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4-2 イツモノヨウニ

「というわけで、私はただのハルキだ。」

年が改まって、ここはレイクサイド領第2の町であるカワベだ。スカイウォーカー領との流通のためにハルキ=レイクサイドによって作られた宿場がこの数年でレイクサイドきっての都市へと成長していた。レイクサイド領で作られる大量の作物がここカワベに一旦集められて、スカイウォーカー領へと流れる。全国各地から多くの商人がこぞって食料の買い付けに来ており、レイクサイド領主館から引かれた石畳の道路がそのままカワベの町の中心を通って、無理やりスカイウォーカーの町まで続いている。道幅は馬車が4台はすれ違えるほど。町の周囲には歩道まで設置してある手の入れようだ。大型の倉庫街だけでなく、さまざまな人に対応できるように商店街や宿場、娯楽施設まで完備してある。

「ギルドランクはA、さあ、依頼は何があるかな?」

冒険者ギルドはハルキ=レイクサイドの命令(いつの間にか届いた手紙)でフィリップ=オーケストラが代行し、王都ヴァレンタインにも勝るとも劣らない大きな建物が出来上がっている。命令の内容は「シルフィード領のギルドより大きく」だったらしい。

「ちょっと、ハルキ様。これはいくら何でも・・・。」

「どうしたセーラさん。依頼達成に自信がないならBランクに下げようか?」

「いえ、このメンバーならSランクでも大丈夫ですよ。」

俺の冒険者メンバーを紹介しよう。まず、冒険者ただのハルキ、ランクはA。冒険者、謎の美女セーラ、ランクはB。鬼のフラン、ランクはS。聖母ヒルダ、ランクは特別にBを提供してもらった。どっかの騎士団副団長シルキット、ランクはF。

「シルキットさんにも高めのランクをあげてくださいよ。これじゃ一人だけ依頼について来られないじゃないですか。」

「むう、セーラさんがそう言うのならば今度ギルド長にお願いしておきましょう。」

「そうではなくて、ハルキ様。今、まったくお忍びになってませんよね?」

冒険者ハルキの装備はフルミスリル(兜なし)にレイクサイドのマント、ミスリルランス、あとパイロットゴーグルだ。ドワーフが綺麗なガラスを作成できるようになり、ワイバーン部隊には必須のものとなっている。今は召喚はしていない。そして騎士団から鬼のフラン、召喚騎士団第4部隊部隊長ヒルダをはじめとしてシルキットまで正式装備。さらにセーラさんにもドワーフ特性ミスリル装備一式とレイクサイドのマントをプレセントしてみた。

「さあ、受付嬢よ、このメンバーでできる範囲で構わないから依頼を見つくろってほしい。」

「ギ、ギルド長を呼んでまいります!!」


騒然とするギルド館の中でギルド長を待つ。中にはおなじみのハルキコールをしてくる冒険者たちまでいて、非常にうっとうしい。

「では、じい。依頼の受理とシルキットのランクの融通のお願いは任せた。こいつの実力は俺やじいが相手の場合は瞬殺されるとでも伝えておけ。」

「はい、かしこまりました。」

「レイクサイド騎士団副団長を捕まえて何言ってるんですか。」

「ですが、事実ですわ。」

「ヒルダさんまで・・・。」

「いいんですセーラ様。私はこんな扱いに慣れていますので。」

「シルキットさん・・・。」


「さてセーラさん、じいが手続きをしている間に町でも見て回らないか?ヒルダ達も何か用事があれば優先していいぞ。護衛は召喚するから気にするな。」

「はい、ありがとうございます。では昼食まで自由行動ということで。」

「うむ、あそこのレストランがうまそうだ。じい、手続き終わったら予約しておいてくれ。」

「かしこまりました。」

セーラさんを連れてギルド館を出る。護衛に召喚したのはアイアンドロイド2体とフェンリル1号だ。

「セ―ラさん、ここはフィリップたちが作った町なんだ。」

行く先々で人だかりができる。

「なんか沢山の人に見られてて落ち着きませんね。」

「うん、そうだね。まあそのうち慣れるよ。」

服や装飾品の店を回り。ちょっとしたものをセーラさんにプレゼントしていると昼食の時間となった。



「めぼしい依頼で坊ちゃまのレベルに合わせますと、Sランクの「グレードデビルブルの討伐」、「はぐれサイクロプスの討伐」、「怪鳥ロックの捕獲」といったところでしょうか。」

