召喚士されし者 93・武神潰し
どうも、どうも。
俺より強い奴に会いに来た、えんたです。
いつも読んで下さる皆様ありがとうございます!
所で、毎回関係無いことばっかり書いてる前書きですが、前書きって何を書けば良いんですかね。今更ですが、正しい前書きを誰か教えて。
今回もロイドさん視点でお送りいたします。冒頭にちこっとナレーションみたいなもんが入りますが。
では。
それは[剛破拳ハープーン・ジ・エヴァン]と言う、キリシマ拳刀術における五大奥義の一つであった。
奥義の内の一つ[神速拳ハープーン・ジ・オルバァ]と違い、速さや鋭さが無い代わりに一発の破壊力がある一撃必殺を絵に描いたような技だ。ただ、その反面非常に扱いにくい技であり、その扱いにくさは奥義中一とも言われている。
奥義の極意は、集束と発。
神速拳と違い、集束した魔力を発する際に指向性を持たせる事を一切合切廃し、その余剰分の集中力を集束し圧縮する事に掛ける。そして、極限まで溜めた魔力をただ発する、言わば爆弾のような物を直接叩きつける、攻撃力だけを考えた技になるのがこの奥義である。
現当主[豪鬼]フューズベルト・マクランにして、実践での使用は数える程度と言われており、この技を知る者は非常に少ない。
そして、その技を知り尚且つ扱える数少ない内の一人にシェイリアの名前があった。
フューズベルトとしても、知識として与えただけであり、実践にて使用するとは露ほどにも思いもしない事だろう。
それほどまでに、この技は不安定であり、厄介な技なのだ。
だが、それを承知していたとしても、シェイリアはこれを放たなくてならない程に追い詰められていた。
一発逆転という都合のいい物に頼らざる得ない程、逼迫していた。
一見すれば同等に打ち合っているかのように見えているのだが、実際はかなり押されていた。
レイベウロスとシェイリアの被弾率はほぼ同程度であったが、一発一発の威力は明らかにシェイリアの方が劣っていたのだ。闘いが長引けば長引く程、その差はより顕著に現れる事になるだろう。
なんの策もなしにこの打ち合いを続ければ、敗北するのは間違いなく自分達である。
だからこそ、シェイリアは賭けた。
全力で攻撃を出来るのが、これで最後である事を承知しながら、その一撃に賭けた。
そしてその賭けの天秤はシェイリアに傾いた。
◇━◇
「ハープーン・ジ・エヴァンっ!!!」
怒号と共に放たれたそれは、目も覚めるような巨大な爆発と、地面を震わせる轟音と共にレイベウロスの体を容易く吹き飛ばした。
シェイリアの持ち得る技の中で、恐らく最大威力を誇るそれが、これ以上無い程にレイベウロスの芯を打ち抜いた。
砂埃を上げながら地面をすべっていくレイベウロス。だが、シェイリアはそれを傍観する素振りは欠片も無く、直ぐ様飛び出していった。
ご丁寧に拳に魔力を練り上げてだ。
「はぁぁっ!!」
ふらふらとしながらも起き上がったレイベウロスに、怒声と共に放たれたシェイリアの追の拳が顔面を捉える。
血飛沫が飛び散り、顔が跳ね上がる。
だが、寒気が治まらない。これでは終わらないと雰囲気が辺りに充満する。
俺は新たに取り出した魔道具を構え、叫ぶ。
「シェイリア、ステップ!」
俺の呼び掛けに、シェイリアが俺の射線から避けるように軽く跳ねる。
「十分だ!」
小型の弓形状の魔道具から放たれたソレは、反れる事なくレイベウロスを貫く。頭か、心臓でも貫いてくれれば幸いだったが、そうは上手くいかなかった。
矢が貫いたのは腕であった。
弓から放たれたソレは魔力で作られた矢であるが物理的なダメージは望めない。変わりに、刺さった部分に継続的な痺れを与える、化物相手でなければ有効な効果を持つ行動阻害を目的に作られた魔道具だ。
シェイリアは俺の攻撃が当たったのを確認すると再び攻撃する為に、接近しようと前屈みになり━━━━止まった。
殺気が発せられたのだ。
距離をとっている俺でさえ、死んだと錯覚するほどの。
一瞬呆気にとられた俺とシェイリアを余所に、レイベウロスは大きく息を吸い込み、━━━━吼えた。
すると、全身の筋肉を極限まで膨張し、体を縛っていた筈の硬化した接着剤が音を立てて割れていった。
そして、枷を外し自由になったレイベウロスは、痺れている筈の腕を振り上げ、思いきり地面を殴りつけたのだ。
地震でも起きたのかと思う衝撃が足に走っていく。
「━━━っ!?て、おい、まさか?!」
地面から引き抜いた腕を、レイベウロスは何度も拳を握ったり緩めたりしている。
どうやら、今の地面を殴ったショックを利用して、痺れを無理矢理治したようだ。
