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1-4 ゴーレム

「ハルキ様、ハルキ様が喜びそうな本がありましたよ」

 やってきたのはフィリップだ。こいつ、なぜか召喚の資質が高くノーム召喚担当になっている。召喚数はいまのところ12匹で俺に次ぐ数を誇っている、いわゆるエリートとしてまわりから認識されているらしい。

 ちなみに、この数か月で税収が2倍に増えたために俺は領民から神のように崇められ、領地内経営はほとんど俺が行っていると言っても良い。アランは当初は楽ができると喜んでいたが、いまでは完全に息子に権力を握られお飾りの領主に成り下がってしまっている。


「フィリップか、なんかあったのか?」

「これです、これ」

 差し出されたのは本だった。昔の英雄の物語だそうだ。その中の1ページにものすごく興味をひかれる挿絵が書かれている。そこには一人の召喚魔法使いと、その眷属が描かれていた。眷属の名前は……。

「ゴーレム!」

 なんてこったい、こいつはぜひとも眷属に招き入れねば。このゴーレムの召喚魔法使いは戦争で多くの兵士を失った部隊の中でゴーレムを使って城壁を修復し多くの敵の足止めに成功したと書かれている。その後召喚魔法使いは死んだそうだが、その功績で援軍が間に合ったそうだ。


「こいつがいれば土木工事をさせることができるぞ!」


 いまは、人間に工事を行わせている。畦道や水路程度であればノームもできるのだが、それ以上の力仕事は無理だ。そのため開墾や城壁の修理などまだまだ人手不足の状態だ。俺の方針で移民を受け入れており、獣人亜人も問わずに多くの領民が増えたが、それでもゴーレムは魅力的である。

「開墾に築城、治水工事に……ああ、夢がとまらん」

「ぜひとも、これの契約方法を探しましょう」

「うむ、そうだな。よし、フィリップよ。貴族院行って来い」

「えっ?」

「行ってる間もノーム召喚は継続しとけよ」

 俺は絶対貴族院には行かん。


 貴族院には多くの魔法使いがいる。数が少ないとはいえ、召喚を得意とする魔法使いも貴族院にはいた。そこにフィリップを派遣し、ゴーレムの契約をしっているかどうか尋ねてこさせるのだ。

 フィリップが帰ってくるまでに1か月かかった。結論からいうとゴーレムの契約方法は貴族院の図書館に残っていたそうだ。ただし、もっとも力のよわいクレイゴーレムの契約方法のみだったそうで、他のストーンゴーレムやアイアンゴーレムの方法は乗ってなかったらしい。契約に必要なものは土の魔石、大量の粘土、羊皮紙、なぜか薬草が数種類だそうだ。どれもあまり希少なものではないのですぐに集まった。


 俺の契約の儀式はすんなり終わった。契約内容は召喚と維持の魔力と引き換えに「クレイゴーレムの出来る範囲の事柄」だ。召喚に必要な魔力は1000、維持は100という大量の魔力が必要で1体でも24時間維持することができない。

 しかし、問題はその後だった。フィリップたちは契約に失敗したのだ。他の4人も同様である。いろいろ分析した結果、召喚魔法のレベルが足りないのではないかという結論に落ち着いた。まだ、俺一人が1体しか召喚できないのであれば土木工事に使うことは難しいかもしれない。


 そう思っていた時が私にもありました。


 しかし翌日に物は試しにとクレイゴーレムを開墾の為に召喚してみたところ、5メートルを超える巨体が人間ではありえない力で木々をバッタバッタとなぎ倒し、根っこをどんどんと引き抜いていく。他の召喚魔法使いのノームたちが土を馴らしていって、あっという間に開墾終了と。

「これは、すげえな」

 自分でもあまりの破壊力に呆然としてしまった。


 その年の収穫量は尋常じゃなかった。領民としても他の仕事をしていて収穫量が増えるという奇跡に収穫祭はおおいに盛り上がった。俺はノーム召喚担当の5人を率いて祭りの中心に来ていた。

「ハルキ様じゃ!」

「おお!ハルキ様!」

「きゃ~、こっち向いて~!」

 俺、モテ期到来。

 老若男女にモテモテである。

「今日は俺のおごりだ!おおいに飲んで楽しんでくれ!」

 こんなに皆から注目されることなんてなかったな~。祭りが楽しすぎる。

「フィリップ様が来られたぞ!」

「レイクサイド召喚騎士団、筆頭召喚士フィリップ=オーケストラ様じゃ!」

 フィリップがモテている。巷ではハルキに見出された召喚魔法使い5名を指して召喚士という名前で呼んでいるらしい。特にハルキをふくめた6名は正式名称はノーム召喚担当だが、レイクサイド召喚騎士団という通り名なんだとか。ちょっとかっこいいな、おい。今度からそれで行こう。


「ウォルター!!」

「ウォルターさん!」

 平民出身のウォルターはフィリップより少し若い。召喚士にスカウトした時は騎士団の中でいじめられるような存在だったという。


「ヒルダ~!結婚してくれ~!」

「ヒルダ姉さ~ん!」

 ヒルダも平民出身だ。20代後半である彼女は夫に先立たれた未亡人である。再婚の申し込みが半端ないそうだ。


「テト!がんばれよ!」

 テトは幼少院を出たばかりで俺より年が若い。まだ成人していないにも関わらず召喚士にスカウトされたということで期待されている。


「ヘテロ!しっかりな!」

「ヘテロ!諦めんなよ!」

 ヘテロは19歳であるが一番魔力量がすくなくノーム召喚数がテトよりも少ないために残念な評価を受けることが多い。しかし、もっともフットワークが軽く色んな所へ出張するために遠くの領地で召喚が必要な時には非常に役に立つ男である。ちなみにノーム召喚は召喚者からだいたい2~3kmの範囲を超えると帰ってしまう。


「あ、領主様だ」

「お、領主様」

 次にアランが到着したが、非常に盛り上がりに欠ける反応だった。頑張れ親父。

 収穫祭が終わり、大幅に上がった税収を見て俺は召喚魔法の教師を招待することを決めた。年が変わり、俺は17歳になった。


ハルキ=レイクサイド 17歳 男性

Lv 38

HP 520/560   MP 1610/1940

破壊 2  回復 1  補助 2  召喚 93  幻惑 3  特殊 0

スキル:なし

眷属:ノーム(召喚3維持2)

ウンディーネ(召喚100維持20)

サラマンダー(召喚100、維持20)

クレイゴーレム(召喚1000、維持100)

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