「では、午後から近い所から順に回って行こう。」

「移動にかなりの時間がかかりそうですね。」

ワイバーンを召喚できるのは俺とヒルダでそれぞれ2人までしか乗れない。

「まあ、シルキットが留守番でも構わないと言えば構わないんだけど。」

「ハルキ様、何をにやにやしてるんですか?」

「実はねセーラさん、この前やっと素材が集まって新しい眷族が増えたんだ。」

「まあ、移動に使えるんですか?」

「うん、5人乗りできる。あとで見せてあげるよ。」

「それは楽しみです。」


 昼食後、少し休憩を取ると出発の時間となった。まずはレイクサイド領北部のグレードデビルブルからだ。町の広場に集合する。全員にパイロットゴーグルを装着してもらって、5人用の鞍をフランが持ってくる。

「5人用ともなるとかなりでかいね。」

「こんなのをつけることのできる大きさっていうとゴーレム系ですか?」

「いや、違うよ。来い!ウインドドラゴン!」

細身であるがレッドドラゴンよりもさらに巨大な竜が現れる。5人乗りの鞍を装着し、全員乗り込んでもびくともしない。ワイバーンの飛行速度をはるかに上回る風竜であれば、大陸の反対にあるエルライト領ですら、その日の間に着くことができる。

「ゴーグル重要だから!壊れたら予備もあるし!後、飛行中は声全く聞こえないから逆に耳当てしててね!」

俺はウインドドラゴンと魔力を通して意思疎通できるが、他の皆は違う。爺と手信号の訓練はしてきたが、セーラさんやヒルダとも必要になるだろう。シルキットはいらない。

「では出発!!」

『承知』

文字通り風を切り、衝撃波が町を揺るがしながらウインドドラゴンは飛び立った。専用の空港作る必要がありそうだ。


 グレートデビルブルは意外にも見つかりにくい場所に生息していた。魔力の少なくなっていた俺は上空待機し、他の4名が降りて捜索した。結局、ヒルダの召喚した大量のノームがあっという間に発見し、4人掛かりで戦うと危なげなく討伐することができた。素材を回収し、シルキットがでかい荷物を背負う。

 次のはぐれサイクロプスと怪鳥ロックはあっけなかった。上空からでも目立ったためにそのままウインドドラゴンが強襲した。俺らを乗せたままだったので、必死に鞍にしがみついていただけで戦闘の詳細は分からなかったが、サイクロプスは瞬殺、怪鳥ロックは羽をやられ飛ぶことができなくなった。シートベルトを作ってて良かった。そのままどちらもウインドドラゴンがむんずっと足でつかんで近くの集落まで輸送し、素材の解体およびロックの拘束をして任務は終わった。帰る頃には夕暮れであったが、任務終了を告げた時のギルド長の顔は笑ってしまうほど変な顔だった。


「私、ほとんど何もしてません。」

セーラさんが困り顔だ。そんなことない。君がいるから俺は頑張れる。

「それを言うと、ほとんど坊ちゃまのウインドドラゴンがやってしまいましたからね。他の皆も同じような物ですよ。」

「じゃ、じゃあ明日からは輸送隊長ハルキに転職するね。」

「ハルキさま、気にしなくてもよろしいんですよ。ハルキさまがここまでの召喚ができるというのはレイクサイド領民の誇りなんですから。もっとどしどしやってしまえばよろしいんです。ねえ、あなた?」

「もちろんです。我々レイクサイド騎士団がどこに言っても一目置かれるようになったのはハルキ様のおかげですから。」

「そ、そう?」

しかし、数日間ギルドの依頼をこなしているとSランクはおろか、Aランクの依頼も無くなってしまった。



「じい。」

「なんでございましょうか。」

「この町は平和になりすぎた。もう魔物がいない。つまり素材がない。」

「そうですね。」

「と、いうわけで次の町に行こうと思う。あ、これ今の召喚騎士団に対する指令書ね。農業と土木に召喚を回すのも結構だけど、戦闘訓練も必要だから騎士団と4人1組でレイクサイド各地の冒険者ギルドに顔を出してこいというのと、ワイバーン輸送隊をもっと増やせるように頑張って。ウォルターの対人戦闘特化部隊はまだ他の領地にばれないように、あとは教育機関の設立は急いでね。最低でも数年後には貴族院と同レベルの施設にするには・・・。」

