朝
差し込んできた朝の光が一日の気持ちのいい朝を告げたなら、今日という日が始まる。
眠たい目を擦り、おもむろに身体を起こし枕元に転がっている白のシンプルな時計を手にし、時間を確認
する。
只今、七時六分。今から急いで支度をしたら、何とか学校の門には着くだろう。
行き慣れた学校への移動時間と、朝の支度の時間を合わせて逆算し、そんな結論を出した。
ベッドから足を下ろし地面に付けると同時に、洗面所へと足を進めた。
寝室のドアを開け、廊下を一直線に進み左側に現れた、上部に刷りガラスのはめられた木のスライドドアを勢いよく開ける。
一か月もこの部屋に住んでいると、この一連の動作が毎朝のルーティーンのようにも感じられるようになってきた。
この部屋は、ここら辺では一番安かった。
安い分それなりの不便さを覚悟していたが、思った以上に快適な事に気付いた。
それと同時に、自分と言う人間はこんな安い部屋でも満足してしまう安い人間なんだということに気付いた。
少しくすみのかかった蛇口をひねり、錆びた蛇口から出るきれいな水で思い切り顔を洗った。
その後は、すぐ横に掛けてある制服に着替え、洗面所の横にあるリビングに向かう。
旅館にあるような小さな冷蔵庫から昨日作り置きしておいたお味噌汁とご飯を取り出し、近くの家具屋で買った安いレンジに少々投げやりに入れたら勢いよく温めのボタンを押した。
実家が酒蔵なのもあって、朝食は必ずと言っていい程和食だった。
だから、毎日和食を朝食べるし、それに疑問も持たない。
只今、七時十分。ここから学校までは約三十分。学校には五十分に着けばギリギリセーフ。
単純に逆算したら、あと十分の猶予しか僕には与えられていなかった。
と、レンジのチンッっという軽い音が寂しい部屋に鳴り響いた。
急いでご飯とお味噌汁を取り出すと高さの低い白のテーブルに乗せ、テーブルの上にあった近くのスーパーの割りばしを慣れた手つきでパリッと割った。
一瞬だけ軽く手を合わせ、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で、いただきます。というと一気にそこに置いてあった物をたいらげた。
そしてぱっと時計を見る。七時十五分。これなら間に合う。心に少し余裕ができた。それでもまだ間に合わない可能性はあるので、さきほどの勢いは変わらずに寝室にある鞄を手にし、勢いよく玄関を開けた。
どうも奈良漬けです。今更ながらあとがきを書きました。
今回投稿した「朝」ですが、この「僕」は現実の僕となんら関係無い架空の人物です。
この実家が酒蔵の「僕」はこれからもちょくちょく僕の投稿する小説にでてくると思います。
まだまだ駆け出しですがこれからもよろしくお願いします!