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5-5 まおう

というわけで俺はただのホープ=ブックヤードだ。

「貴公、いろいろと質問したいことがあるがとりあえずこの状況を説明してもらっても良いか?」

 実は、俺の正体はハルキ=レイクサイド、レイクサイド次期当主にして「紅竜」の二つ名を持つ召喚士なのだ。この青筋たてて怒ってるのがジギル=シルフィード。シルフィード領主にして、この前さんざん俺のレイクサイド召喚騎士団をこき使ってくれた悪徳貴公子だ。

「ハルキ様、17回目の脱走がようやく成功したんですけど、どこに行くか決めてなかったんですよ。」

仕方ないからシルフィードの町で行きつけのクラブハウスサンド屋に行こうと思ったんだが、せっかくなので材料の肉を高級品にしてもらうために、お義母さんへの挨拶もかねて冒険者ギルドに寄ってクレイジーシープの討伐依頼がないかどうかを確かめにきた所だ。

「その恰好でか。」

俺はただのホープ=ブックヤードだが、空は寒かったので家からマントを持参してきたのだ。

「ハルキ様ったら、変装セットも持ってくるの忘れたんですよ。でも、この恰好の方が私は似合ってると思うんですけどね。ねえ、お母さん。」

「セーラ、そういう問題ではないと思いますよ。」


 今日は冒険者ギルドがやけにうるさいなと思ったんだが、急にアイシクルランスの連中がテーブルを取り囲みだすとは思わなかった。ここはそういうサービスをしているのかな?

「ところで、ジギル=シルフィード領主がただの冒険者である俺になんの用だ?」

「それはこっちのセリフだ。貴公、今度は何をたくらんでいる?フラット領とは違ってシルフィード領で問題を起こすんじゃない。」

フラット領ならいいのかよ。2人でさんざんやらかしたのは確かだが。

「まだ何も起こしてないだろう。だいたい、俺は冒険者ホープ=ブックヤードだ。」

「フラン殿に睨まれる俺の身にもなってみろ。寿命が縮まるかと思うんだぞ。」

たしかに爺の眼力はすごい時があるが。

「おい、ロラン。とりあえずレイクサイド領に連絡をいれて引き取ってもらえ。アイシクルランスから10人ほど護衛をつけておけ。フェンリルやワイバーンで逃げられんように気をつけろ。」

「あ!貴様!裏切る気か!?」

そんな事をしたらウォルター辺りが速攻で捕獲しに来てしまうではないか。

「ふん、うちの領地に来たのが失敗だったな。スカイウォーカー領あたりで大人しくしておけばよかったのだ。はははっ。」

ぐぬう。


「では、お迎えがくるまで自由行動ですな。私が護衛につきましょう。」

「おお、お義父さんが付いてくれるのですか?」

「せっかく嫁に行った娘が帰省中なのです。職権乱用させてもらいますよ。これでもそこそこ偉いんです。」

 ロラン=ファブニールはマジシャンオブアイスの称号を持つアイシクルランス騎士団長でセーラの父親だ。冒険者ギルド長のニア=チャイルドの元の旦那さんでもある。事情があって別れているが、仲は睦まじい。

「じゃあ、とりあえずクラブハウスサンドを食べにいきましょうか。クレイジーシープの肉は今回は諦めましょう。」

アイシクルランスを10人ほどぞろぞろと引き連れてクラブハウスサンド屋へと行く。周囲が騒ぎまくっているがそんな事は気にしない。せっかくなのでアイシクルランスの皆にもクラブハウスサンドを奢ってあげる事にした。セーラももともとアイシクルランス所属であったために、ほとんど身内のようなものだ。

「ハルキ様、セーラはもともと食にはうるさい子でしてな。」

「ええ、今でもよく食べ物で買収されてます。」

「そんな事ないですよ!」

「はは、おそらくそうだろうと思います。」

楽しいひと時だが、どうせウォルターの事だ。ワイバーン小隊があと2時間もあれば到着するに違いない。せめて数日は逃避行を楽しみたかったんだが・・・。



「ハルキ=レイクサイドだな。」

昼食中の俺たちの前に黒ローブの3人組がやってきた。黒ローブとはどこかで見たことがあるがどこだったっけか。

「我々の主がお前に会いたがっている。同行願えないか?」

するとロランがずいと前に出る。他のアイシクルランスの連中も臨戦態勢だ。

「行かせるわけがなかろう。我らをアイシクルランスと知ってのことか?」

ああ、マジシャンオブアイス怖え。本気のお義父さんを始めてみる。

「手荒な事はしたくない。大人しくついてきてくれると助かるのだが。」

こいつマジシャンオブアイスに勝てるつもりなのだろうか?