「坊ちゃま、もしかして・・・。」

「という事で後は頼んだ!イツモノヨウニ!ノーム!こいつらを拘束せよ!セーラさん!行こう!」

大量のノームで爺とヒルダとシルキットを拘束する。が、爺の周囲であっという間にノームがすべて切り伏せられる。

「坊ちゃま!爺を甘く見ましたな!前回やられてからどれだけ修行を・・・なにぃ!?」

「爺ならそろそろノームだけじゃ効かんと思っていたよ!」

ノームの死角に召喚した3体のアイアンドロイドが関節を決める。俺の召喚したアイアンドロイドは宝剣ペンドラゴンでも切断できない強度を誇る。その間に再度召喚したノームで固め直して終了だ。

「坊ちゃまぁぁぁ~!」


ウインドドラゴンである程度の距離を飛行した後、スピードを緩めてやや低空飛行をしてもらう。これなら会話をすることが可能だ。

「セーラさん、セーラさん。」

「もう、なんですか?ハルキ様。前もって言ってくれてなかったからびっくりしちゃったじゃないですか。」

「ごめんよ、でもセーラさん顔に出るから。」

「そんなことないですよ!」

空のデートというやつですな。なんて贅沢な。幸せすぎる。

「それでね、今回こうやってわざわざ二人きりになったのは、」

こちらを向いてくるセーラさんは真剣な目でこっちを見てくる。

「セーラさんがこれから何をしたいのか聞いておきたかったんだ。」

「何をしたいか?ですか?」

「そう。今、俺のせいでセーラさんはやりたい事が出来ないんじゃないかと思って。」

「私の、やりたい事。」

「セーラさんはロラン殿にあこがれてアイシクルランスに入隊したんでしょ?それなのに俺のせいでレイクサイドまでわざわざ来ることになって、しかも騎士団の仕事というよりは俺の子守りばかりで・・・。」

「子守りですか。たしかにそうですね。」

「うぐっ、そうでしょ。でも本当はやりたい事や嫌な事があるんじゃないかと。」

そういうとセーラさんは後ろからぎゅっとしてくれた。

「私が今、辛そうに見えますか?」

「・・・分かんない。こういうのは自信がなくて。でも宿場でも目立つのは嫌いだったみたいだし・・・。」

「今はハルキ様の子守りが楽しいですよ。」

「ほんと!?」

「ええ、でもやりたい事っていうのが正直まだ分かりません。ですので、ハルキ様。」

「はい。」

「一緒に探してくれますか?私の旦那様?」

やばい、まじで女神。

「ままま、まかせっせせてよ!!」

「じゃあ、とりあえず、せっかく二人きりになりましたし、新婚旅行として誰も来れないような場所で静かに冒険者やりますか。」

「そうだね!行け!ウインドドラゴン!」

「あぁ!速過ぎ!」


ちなみにだが、新年の結婚式ではアイシクルランスをコキュートス召喚で蹴散らして伝説を創ったのは言うまでもない。



ハルキ=レイクサイド 19歳 男性

Lv 92

HP 1180/1180   MP 3720/3720

破壊 2  回復 1  補助 12  召喚 208  幻惑 3  特殊 0

スキル:逃避行・改

眷属:ノーム(召喚3維持1)

ウィンディーネ(召喚100維持10)

サラマンダー(召喚100、維持10)

ファイアドレイク(召喚200、維持15)

アイアンドロイド(召喚150、維持15)

フェンリル(召喚300、維持15)

アークエンジェル(召喚700、維持40)

クレイゴーレム(召喚1000、維持50)

アイアンゴーレム(召喚1200、維持60)

ワイバーン(召喚800、維持30)

レッドドラゴン(召喚2000、維持100)

ウィンドドラゴン(召喚1900、維持120)

コキュートス(召喚2500、維持150)


セーラ=レイクサイド 19歳 女性

Lv 48

HP 1770/1770   MP 1020/1020

破壊 53  回復 49  補助 54  召喚 1  幻惑 21  特殊 2

スキル:氷の加護

眷属:ノーム(召喚3維持2)


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