「ふざっけんなよ!!」
迷っている時間は無い。
まだ、レイベウロスは完全に体を動かせない筈だ。シェイリアの一撃は確実に当たっているだから。
ならば、畳み込むのはここなのだ。
ポーチから取り出した油瓶を取り出し、口に詰めた布に火を点ける。後は投げつけるだけの、簡単な投擲武器だ。
油瓶は放物線を描きながらレイベウロスの頭上に迫った。
だが、あっさりと首をふるだけで避けられてしまう。
つくづく強者である事に歯噛みしてしまうが、これで良い。
「都合良く当たって貰っても、困るしな!!」
地面に着弾した油瓶は黒煙を吐きながら燃える。
あたり一面を煤まみれにしそうや勢いで、景気良く炎をあげる。
「ぐぅ!?」
レイベウロスの苦しそうな声が聞こえてきた。
そのまま窒息でもしてくれれば良いが、そうは成らないだろう。
何故ならそれは━━━━
「がぁぁぁっ!!」
英雄と言う者、なのだから。
煙を抜けてきたレイベウロスは真っ直ぐに俺に迫ってきた。
流石に鬱陶しくなってきたのかもしれない。
先に潰すつもりだろう。
だが、俺に目を奪われるなんざ、あっちゃいけねぇよ。
弱いんだから、俺は。
放って置いても、簡単に死んじまう、弱者なんだからよ。
ガン!
と、シェイリアの蹴りがレイベウロスを捉える。
横合いから隙だらけの腹部に深く突き刺さり、間近に見えたレイベウロスの表情が、歪む。
吹き飛ぶレイベウロスを横目に、俺はシェイリアに向けピンを引き抜いた銀の短管筒を投げ渡す。
一見すると然程ダメージが無いように見えるシェイリアだが、打ち合っていたのだ、無傷である筈が無い。
短管筒を受け取ったシェイリアの体が光る。
体の所々に光が見えるあたり、修復する傷があった事は間違い無いようだ。
「息、切れそうです。」
「もうちっと頑張ってくれ。おちびからのダメージもある今。勝率が高い今の内に決めておきたいんだ。じゃねぇと・・・・・。」
犠牲無しには、勝てなくなる。
レイベウロスに視線を向ければ、多少ふらついているようだが余裕がありそうな表情が見える。
「さて、まだまだ元気そうだな。奴さんは。」
「ふーー。大丈夫です。行けます。」
「安心した。頼む。」
「言われずとも!!」
再び、シェイリアがレイベウロスに向かって駆ける。
俺はポーチから取って置きを取り出す。
スクロールと呼ばれる、魔方陣が描かれた羊皮紙だ。
スクロールは魔力を多少操れる者であれば、誰でも魔術を使えるようになる使い捨ての魔道具だ。
値段はピンきりで、高い物なら金貨数千枚。安い物なら銀貨一枚から購入できる、魔導師ギルドの運営に多大な貢献をしている功労物だ。
そして、今から使うこれは。
取って置きも取って置き。
赤の魔導師が捨てていった、宝物の一つだ。
「うっぱらったら、金貨数千枚!使いたくねぇーなぁー!!糞ったれ!!」
なけなしの魔力を注ぎ込めば、魔方陣が青い輝きを放ち始め、周囲の空気が重くなる。
「アイシ・ズア・スワロア!」
魔方陣から無数の氷鳥が飛び出した。
一体一体が冷気を纏い、空気を裂き進むその一群はまるで死神の行軍に思えた。
氷鳥はシェイリアを追い越し、レイベウロスに飛び掛かる。
一蹴。
懐に飛び込んだ氷鳥達を、レイベウロスはたった一振りの蹴りで払い落とした。
「だけどな、それは、さっき見てんだよ!!」
俺はシェイリアがレイベウロスの懐に飛び込むと同時に、シェイリアより背後に留め置いた氷鳥達を飛び込ませた。
シェイリアに気を取られたレイベウロスは全ての氷鳥に反応出来なかった。数体の氷鳥がレイベウロスの体を切り裂き、貫く。
だが、鮮血が撒き散らされる事は無かった。怪我を負った箇所は氷鳥達の冷気で凍ってしまったのだから。
一体が右足の間接付近を凍らせた事で、レイベウロスの動きは更に鈍くなる。
シェイリアはその隙を見逃さず、攻め立てる。
圧倒するように、それでいて慎重に。
押し勝てる。
ほんの僅かだが、俺は期待してしまった。
なんの策も考えて置かずに。
それは一瞬だった。
シェイリアが、飛んだ。
いや、飛ばされた。
「シェイリア!!!」
見えなかったが、恐らくレイベウロスの攻撃だ。
飛んでいくシェイリアの口から、赤い飛沫があがっていたのを見てそう思った。
だが、完全に押し込めていたのに、何故だ。
「━━━━━ぐっ!?」
直ぐに分かった。
レイベウロスの右足が、切り取られていたのだ。
動きを制限していた枷を、解き放ったのだ。
後も先も考えずに、今を戦う為にだけに。
「化物がぁっ!!」
普通するか?邪魔だからって、普通するか!?
