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召喚士されし者 88・山道の死神

 エルキスタ北部に広がる山岳地帯。通称[ドルワード山脈]。

 アスラ国内でも有名な鉱山地帯であり、国により特別警戒区域の指定を承けた危険地帯でもある場所だ。


 その土地に生息する魔物の危険度は最低でもDランク相当。未確認の情報を是とすれば最高Aランク、災害級の化物が生息する危険地帯だ。Dランク相当の魔物でさえ、それなりに経験を積んだ戦士が複数人いなければ歯が立たない存在であり、それが群れを成して生息するここは、さながら現世における魔境なのであろう。


 稀少金属の推定埋蔵鉱量数百万トンと噂されながら、特別警戒区域などと国に定められ、今だ人の手が入っていないのにはそれなりの訳があるのだ。


 その魔境に今、一つの影が空をきって進んでいる。

 アスラ建国以来、長きに渡り人々に恐れられた魔物達を歯牙にもかけず、ただ真っ直ぐに突き進んでいく影が一つある。


 漆黒のそれは、雲の隙間から覗いた月明かりに照らされ、赤い輝きを放った。


 月明かりに照らされたそれは赤い長髪を風に揺らし、青銀の瞳で真っ直ぐ前を見詰めた、白を纏う一人の少女だった。少女は銀羽をはためかせる青い魔物に股がっていた。沈んだ赤目をギラギラ光らせる、青い蟲の魔物だ。


 その青い甲殻に身を包んだ銀羽の魔物を従え、少女は魔物を蹴散らし進んでいく。

 夥しい魔物達の群れを、息をするように、叩き、潰し、切り、千切っていく。


 魔物達の目に、それはどう映っただろうか。

 血霧を斬り裂き進む幽鬼か、同胞を喰らう悪魔か。

 どちらにせよ、主の命に従わされて逃げる事が許されない彼等にとって、それは死を告げにきた死神であった事は間違いないだろう。



 ◇━◇



「シヤォォォッ、ギワァン!!?」


 ぶぅん、と撫でるように振るったソレは、四足で猛る魔物を軽々と肉片へと変えた。一匹二匹では無い。何十もの魔物達が、ロワの持つ王笏の一振りで現れる漆黒の光線により、見るも無惨な程バラバラになっていく。



 はて、これで何体目なのだろうか?

 そんな些細な疑問が頭に浮かび、チラッと自分の後ろを確認してみる。


「うわぁ。」


 数えるだけ無駄、と言える程の魔物の死体がそこにあった。

 俺の通った後は、赤い絨毯が敷かれているかのように真っ赤に染まっていた。大変グロいブラッドロードだ。見るんじゃなかった。



 列を成し山々を駆ける魔物達を正面から蹴散らしながら早10分。俺はただひたすらに山間を進んでいた。別に魔物を蹴散らしに来た分けでは無い。これはあくまでついでだ。


 俺の目的は、この騒ぎを引き起こした元凶の排除と、魔術(オラトリオ)を展開している術者の退治と、俺の魔力をくすねたアホのお仕置きだ。

 ロイドと俺の予想では高確率で全部アルベルトじゃね?って思っていたりするが、実際はどうだか分からない。仮にそうだったとしても、3回分ぶっ飛ばすだけなので問題もない。むしろ犯人が同一のが手間が掛からなくていいな、とか思っている。


 そんな訳で手掛かりの一つである、盗まれていた自分の魔力の痕跡を追っているのだが、面白いくらいその方角には魔物がいた。どうやら魔物の集団暴走(スタンピード)が発生している場所と盗人のいる方角は一緒らしい。


 物のついでに後方の憂いを立つ事が出来るのは嬉しいのだが、あまりの数にいい加減うんざりしてきた。


「・・・・うむー、なんだかなぁ。」


 つーか今更ではあるけど、これを全部アルベルトがやってるとしたら、今更止めた所で極刑は免れ無いんではないだろうか・・・・。ロイドは「英雄でー」なんて言ってたけど、もう無理くね?詰んでね?罪人確定の首ちょんぱじゃね?

 いや、まぁ、別にいいんだけどさぁ。・・・・いや、イヤ、嫌、よくねぇな。全然。俺だってアルベルト死ねば良いのに、とまでは思って無いしな。ぶん殴れれば良いだけだし。

 さて、どうしたもんか?