「断る。あまり舐めてくれるなよ。」


「あー、もうめんどくせえ。」

その時後ろから一人の男が現れた。持っているのはウォルターと同じような刀で、防具はつけておらず、見た感じ日本でいう所の着物のようなものを着ている。頭はニット帽のような帽子だ。髪は黒。目も黒。肌がやや褐色であり、こちらの世界では意外と珍しい。

「ま!魔王様!なんで出てくるんですか!?」

「魔王だと!?」

「あ!しまったぁ!!」

「おいおい、いきなりばらすなよ。しかもこんな街中で。」

魔王・・・。こいつ頭大丈夫だろうか。あまり関わりたくない。

「俺の名はテツヤ=ヒノモト。ハルキ=レイクサイドにちょっと聞きたいことがあるだけだ。うちの国はヴァレンタインと敵対関係にはない。お前らと戦う気はない。」

そいつはだるそうにそう言った。





「爆ぜろ!」

広範囲爆発系魔法が俺の周囲で展開される。ワイバーンに乗ってなんとか逃れたが範囲が広すぎるじゃないか。余波だけでもかなり熱い。誰だ、戦う気がないなんて言ったやつは!?

「なんて奴だ!黒騎士召喚!」

黒騎士は最近眷属になったばかりだが、コストが低めでアークエンジェル級の戦闘力を持っている。空が飛べないのが難点だ。

「うおらぁぁぁ!!!」

5体召喚した黒騎士が、テツヤによって斬られ強制送還される。

「くっ、やはり魔王なだけはあるか。出し惜しみしている場合じゃなさそうだ。」

ぐびっと改良型MP回復ポーション、通称「青い汁」をあおり、叫ぶ。

「コキュートス!」

現れた氷の大巨人が巨大な氷塊をテツヤに叩きつける。

「ぐあああ!!」

しかし、防具もないのに氷塊を受け止めるテツヤ。なんて体をしてるんだ。

「うおら!」

そして氷塊を切断した。しかし、その隙をついてコキュートスがテツヤを殴りつける。巨大な右手がテツヤの体を吹き飛ばすが、その際にコキュートスの右手も切断されてしまった。

「めちゃくちゃな奴だ。あの刀はなんでも切れるのか?」

「おらおら!!」

コキュートスが氷塊を繰り出し、それをテツヤが斬っていく。たまに残った左手で地面にめり込まされいるが、まだ倒れない。

「くらえぇ!」

コキュートスが胴体ごと斬られてしまった。強制送還される。

「まるでチートだな。」

すでにMPは再度回復済みだ。

テツヤがこっちに斬りかかってくるが、ワイバーンで回避する。

「ちぃぃ!」

テツヤに苛立ちの表情が見える、体はふらふらしており、コキュートスが与えたダメージはかなりのものだ。もう、一息で倒れるのではないか?

「その刀はなんでも切れるみたいだな。だが!当たらなければどうという事はない。」

「てめえは3倍速い人か!?」

「これで最後だ!」

大量のノーム召喚にアイアンドロイドを組み合わせる。爺に効果的なやつだ。しかし、テツヤはその怪力で束縛を逃れようとする。

「こんなもので俺が押さえられるかぁ!!」

しかし、これは誘導だ。数秒動きをおさえられたテツヤはその間に召喚されていたレッドドラゴンのファイアブレスをもろに浴び、さらにしっぽで地面にたたきつけられた。

「がはぁ!!」

ついに、テツヤは動けなくなった。俺の勝ちだ。

「・・・これが、俺とハルキの差か・・・・。」



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