のハイスコアまで九十万点。この調子でどんどん進む。


 AREA 2 START


 ステージ開始と同時に十機以上の敵機が一斉にレーザー光線を発射する。


 まただ。一体何なんだ。このカクつきは……。


 身体にかかる謎の抵抗により回避が遅れ、かわし切れず右腕をレーザー光線に吹き飛ばされてしまう。


 利き手を失ったか……。かなりヤバイな。


 女性器を模した小型の敵機が大群で現れ、光弾を放射状に発射する。

 次の瞬間、身体にかかる抵抗が増大し、全く身動きをとれなくなってしまう。


 まるで、時が止まったみたいだ……。


 動けないアルケミーに大量の光弾がゆっくりゆっくりと迫ってくる。


 分かった。これは処理落ちだ。エフェクトの量がパソコンのキャパを超過してる。冷静に考えてみれば、弾幕ゲーとか所謂パソゲーは優秀なビデオカードとメモリを搭載した据え置きのデスクトップでやるもの。間違ってもノートパソコンで……。ましてや、五年も前の古いのでやるものじゃない。OSで起動できても、実際に動かせばこうなる。……だとしても、ここまでひどい処理落ちは普通起きないはず。まさか、これもこのゲーム特有の……。クソゲーである要因の一つなのか……。


 無慈悲の光弾がアルケミーの脇腹を抉り、中身が無重力に飛び出す。


 横移動しかできない自機。それを考慮しない攻撃。そして、過剰なエフェクトによる処理落ち……。


 光弾によって身体が削られていく。


 ゼウスクラッシャー……。思った以上のクソゲーだ……。


 頭に被弾し視界がブラックアウトする。


 GAMEOVER


 無機質な機械音声が流れ、アルケミーだった肉塊はタイトル画面の部屋に戻された。


 それから一時間後。


「う……。ここは……」


 アルケミーが目を覚ますとデスクトップの青空が広がっていた。


「お目覚めですか?」


 十七歳くらいの少女の逆さまの顔と目が合う。アルケミーは少女の膝枕に頭を載せていたのだ。


「君は?」


「ノーポンです」


「ノーポン……。あ!セキュリティソフトの!?」


「はい。お久しぶりです」


 起き上がりノーポンを正面から観る。

 アルケミーの知るノーポンは黄色いワンピースとポニーテールの似合う十歳くらいの女の子だった。しかし、今、目の前に居るのはスリーサイズ八十七-五十六-八十五でFカップのおっぱいを実らせたショートボブのミニスカブレザー姿の美少女。襟を大きく開けたワイシャツから見事な谷間を拝める。