「王ヨ。難シイ顔ヲシテドウシタ?」


 俺を乗せたロワが赤い複眼を向ける。

 勿論、魔物達をほふる手を緩めずに、だ。


「━━・・・ん?いや。別に大した事じゃないんだけどな。・・・まぁ、なんだ。世の中ままならないなぁっ、て。ね?」

「ウム。世ノ中、ソンナ物ヨ。王ハマダマダ青イナ。ヒィィヤハァハハハッ。」

「そうだよなぁ。そんな物だよなぁ。」

「・・・王。」


 世の中はままならない。本当に。


「━━━━むぅ?」


 ぼんやりと眺めていた前方の山間に大きな影が蠢くのが見えた。

 遠目からでも分かるその影の大きさは尋常な物ではない。恐らく、俺の召喚獣の中で最大の巨躯を誇るベヘモスといい勝負しそうな程だ。


「ロワ。」

「言ワズトモ良イ、王ヨ。ドウヤラ相手方モ後詰メノ駒ヲ切ッテキタヨウダ。マッタク、忌々シイ迄ニ手抜カリノ無イ事ヨ。」


 そう言うと、ロワは静かに王笏を前方に翳した。


「マズハ、先手ヲ取ラセテ貰ウトシヨウ。━━━━[我ガ怒リノ奔流ヨ。今コソウネリヲ上ゲヨ。怒リニ叫ビ声ヲ震ワセヨ。激情ニ荒レ狂ウ、ソノ姿ヲココニ示セ。『ア・ガラン・ディ・アボルカス』]」


 王笏の周囲に魔方陣が現れ、そこから溢れ出る紫電が龍のような形をとる。龍は声とは呼べない何か奇っ怪な叫びを一度あげると、空気を切り裂き飛び出していった。雷でも落ちたかのような轟音を響かせて。


「コレデ滅スル事ガ出来ルナラバ、其レデ良イ。デナケレバ━━━」


 ロワから放たれたソレは、轟音を響かせながら空を駆ける。

 紫電の龍は眼前に現れる全てをその牙で砕かんと裂けたような大口を開き、その身を構成する紫電を持って空気をも焼き尽くして影に迫る。ついでとばかりに、うん百うん千もの魔物を蹴散らして。


 カッと、目も眩むような閃光、身もすくむような豪風、そして心の臓が冷える爆音と共に、影と紫電の龍が衝突した。強大な一撃の余波により粉塵が空高く舞い上がる。


「ロワ。でなければ、なんだよ?」

「言ウマデモ在ルマイ。」


 視界を奪っていた粉塵が徐々に消えていき、次第にその影の姿が月夜の元で顕になった。


「━━━━我等ト同ジ、化物ヨ。」


 粉塵の下から現れたソレに、目立った外傷は無い。それどころか攻撃をしてきた此方に背筋も凍るような気配を放ってきた。


 そして俺は、目を見開いてしまった。

 別に気配に驚いた訳で無い。目の前の光景に驚いてしまったのだ。

 何故なら粉塵が消え去った後そこにいたのは、俺が待ちにまったファンタジーの代名詞とも呼べる[竜(ドラゴン)]だったのだから。


「お、おぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、おおーーー!!!」


 竜擬きのでっかいトカゲ草原竜(グラスプリザード)とか、顔だけしか見せなかった首だけ竜とか、竜の癖にただの毛玉でしかない子竜だとか、ひょろひょろと細っこい体とフニャフニャと伸びた首の翼竜とか、もう紛い物はうんざりだった。本物がずっと見たかった。


 俺の眼前に現れたソレは、ベヘモス並みの巨躯を持った白と黒のコントラストが特徴的な四足の双頭竜だった。


「おい!ロワ!あれ見ろ!竜だ!マジもんの竜だぜ!うはぁー!すげぇ、でけぇ!あ?首が二つある!?双頭竜だ!しかも頭白黒だ!うはぁーーー!」


 興奮のあまりロワの背中をバンバンと叩いてしまう。「くふぅ」と少し苦し気な声が洩れるが、取り合えず無視しておく。今日くらいは勘弁してくれ。


「ヤハァハハ。王ヨ、少シ落チ着ケ。」

「いやぁー、でもよー、すげぇんだもん!竜だぜ!?」

「ハハッ。其レデ良イ。ソウ思ウゾ、王ヨ。」

「━━━ん?」

「王ヨ、主ハ考エテ動ク者デハ無イ。思ウガママニ生キルガ良イゾ。[アルベルト]ニドノヨウナ思イヲ抱イテイルカハ知ラヌガ、好キニヤッテ見ヨ。(ケツ)ハ、我等ガ持トウ。」