足だぞ?!二本しかない、足だぞ!!!
そんな当たり前で、当然と思える普通が頭を駆け巡る。
だが、アレは普通じゃ無い。
やるんだよ。
勝つ為に、生き残る為に、迷いなんて一瞬もなく、躊躇いもなく。
だから、化物なんだ。
だから、英雄など呼ばれるのだ。
忘れていた訳では無い。
だが、それでも油断していた。
都合の良い方に考えていた。
「糞ったれがぁ!!」
俺は飛び出した。
なんの考えもなく飛び出した。
もうこれは蛮行以外の何物でも無い。
これは、無謀な突撃だ。
だが、ここで見送る事は出来ない。
止まる事は出来ない。
漸く出来た仲間を友を、失う訳にはいかないのだから。
俺は、冒険者なのだから。
「そうだろ!ユーキっ!!!」
幸いな事にレイベウロスは直ぐに動かなかった。
いくら化物とは言え、体は人間。
片足を失った反動は決して小さくは無かったと言う事だ。
俺の足は更に加速する。
きっと、今まで生きてきて、一番速く走っている筈だ。
加速する世界の中、俺の頭の中はどんどん冷えていった。
レイベウロスに剣が届くまで時間を思い、レイベウロスの次の動きを考えて、シェイリアの怪我の具合を気にし、ユーキが馬鹿をやらかさないか心配した。
そして、幼い日の光景を思い出した。
憧れていた冒険者の旅立ち。
急に訪れた彼女の凶報。
村を飛び出した決意の日。
あ、これは━━━━。
レイベウロスが迫る中で見たそれは、走馬灯と呼ばれる物に良く似ている気がした。
ギィッン
跳ねた。
俺の首、の近くにあった肩当てが、へっしゃげて跳ねたのだ。
「あっっっっっっぶねぇ!!?!?」
頭を下げなければ。
咄嗟に体を傾けなければ。
走馬灯に気づけなければ。
俺の首はあの肩当てのように跳ねた筈だ。
レイベウロスの目にも止まらない手刀によって。
剣を振る事すら出来ずに通り過ぎた俺は、直ぐに切り返しレイベウロスを見る。
レイベウロスは既に俺を見ていた。
ぎらつく視線をそのままに、殺気を隠しもせずに。
不意打ちなど、欠片も考えてはいないかのように存在感をあらわにしていた。
まるで、掛かってこいと言わんばかりに。
「掛かっていけたら、苦労はしねぇんだよ!糞が!!」
それでも、俺は駆ける。
引けないのだ、まだ。
視界の端に映るシェイリアの姿は未だ地に伏したまま。
俺が注意を引かなければ、直ぐにレイベウロスは厄介なシェイリアを仕留めにいく。
だから。
「正々堂々、勝負しやがれ!糞野郎!!」
俺を見ろ、俺だけを見ろ。弱く、もがく、この俺を。
そして、願わくば━━━━
「ぐぅわっ!?」
なんの事は無い、スクロールを発動したのだ。
隠し持っていた、懐の取って置きを。
「油断してくれて、ありがとうな!!!」
威力は最弱。
攻撃魔術の中でも一二を争うほどに使い道に困る代物。
だが、これで十分だった。
人の目を潰すだけなら。
闇雲に放った拳をかわし、懐に潜り込む。
最初で最後の、俺のチャンスだ。
これで決めなければ、俺はこいつに殺される。
逃げる事も出来ずに、何も残せず。
だから、全てを賭ける。
ここで死んでしまっても、悔いが残らないように。
命を賭けて、全力を越えて、未来も捨て、ここに俺を賭ける。
「おおぉぉぉぉぉ!!!」
吼えながら放った上段の一撃は、レイベウロスの左肩から右脇腹に掛けてバッサリと切り裂いた。赤い飛沫は派手に飛び散るが、手に伝わる感触が傷の浅さを告げてくる。
直ぐ様持ち手を変え、返す刃で胴を一文字に斬り付ける。
だが、手に伝わる感触は先程とそう変わらない物であり、命に届くような物にはなりそうも無い。
再び剣を振ろうとするが、レイベウロスの豪腕がそれを阻む。
既に目を潰されているにも関わらず、レイベウロスの豪腕は俺の動きを読んでいるかのように振るわれる。今の所、一つとして当たる事は無いのだが、あまりに的確に放たれている攻撃に迂闊に踏み込む事をすら出来ない。
「ロイド!」
多々良を踏んでいた俺に、頼れる相棒の声が掛かる。
弾けるように視線を向ければ、シェイリアが両の拳に魔力を纏い駆けてくる姿が見えた。
視線を交わし、シェイリアが何を求めているのかを読みといた俺は、ポーチから破裂玉と呼ばれる道具を取り出した。
