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こまけぇこたぁいいんだよ!!  作者: 承り太郎
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さらばルシファイン!永遠の愛を君に

 壮絶な戦いの末、カオリへの愛を原動力に究極の姿「フォーエヴァーラヴ」へと変身したルシファインの圧倒的なパワーを前にエヴァンズは全滅。人類は救われた。

 戦いを終えたアルバートはカオリにプロポーズ。指輪と一緒に自分の種も渡して、できちゃった結婚して幸せな家庭を築いた。

 よかったな!アルバート!カオリと幸せになチクショー!


堕天戦士ルシファイン ~完~



エヴァンズとの戦いから14年後の西暦2012年



 田舎に建つ一軒家。

 二階の子供部屋から外を見つめる少年が一人。黒のロングヘアが夜風に揺れる。

 少年の名はアルケミー・フォーミュラ。十四歳の中学二年生である。


 見渡す限りの田んぼ。果てしない闇の世界。

 都会では24時間営業のファミレスやコンビニが並び、繁華街ではラブホテルやクラブのネオンサインが輝いていると聞く。夜中も明るいとはどのような感じなのだろう。24時間営業の店で働く人達は眠くないのだろうか。夜中に起きてる人達はいつ寝るのだろう。

 田舎の世界しか知らないアルケミーは今晩も暗闇に憧れの都会を妄想する。


 夜風が寒くなってきたので妄想を切り上げ、窓を閉めてベッドに寝転がる。

 目を閉じて眠くなるのを待つ。しかし、睡魔が訪れない。辛抱強く待つが、いつまで経ってもやって来ない。

 明日も平日なのでいつも通り学校がある。しっかり眠れないと非常に困る。


 ゆっくりと起き上がり、ベッドから降りて一階のリビングに向かう。両親が寝ていることを確認し、家族共用のノートパソコンを起動させる。デスクトップでインターネットをダブルクリックしてブラウザを立ち上げる。

 検索エンジンの検索窓に「エロ動画」と入力する。


 眠れない時は「自家発電する」ことをアルケミーは心得ていた。

 「自家発電する」と全身の力が一気に抜けてあっという間に眠ることができるのだ。

 自室の本棚の一番下、ずらりと並んだ参考書の裏にオカズを隠してある。県境の自販機で買ったものだ。それを使えば自室で済むが、何回も使うと新鮮味が無くなってしまう。

 だが、インターネットは毎日新鮮なオカズが提供されるのでマンネリに陥ることは無い。それはアルケミーにとって「両親に見つかるかもしれない」という懸念すら超越する魅力なのだ。


 検索結果に表示された動画のサムネイル一覧を見つめ、オカズを真剣に吟味する。玉石混淆の中から一粒のダイヤモンドを拾う宝探し。心が踊る。


 これだ。


 ピンときたサムネイルをクリックして動画ページへとジャンプする。ページの中央には動画が貼り付けられている。


 よかった。「This video has been removed.」と書かれていない。見れるぞ。


 二枚重ねにしたティッシュを用意して再生ボタンをクリックする。


 次の瞬間、画面いっぱいにアダルトサイトの広告が表示される。


 だが、アルケミーは慌てず広告右上のバツ印をクリックする。この手の広告はウザいが簡単に消せるので問題無い。よくあることだ。


 しかし、時として例外がある。


 消えない。


 もう一度バツ印をクリックする。

 消えない。


 三度目の正直。


 もう一度バツ印をクリックする。

 消えない。


 消えない。

 消えない。

 消えない。

 消えない。

 消えない。


 どうしよう。


 至福のひとときが一転。心臓がバクバクし、脇汗が滲み、マウスを握る手が小刻みに震え、手汗で濡れる。パニックに陥り、冷静さを失う。

 セーブポイントを使ってで以前の状態に戻す。あるいは、レジストリを辿って不審なファイルを削除して再起動させる等々、検索すれば対処法はいくらでも出てくる。

 しかし、パニックに陥ったアルケミーは頭が回らない。今、使っているネットが問題解決への一番の近道だと気付けない。


 お父さんとお母さんに何て説明しよう。

 怒られて家を追い出されたらどうしよう。

 うちの子じゃないと見捨てられたらどうしよう。

 でも、クリックで消せない。こうなったらやるしかない!


 悲壮な決意を固め、助走をつけてモニタに頭から突っ込み、アルケミーは電脳世界へと旅立った。


 エロ広告!この手で直接消してやるからな!待ってろよ!

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