 ・・・・はぁ、まったく。召喚獣に気を使われるとはな。


「━━━━そうだな。よし、ウジウジ考えるのは止めだ!」


 成るようにしか成らない。

 世の中そんなもんだ。

 だから、やるだけやってみて、後の事は後で考えよう。

 先ずは━━━━━


(ドラゴン)退治と洒落込みますか!!」


 俺は背負っていた剣を引き抜いた。


ユーキちゃんとその友達が遊ぶってさ

コーナー



ユーキ「おままごと、やらいでか!」ドドン


テル、イニス、ゼルリア

「「「やらいでかー!!!」」」


ユーキ「はい!タイトルどーん!」


テル、イニス、ゼルリア

『王国剣士の愛と情熱シリーズ、裏切りの涙編』


ロイド「なんてタイトル」


◇━◇


イニス「まぁむぁー、なんてことなの。あの『むつげつ』のひびがウソのよう。あのいとしきひとのことばは、すべてがうそになるなんて。ささやかれたあいのことばも、いまとなってはまるでノロイのよう。どうせわたしのモノにならないなら、ころしてやるー、ころしてやるわー」シクシクー


ロイド「おぉ。子供らしい棒読み・・・・いや、なんだこの内容」


ゼルリア「・・・・」スッ


カンペ 執事のセリフ

『おぉ、奥様。おぉ麗しの奥様。なんとおいたわしお姿か。あれほど愛を語らっていたあの日々がまるで嘘のようだ。これも全てあの王国剣士が、あの忌々しいあの娘に、その心を奪われてしまったせいだ。私の、いとおしい奥様に、涙を流させる、あの悪魔め!!殺してやる、殺してやるぞ!悪魔め!!』


ロイド「口で言いなさい、口で」


ゼルリア「・・・・」スッ


カンペ ナレーション

『王国剣士は妻であるデッケンバウワー伯爵夫人を裏切り、一人の町娘を連れ走っていた。追い縋る凶刃を潜り抜け、二人は走る』


ゼルリア「です」


ロイド「・・・・いや、まぁ、口で言えとは言ったけどね」


◇━◇


ユーキ「きゃぁ」ドサー

テル「町娘!」


ロイド「名前!名前!」


ユーキ「くぅ。ごめんなさい。剣士サム。お手を煩わせて」

テル「い、い、いいさ。町娘」(ユーキ、サムじゃないから、様だから)


ロイド「そこはサムじゃないのかよ」


ユーキ「剣士サム。もういいわ。私を置いていって!」

テル「・・・・。うん、サムでいいよ、もう。━━━━えぇ、と何だっけ?ああ、置いていけるわけないじゃないか!ここで、あいする君をうしなってしまうなんて、ぼくはなんのために、あのつまをうらぎってしまったのかわからないじゃないか!そんなこといわないでくれ!」(・・・だっけ?)


ロイド「ちょいちょい、サムの心の声が漏れてるのが気になるんだけど」


ユーキ「ふっ。気にしないでサム」


ロイド「そんで、こいつは直す気ゼロだな。自由か」


ユーキ「たかが、千の雑兵に遅れをとった私が悪いのよ。まさか、矢傷の十や二十でこの様なんてね」


ロイド「どこの修羅なんだよ。町娘じゃないのかよ」


ユーキ「隣国へいくのよサム剣士。我が首を持って。その手柄さえあれば、隣国の王は貴方を悪いようにはしない筈よ。きっと、幸せになれるわ」


ロイド「サム剣士って、もう誰だよ。つーかこの町娘なにしたんだよ。そんで町娘じゃないのかよ」


テル「えーと。そ、そ、そんな事できないよ。あいする君を傷つけることなんて」(・・・・ん?あ、間違った、まぁいっか。ユーキも間違えてるし)


ロイド「サムだけ、全然気持ちはいってねぇな」


◇━◇


ざしゅ、あれー


ユーキ「く、なんて事だ」


テル「悪魔め!おれをかど、かど、・・・」(ユーキ、なんだっけ?)


ユーキ「・・・・・」

テル「・・・・」


ユーキ「━━━くくくー。残念だったよ。実は悪魔だった私の正体を見破り、こうして白刃の刃を突き立てられる事に、あ、なぁろぉぉうわぁ!!!貴様をうまく『拐かせて』!!上手く操るつもりだったのだがな。王国に災いあれ!」バタリ、チーン


テル「・・・・・・王国はおれがまもる!」


ロイド「なんて急展開」


イニス「まぁすてき!」

ゼルリア「・・・・」

カンペ 執事のセリフ

『それでこそ、我が愛しの奥様の夫よ』


ロイド「なんたる掌返し」


テル「あいしてるよ、妻」

イニス「あいしてるわ、サム」


ロイド「そこでもサムなのかよ」



むっくり


ユーキ「続く!!」


ロイド「続くのか」


◇━◇


ルゥ「どうでしたか?私が端正込めてつくった脚本は?」


ユーキ「死ねば良いのにな、って感じ?」


ルゥ「OH・・・・」

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