この破裂玉の効果は至って単純な物で、ある一定の衝撃を受けると甲高い音と共に破裂すると言う代物だ。
主に聴覚が優れた魔物に対する牽制や撹乱で使われる物だが、ほんの僅か、人の動きを止めるには十分過ぎる道具なのだ。
レイベウロスの足元に投げつけられた破裂玉は、その効果を遺憾無く発揮した。突然の耳をつんざくような音が、一瞬の隙を作り出す。
そして、僅かに怯んだレイベウロスに向けて、シェイリアと俺は、ほぼ同時に飛び込んだ。
シェイリアから放たれた二つの剛拳と、俺の渾身の一振りがレイベウロスの体に叩き込まれる。
くぐもった声と共にレイベウロスの体が九の字に折れ曲がる。
深々と突き刺さるシェイリアの拳と比べると、やはり俺の剣は威力にかけるのか深傷を与える事は出来ていないように見える。
無いよりはマシ程度なのだろうがこの際、関係は無い。こんな物で、少しでも注意を引けるならば、万々歳と言う物だ。
現状、レイベウロスを倒す決め手はシェイリアが握っている。攻撃させる隙を作れるならそれだけでいい。
「もう、一度ぉぉっ!!」
俺の言葉に合わせてシェイリアが腕を引き絞るが、それが放たれる事は無かった。苦し紛れに放たれたレイベウロスの拳がシェイリアに直撃し、弾き飛ばされてしまったからだ。
流石にそう何度も優先順位を間違える相手でも無いと思っていたが、ここで正しい対処をされるとは思わなかった。散々の挑発的な言葉や行動で積み上げたソレは、どうやらパァになったらしい。
ほんの少し前なら、間違い無く俺を狙ってきた筈だ。そう言う風に仕向けてきてのだから。
シェイリアを退けたレイベウロスは、俺の方へと顔を向けてきた。その顔にはっきりと喜びの色を滲ませながら、見えてない筈の潰れた目で睨みつけて。
「こいっ!!弱き者ぉっ!!!!俺を倒してみせろ!!」
そこまで分かってるなら、呼ぶんじゃねぇよ。
柄じゃねぇし、分不相応だ。
俺は、お前を倒せる程、化物にも英雄にも成れねぇ、凡人なんだよ。
だが、それでも━━━━
「上等だぁ、こらぁ!!!!」
やってやろう。
今だけは、そこにいってやろう。
レリーナのような冒険者に。
ユーキのような化物に。
アルベルトのような英雄に。
倒す為に、勝つ為に、生き残る為に。
「おおぉぉぉぉぉらぁぁぁぁ!!」
怒声と共に突き出した剣は、あまりに無様だった。
力が入り過ぎていたし、体の使い方も滅茶苦茶で、冒険者家業中で最低の突きだった。
けれど、最低でありながらも、放ったソレは最速で最強の突きだった。
レイベウロスから放たれた豪腕を、寸での所で薄皮一枚にかわしきり、懐に潜り込む。そして、全体重を掛けて、飛び込む勢いのまま剣を突き立てた。
ドッ、と言う音と共に、剣の柄を握る俺の掌に肉を貫く感触が伝わり、レイベウロスの胸から赤い鮮血が飛び散る。
吹き上がる鮮血が俺の服を赤く染めていく。
俺は未だ残る力を総動員してレイベウロスをそのまま地面に押し倒し、貫いた剣を地面に突き刺し体を固定した。
そして、それからどれ程の時が立ったのか。
気がつけば、俺は剣の柄を握ったままレイベウロスの体を全力で踏みつけていた。逃がすまいと、歯を食い縛りながら。
だが、その行為は既に不要である事を知る。
押さえ込んでいた筈のレイベウロスの体から、もう僅かな圧力も感じなくなっていたのだから。
改めてレイベウロスの体を見た。
闘い続けてきた男の体は、一目で分かる程にボロボロだった。
それはそうだ。男は闘い続けてきたのだから。
俺が知っているだけでも、災害級の強さを持つヤヨイと拳を交え、ロワと呼ばれる高位魔術を息をするかの如く行使する化物と凌ぎを削りあっていたのだ。
生き残っているだけでも異常だと言うのに、この男は平然と立ち続け、俺に策の全てを使わせ、シェイリアに極限の闘いを強いた。
間違い無く、この男はユーキ側の化物だ。
数え切れない傷痕が目に入り、ゆっくりと弱々しく動く胸に目がいく。視線は更に上へといき、ついには顔へと行き着く。
この後に及んでも、レイベウロスは絶え絶えな呼吸を繰り返しながらも、笑っていた。絶望感の欠片も見えない程に。
どうして、この男はここまで闘うのか?
