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1-4 誘爆のユーナ

 ヘテロッス。現在我がレイクサイド召喚騎士団第5部隊はフラット領の道路工事に勤しんでるッス。とにかく人が足りないッスよ。うちは高速移動特化型だったためにあんまりクレイゴーレムと契約してる隊員がいないッスからね。なんでうちがこんなに頑張ってるのにフラット領の連中は人出増やして手伝わないッスか?ちょっと文句の一つもいいたくなるッス。

 フィリップ様に融通してもらって、クレイゴーレムの契約素材は準備したッスけど、なかなか慣れてないことは難しいッス。こういうのはフィリップ様の第1部隊がめっちゃすごいッスよ。あっという間に道路も砦も作っちゃうんスから。ハルキ様の戦略において、もっとも重要な「勝つべくして勝つ」状況を作るにおいて、こういう土木工事の重要性は嫌って程理解してるッスけど、適材適所ってのもあるッス。まあ、有事の際には俺らは土木作業よりも偵察任務とかに割り当ててもらえるんスけどね。やっぱり俺らはピューっと行って、バーッとやって、ギャーみたいなのが合ってるッス。

 そんな第5部隊にも今日は新人さんが加わったッス。紹介するッスよ。レイラさんでッス!


 って、えええぇ!!??


「よ、よろしくお願いしますわ。」

「なんでッスか?レイラは第4部隊のしかもテト班の副長ッスよね?なんで新人扱いッスか?」

「こ、こちらを。」

レイラは手紙を渡してきたッス。手紙なんて羊皮紙に書かなきゃなんないから貴族のやり取りでもなければ読むことなんであまりないッス。自分宛ッスか?


「なんッスかね?送り主が書いてないッス。」

失礼な奴ッスね。礼儀ってもんを知ってないッス。

『ヘテロへ。俺が誰か分かるだろうと信じてる。というか、分からなかったら許さん。』

あ、行方不明中のハルキ様ッス。しかもだいぶ機嫌が悪いッス。レイラ達と一緒にいたんスね。

『この手紙を持参しているレイラ一兵卒はすでに第4部隊テト班副長ではない。本日付で第5部隊に押し付ける。任務内容は総魔力の増加だ。この腑抜けのMPを2倍になるまで上げろ。つまり、昼夜を問わずこき使え。クレイゴーレムの召喚契約もさせろ。素材が必要ならフィリップに伝えろ。後日、青い汁をテトにもっていかせる。レドン草の群生地帯は分かっているし、ウインドドラゴンの上で調合させるからお前らも使いたかったら使え。期限は1か月だ。できなかった場合は分かるだろうな。 追伸 俺はもう1匹の無能を地獄に落とすのに忙しい。』

ぎゃー!!やばいッス!ハルキ様激オコッス!

「レイラ!何したんスか!?それにもう1匹の無能って、ハルキ様超怒ってるッス!」

「・・・ああ、それはリオンの事ですわね。」

「こんなハルキ様ひさしぶりッス!セーラ様とロージー様拉致疑惑事件以来ッス!」

「ちょっと、それは喋ると大変な事になりますので、秘密ですわ。」

「ああ、ハルキ様の潜伏先がばれるッスね。じゃあ、ほとぼりが冷めたら言うッスよ。」

「はい、わかりました。」

こんな元気のないレイラは初めて見たッス。何があったんスか!?

「それじゃ、今日からここで土木工事の手伝いッス。召喚レベル70になるまではノーム召喚担当ッスから・・・ちょうど良かった。ユーナの班が人が足りてなかったッス。」

「げっ!」

「ユーナなら一緒に旅をしたこともあるし大丈夫ッスね。あと、MP尽きてもあの不味い青汁飲んで続けさせろって書いてあるッスから、頑張るッスよ!じゃ、俺も忙しいんで行くッスね!」

「あっ、ちょっと・・・。」

仲がいいユーナと一緒なら修行もなんとかなるッス!がんばるッスよ!



 私はユーナ。レイクサイド召喚騎士団第5部隊所属です!今日はほんとに面白い事が起こってます!なんというか、もう、・・・ふふふ・・・お腹いたいー!きゃはは!

「ユーナ、そんなに笑わなくても・・・。」

「きゃはは!いや、ちょっと!・・・はぁはぁ、あ!新人さん!私はこの班の班長ですから!ユーナ班長と呼んでくださ・・・ははは!お腹痛い!ははははは!」

「・・・むう。」

そうです!なんとレイラが私の部下になりました。なんでもハルキ様のご不興を被ったとかなんとか、何をやらかしたんでしょうか?今度奥方様に詳しく聞いてみましょう。どうせハルキ様は奥方様には全部しゃべっちゃいますからね!

「はー、はー。お腹痛い。・・・さて、今日はいい事あったし頑張りましょうか。で、レイラは何をしちゃったんですか?」

一応、聞いてみます!どうせ口止めされてるでしょうが。

「詳しく言うのは止められてますので。ですが、言える範囲だったら・・・何と言うか、規律の乱れですわね。」

「規律の乱れ?」

「私がテト隊長をテトちゃんと呼んでいたのとかですわ。」

「えっ?私もテトって呼び捨てだったけど・・・。」

「あなたも危ないですわね・・・。」

「・・・。」

まずいです!テトと旅をしていた時にさんざんやらかしてますから!さすがに部隊長をいじり倒すなんて機会もそうそうなかったし、テトもいじられキャラだったですし!


「いたいたー、レイラ。お届け物だよ!」

言ってるそばからテト!いや、テト隊長!なんでここに!

「はい、MP回復ポーション。「奈落」経由でフラット領まで来るとさすがに時間かかるね。」

「テト隊長。私直線距離で先ほど着いたのですが・・・。」

「ウインドドラゴンの上で調合しろとかハルキ様も無茶ぶりだよ。風強いのなんのって。」

「ハルキ様の所在がばれるような言動は慎んだほうが良いですよ。」

「あっ!そうだね!今のなし!」

テト隊長はハルキ様と一緒にいたようです!隊長は!

「お久しぶりです!テト隊長!任務ご苦労様です!」

「えっ?ユーナ、なんでそんな言葉づかいなの?」

「いえ!任務中ですので規律はきちんと守るべきでござる!」

「・・・ござるって。レイラの話聞いたんだね。」

なんか変な言い方になっちゃったよ!

「あ、これユーナも一緒にレイラの特訓に付き合わせてやってくれって、ヘテロが。」

その手にはレイラに渡したのと同じ大量の青い汁が!!

「MP2倍増量計画頑張ってね!」

私も!!??


 テト隊長は急いで帰っていった。早く帰らないと機嫌の悪いハルキ様がリオンに何をやらかすか分かったものじゃないという・・・。リオン、あなたも何をしでかしたの?

「さあ、ノーム召喚数を2倍に増やすッスよ!青汁もらえたッスね!?」

ヘテロ様!本当に!私もとばっちり!?


 数週間後、私とレイラはMPを2倍に増やすことになんとか成功し、クレイゴーレムとアイアンゴーレムの召喚契約を行う事もできた。めっちゃしんどかったけど、こんな事で魔力がめっちゃ上がるなんて思ってもみなかった。後日、レイクサイド領に帰った私は奥方様に事の真相を聞くことができた。



 領主をパシリって・・・そりゃ左遷されるよ。猿のUNKはご愁傷さまでした。


「ごくろうさま」は本来は目上の人に使う言葉ではないですが、あえてユーナの語彙力の少なさを表現してます。念のため。

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