 あまりの変貌、もとい成長ぶりに言葉が出ない。


「随分、成長したな」


 さすがに一言も無いのは可哀想なので、無難な感想を述べる。


「成長というよりアップデートですね。見た目だけでなく中身もあの頃とは違います!ザルの騎士団なんて言わせませんよ!」


 可愛いおっぱいを揺らしながら力説する。正直、目のやり場に困るが、本人に自覚が無いのか十歳の時と同じようにはしゃぎ、その度におっぱいが過剰なまでに自己主張する。

 たまりかねたアルケミーは辺りを見回す振りをして顔を逸らす。


「ところで俺はどうしてここに?」


「ゲームオーバーで死亡していたので、私のファイル修復機能で蘇生させました。臓器も手足も元通りですよ」


「そっか。どうもありがとう」


 礼を述べて頭を下げる。


「それだけですか?」


「え?」


「ありがとうだけですか?」


「え?どういうこと?」


「ぎゅー、ってしてくれないんですか?前みたいに」


 アルケミーの顔を下から覗き込み、無自覚でエロい谷間を見せつける。


「いや、俺、こう見えても既婚者だから、そういうのはちょっと……」


「どうして結婚してるとダメなんですか?褒める時にハグするのがどうしてダメなんですか?」


「いや、その、俺の……。俺の理性が、ね……」


「何ですかそれー!?分かんないですー!」


 弱ったな。さっさと修行に戻りたいのに……。そういえば、頭をポンポンすると女の子は喜ぶと風の噂で聞いたことがある。よし。


「ノーポン。治してくれてありがとうな」


 優しく頭を撫でながら褒める。


「えへへ!褒められたー!あははは!」


 よかった。効果は絶大だ。


「それじゃ、俺は修行に戻るよ」


「行ってらっしゃい!怪我したらまた治しますね!」


 ヴィルバスがデスクトップに作成したショートカットを使い、ゼウスクラッシャーのタイトル画面に移動する。


 ZEUS CRUSHER

 PUSH ANY KEY


「よーし……。何回死んででもクリアしてやるぜ!」


 死亡と蘇生を無限ループする、地獄の修行は再開した。


 AREA 1 BOSS ANGEL OF MUDDY UTERUS


 AREA 1 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「次だ!」


 AREA 2 BOSS HOURGLASS OF ABORTION AND PREGNANCY


 AREA 2 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「ひどい処理落ちだったが倒したぞ!次!」


 AREA 3 BOSS SYRINGE FOR FORCED FERTILIZATION


 AREA 3 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「四回も死んだが倒してやったぞ!さあ次だ!」


 AREA 4 BOSS GREEDY SPERM


 AREA 4 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「手足をもがれようと俺は死なん!次!」


 AREA 5 BOSS GODDESS OF DANGEROUS DAY


 AREA 5 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「たかが利き腕をやられただけ!次だ!」


 AREA 6 BOSS SPERM OF ADULTERER


 AREA 6 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO NEXT AREA


「命……ある、限り……戦う!」


 AREA 7 BOSS BABY OF ADULTERER


 AREA 7 CLEAR

 SCORE 100,000

 GO TO FINAL AREA


「六度目の正直!次でラスト!」


 FINAL AREA BOSS ZEUS OF ANGER AND DESPAIR


 FINAL AREA CLEAR

 SCORE 300,000

 TOTAL SCORE 1,000,000

 ALL CLEAR! CONGRATULATIONS!


「いきなり音ゲーが始まった時はビックリしたが、何はともあれクリアだ!よっしゃああああ!うおおおおーっ!」


 電脳時間で二百年、現実時間で十日かけて遂にゼウスクラッシャーをクリアし、思わず歓喜の雄叫びを上げる。

 ちなみに、電脳時間は処理落ちによる歪みでかなり延びている。


 待ちに待ったエンディング。楽しみだなあ。


 ラスボスが倒され、平和を取り戻した楽園の住人がアルケミーの前にフェイスウィンドウで現れる。


エテ゛ンのたみ

「らくえんを すくってくれて ありか゛とう。

 おれいに しゅうかいフ゜レイの けんりを あけ゛よう!」


「はあ!?クッソ!ざけんなあ!」


 フェイスウィンドウに鉄拳をめり込ませる。


「いらんわーっ!もう二度とやるか!こんなクソゲー!」


エテ゛ンのたみ

「セ゛ウスは しんた゛。

 しかし、 くた゛けちった にくへんから

 あくまか゛ うまれてしまった!」


「え……?え?ええ!?それじゃ今までの苦労は何だったの!?」


エテ゛ンのたみ

「これからも らくえんを まもるのに、

 きょうりょくして くれよな!」


「お断りだ!」


 再度鉄拳を叩き込んでフェイスウィンドウを破壊する。

 その直後、周囲が真っ暗になり、戦犯リストもといスタッフロールが流れ始める。

 それに構わずゲームを終了させてデスクトップに戻ると、ヴィルバスとノーポンが待っていた。


「よくやったな!アルケミー!さすが俺の一番弟子だ!」


「もったいないお言葉、ありがとうございます!」


「アルケミーさん!かっこよかったです!」


「ありがとう!ノーポン!」


「さて、真のエンディングを拝むとしようか」


「真のエンディング?師匠。それは何です?」


 ヴィルバスがアプリストアを立ち上げる。


 アプリ名 ゼウスクラッシャー

 ジャンル シューティング

 アルケミー・フォーミュラさんの評価がまだありません。

 評価待ち ★★★★★


「アルケミー。分かっているな」


「……はい!」


 ☆★★★★

 星一つでよろしいですか? →はい

 アルケミー・フォーミュラさんの評価が完了しました。


「清々しい気分ですね!」


「だろう?」


 アプリストアを後にし、デスクトップへ戻る。


「師匠!お世話になりました!」


「お前は間違いなく強くなった。胸を張って行ってこい!」


「はい!」


「応援してます!」


「ありがとう!行ってきます!」


 こうして現実時間で十三日ぶりにアルケミーは現実世界へと帰還した。


「よし!奴らの葬式に行く準備をするか!」


 果たしてアルケミーは田舎から都会へとたどり着けるのか。

 アルケミーの運命や如何に。

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