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「リア充爆発しろやぁぁぁ!!」

レイクサイド領主館の庭に特大の爆発音が響く。

「てめえ、うちの領地でそれ使ってんじゃねえ!シルフィードかフラットでやりやがれ!」

次期当主の召喚により鉄の人形たちが魔王の体中の関節を決める。しかも口の中に妖精が押し込まれ、詠唱を防ぐおまけつきで。

「もがごがぐごが!」

鉄の人形をどうにかしようにも関節技が綺麗に決まっているためにいくら力が強くてもふりほどけない。ふりほどけないから、刀も当たらない。なんでも斬れるスキルも意味がなくなる。

「もげらばぐぞばば。」

ヨダレまみれの妖精は口の中で奮闘中だ。背中に歯型が付いてしまっている。

「頭ぁ冷やしてこい!!」

最後は紅竜の尾が鉄人形ごと、近くのため池に向けて吹き飛ばす。その衝撃で口の中の歯型のついた妖精が飛び出されるが、もはや詠唱は間に合わない。

「何故だ!ちくしょおぉぉ!!!」

どっぼ~んという音と水柱が立って、平和が取り戻される。



テトです。来年成人の儀を受ける15歳ですが、栄えあるレイクサイド召喚騎士団の第4部隊隊長を勤めさせてもらってます。二つ名は「紅を継ぐもの」。ハルキ=レイクサイド様の二つ名である「紅竜」の由来であるにレッドドラゴンの召喚が可能だったためこう呼んでいただいてます。ただ、最近はこの二つ名が重たすぎて、非常に僕を苦しめているのも事実です。

「なにやら賑やかだな。」

この方は「鉄巨人」の二つ名を持つフィリップ=オーケストラ筆頭召喚士。僕たちを束ねているすごい人です。この方もレッドドラゴンの召喚が可能ですが、僕の方が早く契約できたんです。

「テツヤ様、昨日合コンだったッス。綺麗どころ用意したんで俺も参加したかったッスけど、オーケストラ家から止められたッス。」

この人はヘテロ=オーケストラさん。第5部隊隊長で「フェンリルの冷騎士」と呼ばれる人だ。彼が任務に失敗したのは見たことない。

「相手が第1部隊のミアと第4部隊のレイラだったでしょう。確かに美人ですが、その選択肢はテツヤ様には可哀想でしたね。」

この人はウォルターさん。第2部隊隊長で「闇を纏う者」の二つ名を持つ諜報暗殺部隊のリーダーであり、作戦参謀も務める人です。

「え?なんでッスか?テツヤ様の好みは完全に把握した上での人選ッスよ。」

「いや、彼女らが召喚騎士団に入隊した理由覚えてるか?」

「あっ・・・ッス。」

「テツヤ様、昨日は夜遅くまで彼女らにいかにハルキ様が偉大で恰好いいかという事に関して聞かされ続けて寝不足らしい。」

うわぁ、可哀想ぉ。


「それにしてもハルキ様すごいね。」

「何がッスか?ハルキ様はもとからすごいスけど、レッドドラゴンならテトも召喚できるッス。」

いや、だからなんだけど。

「じゃあ、ヘテロはレッドドラゴン召喚できたら、テツヤ様を圧倒できる?しかもあれだけの消費魔力で。」

「「「!?」」」

召喚のタイミングと効果が絶妙すぎる。場所も完璧だ。ゴーレム空爆の時もハルキ様は全部一撃で船を沈めてた。中には鯨型の超大型魔物まで超高度からの飛び込み型ゴーレム空爆で一撃だから凄すぎる。

「たまたまレッドドラゴン以下だとダメージが通らないからああしてるけど、下手したらアイアンドロイドとノームだけで魔王を制圧できてたかもしれないんだよね。」

「いやはや、これは筆頭召喚士を降りるのが大分早めになりそうだ。」

「俺マジでショックッス。」

フィリップ様、なんでそうなるのか分かんないんだけど。いまはハルキ様の話をしてたんだよ。ちゃんと聞いてた?

「ハルキ様の召喚を参考にして頑張ってるけど、あの領域は遠くて自信なくしちゃうよ。」

なんか、悔しいな。

「こ、これは、我らもフラン様のように常に未熟であることを自覚しないといけないですね。」

ウォルター、フラン様じゃなくてハルキ様だってば。


「フィリップ、農地の開拓計画がいまいちだ。何でもかんでも開拓すればよいと言うものではない。最近の他領地の食糧状況に目を通したか?このままでは食糧過多で値段が下がるばかりで費用の分を考えれば赤字だ。すでにヴァレンタイン全土の餓死者は昨年からいなくなっているんだぞ。ノームが余ってるなら農地の開拓ではなく他の生産作業へ移せ。それにここの森林は絶対そのまま残せ、森は水を蓄える。ここを開墾してしまうと治水事業の見直しが必要になるぞ。行政担当ともよく話し合え。」

「ウォルター、待望の人員増加をしてやろう。騎士団から数名と新規に冒険者から好きなだけ募集しろ。その変わり管理できる範囲を徹底しろ。あ、その前に、クロス宰相の諜報部隊がうるさい。ばれなきゃ生死は問わんからどうにかしろ。」

「フィリップ、部隊の強化を計画したぞ。4人一組で魔物狩りに行って来い。もちろん素材の回収も忘れるな。収穫祭までに食糧の調達もかねてあるから輸送隊も組織しろ。ジンビー=エルライトには話がついてある。というか、脅しといた。」

「ウォルター、魔道具開発だが魔人に魔力感知でばれないようにする魔道具の開発を急がせろ。こっちの情報ばかり洩れている現状をどうにかしないと勝てる物も勝てん。」


「す、すさまじいッスね。」

明らかにフィリップ様とウォルターがオーバーワークだよ。最初にノーム召喚で農地作業している時もこんな感じだったけど、スイッチ入ったハルキ様には誰もついて行けない・・・。

「テト!」

「ひゃい!」

やばい、変な声出ちゃった。

「お前の部隊の演習を見たが、まだ魔力に頼りすぎだ。レッドドラゴンが強制送還された状況を想定して訓練し直せ。あと、収穫祭までにコキュートスの契約を終わらせておけよ。あれの肉はセーラの好物だ。必ず回収しろ。」

コキュートスってことは怪鳥ロックの素材?Sランク依頼だけど、収穫祭まであと2週間しかないよ。ロックリザードも狩らなきゃ。

「わ、わっかりました。」

「第4部隊連れて行くならレッドドラゴンなしで狩るんだな。嫌なら一人で行って来い。」

ひえぇ、無茶振りだぁ!


「これは・・・まだ他領地に逃避されておられた方が我々としては良かったかもしれん。」

「でも、ここまで私たちの計画に不備があったとは思いませんでした。さすがハルキ様はお考えが違う。レイクサイド領の事を思うと、この1か月は皆でかなりの仕事をこなされましたから。」

「マジでしんどいッス。エルライト領の魔物半端ないス。」

「僕も結局、コキュートスの契約の時にレッドドラゴン召喚したうえで皆で戦ってやっとだったし・・・。」

はあ、とため息が重なる。ハルキ様絶好調だよ。スイッチ入りまくりで誰も敵わない。


「あ、みなさんこちらにいましたか。」

あ、ヒルダ。

「ハルキ様が演習をなさるから4人とも集合だそうですよ。今なら1:4でも負ける気がしないっておっしゃってました。」

「ちょっと僕、用事を思い出した!!」


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