どうして、この男は変わらない?
何がこの男を駆り立てる?
きっと俺には分からない。
俺と違いすぎるこの男の考えなんて、きっと一生理解出来ない。
だから、俺が今こいつに言える事はこれだけだろう。
「もう、眠れ。ここはあんたの居場所じゃねぇ。」
戦乱の中を生き抜き、時を越え尚も闘い続けてきた男に。
闘う事しか知らない英雄の残骸に。
俺は最大の敬意を持って、そう言葉を送った。
ユーキちゃんとユミスが駄弁るだけ
の
コーナー
ユーキ「」アミアミ アミアミ
ユミス「ふーふふ、ふーんふんふん」
ユーキ「」アミアミ アミアミ
ユミス「ふー!ふん、ふん!ふーーん!!」
ユミス「ふぅーーーん!!」
ユーキ「うっせえ」ポカン
ユミス「あたっ」
◇━◇
ユーキ「もう鼻歌じゃねぇんだよ。一人で大合唱だろ。いっそ歌えよ!うるせぇな、もう」プンプン
ユミス「うーー・・・。そんなに怒らなくても。だって暇なんだもん。シアと毛玉はランニング中だしさ」
ユーキ「ラーゴんとこにでも行けよ。構ってくれんだろ」ビシッ
ユミス「御者台はお尻痛くなるから、やだ」
ユーキ「お前は・・・・」カワイソー
◇━◇
ユミス「ユーキは何作ってるの?」
ユーキ「む?編みぐるみ」アミアミ
ユミス「編みぐるみ?人形?ひゅーひゅー、女の子してるぅー!」
ユーキ「うっせ」ポカン
ユミス「あたっ」
◇━◇
ユーキ「お前もやるか?一応女の子」アミアミ
ユミス「え?あたしが?はははっ!むりむり。あたし超不器用だもん、指つっちゃうよ!冗談きついよユーキは!もう!」
ユーキ「諦めんなよ。少しは女の子らしくとか、ねぇのかよ」アミアミ
ユミス「大丈夫、おっぱいあるし!」
ユーキ「お前の女の子の証って体だけか」アミアミ
ユミス「股に変な物もぶら下がってないし!」
ユーキ「そうだな。無かった。不思議だ」アミアミ
~~~
ラーゴ「ぶっ!?」ハナジブー
ロイド「あいつら・・・、なんて話してんだ。本当に女の子か。」
◇━◇
ユーキ「少しは女の子らしく、おしとやかにしとけ。御嬢様」アミアミ
ユミス「えー。でも、あたし当主になるし。武術家の当主がおしとやかって、なんか変じゃない?」
ユーキ「あー、そうかもな。でも、そんなの関係無しに、お前は変わらんだろうな。」アミアミ
ユミス「それは言えてるかもねー」
ユーキ「お前みたいな奴、誰が嫁にとるだろうな」アミアミ
ユミス「ははは、さぁね。でも後継ぎ作らないとだし、きっと父上が決めた相手とじゃないかな?」
ユーキ「おぉ。やっぱり、家長が決めんのか」アミアミ
ユミス「別に?恋愛結婚もしていいとは思うけど、相手がいないしね」
ユーキ「いないのか・・・。それは、残念だったな」アミアミ ラーゴオ‥‥
ユミス「ねぇー♪」
~~~
ラーゴ「・・・・・」ずーん
ロイド「・・・まぁ、なんだ。いい天気だな、うん」
◇━◇
ルゥ「許嫁ですか?いましたよ!私にも!一応貴族だもんで!!」
ユーキ「それで?」
ルゥ「・・・・いえ。もう、あれですけど。」
ユーキ「フラれたのか」




