外道の告白の巻
ノリアキの窮地を救ったアルケミーは、二度と時止めをしない約束を交わし、ノリアキの友となるのだった。
一方、命からがら逃げたニシノとオノはダム開発の本拠地に帰還していた。
「お帰り。早かったな。おや?マキノはどうした?」
リーダーが出迎える。
「死にました。アルケミー・フォーミュラという男にやられて……」
「なるほど。それで帰って来たのか」
「そうそう!完全な時止めする奴の名前はノリアキでした」
「何?ノリアキだと……。聞き覚えがあるな」
その場に居た連中の一人が口を開く。
「リーダー。それって十年くらい前に工事した村の村長の息子なんじゃ?」
「それだ!そうか……。まだ生きてたのか」
「十年前の工事ってリーダーも参加してたんすか?」
「ああ。下積み時代、荷物持ち兼火事場泥棒としてな。坊主に危うく殺されそうになったが、少数精鋭の奴らを身代わりに金目の物を持って逃げたんた。坊主の妹も一緒にな」
「あのノリアキという男には妹が居るんですか?」
ニシノの問いにリーダーが答える。
「……俺、就学前から小学校低学年の女の子が大好きなんだ。穢れを知らない心と身体にメスの烙印を押すのが最高なんだ……。下積み時代、何人も食って壊した……。フッ、ムハッ、フヒ、フハハ、ウククク、ヒャヒャヒャ……」
下品な笑みを浮かべながら話を続ける。
「さらった妹は可愛い可愛い五歳のおにゃのこだった。名前はユカリちゃん。顔も!身体も!心も!全てが最高!俺に汚されるために生まれてきた……。初めて異性として意識した娘だった」
リーダーの発言に連中が凍りつく。
「頑張った甲斐あってすぐにデキた……。出産で壊れると思ったが生き延びて、今じゃすっかり俺のもの」
「まさか!リーダーの若奥様って……!?」
「そうだよ。ユカリちゃんさ。今年で十五。俺をパパと呼んでくれるんだ。羨ましいだろ?だろ?フフフ……。アハハ!アハハハハハ!」
自分たちとは一線を画するリーダーの性癖と鬼畜ぶりに連中は何も言えなくなる。
「思い出話はここまで……。ニシノ、オノ。お前ら死ね」
「え?ええ!?」
「そんな!どうして!?」
「いい報告を期待してるって言ったろ?欲しいのはいい報告であって、思い出話に花咲かす種じゃないの。それにさ、マキノ死んだのに帰ってくるってどゆこと?仲間死んだら一緒に死ぬのが筋だろ」
「はあ!?」
「そんなの無茶苦茶だ!」
次の瞬間、リーダーの手刀でニシノとオノの首が飛ぶ。
「ヤマダ。燃えるゴミで出しといて。そのままだと場所とるからバラバラにしてな」
「ういっす。了解っす」
掃除係のヤマダが死体を担いでプレハブ小屋を出ていく。
「さて!無駄話で遅くなったけど今から会議するぞ」
こうして、またいつものように作戦会議は始まるのだった。
ところ変わって、ここは南の村。
アルケミーは村長の家でノリアキの手当てをしていた。
「幸い肋骨は折れてない。ヒビだけだから三日で治るだろう」
「色々とすまない」
「謝らなくていい。友を助けるのは当たり前のことだ」
「ありがとう……。ところで、俺の過去は一体誰から?」
「俺の村の村長だ」
「そうか。あの爺さんか……」
「長居するとお前の身体に障るだろうし、そろそろ帰る。ゆっくり休んでくれ。また明日見舞いに来る」
「分かった。本当に今日はありがとう」
「ああ。また明日な」
「うん。また明日」
去っていく友の背中を見送る。
「ただいま。ノリアキ」
アルケミーと入れ替わる形で村長が帰宅する。
「お帰り。婆さん」
「今、うちから出てった男……。こないだの男じゃないか?」
「そうだよ。彼はアルケミー・フォーミュラ。中央の村に住む俺の友だ。今日、俺のピンチを助けてくれたんだ」
「そうかそうか!それはよかったの!」
ノリアキはよそ者故に友と呼べる者は一人も居らず、遊び相手や話し相手は義母の老婆だけだった。
だからこそ、老婆はノリアキに友ができたことを喜んだ。
「明日も来るのかい?」
「ああ」
「なら、お菓子の一つ出さないとな。お婆ちゃん頑張りますよ」
「い、いいよ。婆さん。何もそこまで……」
「ノリアキを助けてくれた礼もしたいし、ノリアキのお友だちだろ?遊びに来るお友だちはもてなすもんだ」
「そうか……。何か手伝おうか?」
「お前は休んどれ。お婆ちゃんに任せなさい!ホッホッホ!」
友となったアルケミーとノリアキ。
しかし、いつまで一緒に居られるのか。
そして、生きていたノリアキの妹、ユカリ。
二人が会える日は来るのだろうか。
彼らの運命や如何に。




