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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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沈黙の脱走

 両親に空き巣だと誤解されたアルケミーは逮捕され留置場に収容される。そこで待ち受けていたのは拷問同然の取り調べだった。

 このまま留置場に居続ければいずれ死ぬが、脱走をすれば空き巣であると認めたことになるため、アルケミーは脱走をためらってしまう。しかし、そんな八方塞がりの彼に同じ牢屋の男が脱走を勧めてきた。


 男は四十代後半で薬指に左手指輪をしている。既婚者のようだ。


「脱走?そりゃしたいさ。無実だからな。でも、そんなことをすれば罪を認めたも同然。やりたくてもやれん」


「確かにそうだな」


 少し間を置いてから男が口を開く。


「君。歳はいくつだ」


「十四だ」


 見た目は十七だがな。


「なら、社会の授業で逮捕から裁判の流れは習ったか?」


「一応」


「罪を認め、判決を言い渡され、刑期を終えて社会に戻る。それが法律で定められている流れだ」


「あんたの言う通り、そんな感じのことを習った。しかし、それが何だ?」


「世の中には暗黙のルールがある。会社にも学校にも、法律にもある」


「何?」


「無実であるにもかかわらず留置場に収容された場合、かつ収容されたのが未成年である場合、脱走してもよい」


「何だと!?それは本当か!?」


「ただし……。いいか。ここが大事だ。よく聴けよ。ただし、脱走してから三日以内に確保された場合、脱走者は裁判を無視し終身刑が下る」


「三日。三日逃げ切れば勝ち、ということか?」


「ああ」


「逃走中に警察に見つかった際、抵抗するのはアリか?」


「アリだ。抵抗や攻撃によって生じる損害を考慮して、捕まった際は終身刑と決まっている」


「そうか。なら、無理に留まる必要は無いな」


 アルケミーが両手で鉄格子を掴み、男の方を見る。


「あんたは何故それを俺に教えた?まさかさっきの警官とグルで、俺が脱走したところを捕まえる手はずか?」


「そんなことしないさ。俺と違って君は濁った目をしてない、潔白の目をしていた。ここに居るのは罪を背負った奴だけでいい。だから教えた。それだけ」


「あんた。一体何をやってここに?」


「高校生の娘が居るんだけどね……」


 遠い目をしながら話す。


「出会ったばかりの頃の家内と顔も身体もそっくりで……。思わずムラっとしてね……。小遣いあげて口止めしたのに家内にばらしてね。即通報、即逮捕、即離婚。で、ここ」


「お前は一生ここに居ろ」


 そう言って鉄格子をねじ曲げて人一人通れる隙間を作って牢屋を出る。そして、再び鉄格子をねじ曲げて元に戻す。


「じゃあな」


 振り返らず留置場を後にし、左右に分かれた廊下に出る。


 右利きだから右へ行くか。


 ただそれだけの理由で右に進むと、夜間巡回中の女性警官と曲がり角で鉢合わせする。

 女性警官は丸顔のややぽっちゃり系の二十代半ばで身長は百五十四センチくらい。スカート越しに分かる太もものムチムチさと黒タイツの張り加減がいいエロさを醸し出している。

 脱走者のアルケミーを見て目を丸くしている。どうやら、脱走者と鉢合わせするのは初めてのようだ。


 尋問してみるか。


 右手で壁ドンをかまして退路を絶ち、左手で女性警官の両手首を鷲掴みにする。


「騒ぐな。騒げば命の保証はできん。俺の言う通りにしろ」


 耳元でささやくと、女性警官が頷く。


「どうすれば安全に警察署から出られる。脱出経路を言え」


 女性警官が首を横に振る。


 言わないか。なら、言わせるまで。


「トイレはどこだ。黙って案内しろ。おかしな動きをすれば殺す」


 廊下を進みトイレ前に着く。


「来い」


 女性警官を引っ張り、男性用トイレの個室に連れ込む。


「洗いざらい喋ってもらうぞ」


 ヴィルバス直伝。秘技快溺口割。


 三十分後。個室内には快楽に身をよじらせる女性警官の姿があった。


「欲しい情報はいただいた。もう用は無い」


 個室を出ようとしたその時、女性警官がアルケミーの右手を掴んで引き止める。


「何だ?ひょっとしてまだ欲しいのか?」


 赤面しながらも頷く。


 可愛い女だ。


 アルケミーがリクエストに応える。

 そして、更に三十分後。


「マキ。お前は最高だ」


 女性警官はマキという名前で、高校時代に好きだった先輩とそっくりだったのでアルケミーに惚れたとのこと。壁ドンされた時点で陥落寸前だったらしい。

 ちなみに、卒業式に先輩に告白したら「ブスはお断り」と言われたのがトラウマになり、恋愛が怖くなったとのこと。


 それにしてもいい女だ。与えた分だけ俺にも返してくれる。本当にいい女だ。


「マキ。お前さえよければ三日逃げた後もそばに居てくれないか?俺はお前が欲しい。嫌か?」


「でも、私、ブスだしおっぱい小さいし……」


「おっぱいに必要なのは大きさではない、可愛いさだ。俺はマキの可愛いおっぱいが好きだ。顔だって好きだ。お前の全てが好きなんだ。昔のことなんか忘れさせてやる。俺だけを見てくれ」


「嬉しい……」


 マキが抱きつき、アルケミーも抱き返す。


 最悪の場所で最愛の女を手に入れた。必ず逃げ切ってみせる。そして、マキと家に帰ろう。


「そろそろ行こうか」


「うん」


 アルケミーはマキの手をとり、男子トイレを出た。


 アルケミーとマキの自由への逃走が今始まる。

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