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召喚士されし者 87・任された証

どうも、どうも。

いつも読んでくださる皆様ありがとう御座います。お待たせしました、えんたです。


仕事、忙しい、学生、戻りたい。なんて、愚痴ってしまう今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?


仕事の方も、少し落ち着きをみせ始めたので、週一更新くらいは出来そうです。


今回はユーキさん視点になります。

では。

「最後の時まで、あの男を、英雄でいさせてくれ。」


 ロイドの口から発せられたその言葉は、端的に言えば、アルベルトの事を助けてやってくれ、と言う物だった。

 先程まで肩を震わせ怒っていた男の言葉とは到底思えないが、確かにロイドはそう言った。険しい顔で、何処か悲しげに。


 正直、頭上に光る魔方陣が俺の魔力で展開されている以上、その元凶であると思われるアルベルトを助ける義理は欠片もない。それどころか、ぶん殴る要因しか無い。

 ロイドの灼熱の怒気を間近で感じたお陰で、反って冷静になれた俺だが、素直に「良いよ」とは言えないものがあるのだ。



 まぁ。けれど、だ。


「━━━あー、うん。任せろ。」


 俺はこの頼みを引き受ける事にした。


 元々、ロイドに頼まれるまでもなく魔方陣はぶち壊すつもりだったし、魔力をパクったと思われるアルベルトには、ちゃんと話(言い訳)を聞きたかったのだ。ロイドが抱いている思いとは多少ズレはあると思うが、アルベルトを生かすと言う所は同意なのである。


 生かして、何をするとは名言しないがな。


「悪いな、おちび。後、不安になるからそのニヤケ面止めろ。」

「そこは感謝しとけよ。アホロイド。後、ニヤケ面ってなんだ。失礼な奴めが。剃るぞ、顎髭。」

「・・・・・ありがとうな。」

「・・・・・おう。」


 俺とロイドはがっしと握手を交わした。━━━━が、ロイドは中々離そうとしない。なんか俺の顔をじっと見つめてくる。


「なぁ、おちび。」

「なんだ?」

「俺は頼む相手を間違えた気がする。」

「いや、適任だと思う。」


 がっしと交わした握手を一向に離そうとしないロイドは、「大丈夫だよな?」「俺の言った意味分かってる?」と心配そうな顔で尋ねてくる。


 うん、分かった。良く分かったよ。

 お前が俺を信用してない事だけは痛い程、良く分かった。

 うん。解せぬ。


 そんなやり取りをロイドとしていると、ユミスがソソッと近づいてきた。さっき怒鳴られた事がまだ尾を引いているのか、恐る恐ると言う様子だった。


「あの、ちょっと良い?ユーキ。」

「おう?なんだ?」

「あんたの召喚獣、そろそろピンチっぽいんだけど。」


 あ、忘れてた。


 言われてロワが闘っているであろう方へ視線を向ける。「王ヨ!!!」と悲鳴みたいな声を上げるロワと、目をギラつかせ黙して闘うレイベウロスの姿がそこにあった。距離はまだとれているようなので、後5分はいける、と思う。


「後さ、上に浮かんでるあれ。どんどん模様が増えてるんだけど。」


「「!?」」


 俺とロイドは視線を空に向ける。

 凝らして見ると、ユミスの言う通り少しずつ模様らしき物が浮かびあがり初めていた。


「ロイド!うかうかしてる時間なさそう何ですけどぉ!あとどれくらい余裕あんだよ!?」

「わ、悪りい!おちび!時間はそんなにねぇ筈だ!この魔方陣は三段階構成になってる。今はまだ一段階目、魂の抑留。つまり魂の捕獲ネットみたいなもんで━━━、違うな!こんな事はどうでも良い!」



 一度視線を地面に落とし、ロイドは小さく何かを呟き始めた。

 そして、10秒も掛からず顔を上げる。


「魔方陣の完全構成まで、恐らく一時間はきってる。」


 それを聞いた瞬間、俺は直ぐに行動を開始した。


「ロワ!!!!」


 俺の意思を読み取ったロワは、攻撃の手を止めレイベウロスから一気に距離をとる。そして俺から譲渡された魔力を使い渾身の魔術を放った。


「黒衣ヲ纏ウ愚者ヨ、ソノ無邪気故ノ残酷ヲ、調べニ乗セ掻キ鳴ラセ。フォールディア・ゼ・ソヌス!!」


 ロワから放たれた淀んだ波動が、レイベウロスの周囲10メートルを巻き込み吹き飛ぶ。波動自体はあまり効いていないようだが、足の踏み場ごと吹き飛ばしたのは効果的だったらしく、踏ん張る事が出来ないレイベウロスは気持ちいいぐらい飛んだ。


 ロワは空中で思うように身動きのとれないレイベウロスに向かって、油断無く追撃を放つ。


「深淵ノ深キヲ見ヨ。光無キ者ノ渇望ヲ聞ケ。暗黒ヨリ伸ビル誘イノ手ヲ、此所ニ知レ。カースス・ア・ヴィス!! 」


 再びロワから魔術が放たれる。

 翳した王笏の先に巨大な魔方陣が描かれ、そこから堅牢な外装纏った黒い稲光を放つ巨大な黒碗が現れた。


「レイベウロス。偽リシ武ノ王ヨ。塵ト消エヨ。」


 振り下ろした王笏を合図に、空気の壁を突き破った黒腕がレイベウロスに直撃する。だが、殴りつけた訳では無い。レイベウロスをその手の内に握り締めたのだ。

 ゴリィッと、何かが砕けるような鈍い音を響かせながら黒腕は空をきる。その身に回転を加え、強く、より強くレイベウロスを握り締めながら。


 地面を抉り、血を撒き散らし、耳障りな音を響かせ、レイベウロスを捕らえたままの黒腕は吸い込まれるように闘技場の壁に衝突した。


 爆音と共に、強固に作られたであろう闘技場の壁は吹き飛んだ。まるで積み木で出来たオモチャの城の様に脆く儚く。


 黒腕はそれでも止まらず。

 闘技場の壁を突き破り、その次の通路の壁も突き破り、その次の部屋の壁も突き破り進む。


 隣で眺めていたユミスが「やった?!」とほざいたが、これで殺れる相手ならウチのIQオバケが苦戦する訳が無い。


 元々、広範囲殲滅戦を得意とするロワにとって、単身で闘う事に特化してそうなレイベウロスは天敵とも言える相手だ。ただでさえ相性が悪いと言うのに、守るべき街中での戦闘と言う状況が術の選択に制限を掛ける事にもなっている。レイベウロスを倒しきる程の魔術となると、その威力もさる事ながら効果範囲も馬鹿にならない。その為、被害の大きさを考えたら迂闊に使わせてやる事も出来ないのだ。

 故に、現状のロワは手枷をつけた状態で闘っているような物で、今のレイベウロスを相手にするには決定的な決め手をかいてしまっている貧弱状態なのだ。


 俺は空を見上げ、魔方陣の状態を確認する。

 懸念していた通り、ついさっき見た時よりも浮かび上がっている文字や模様が増えていた。

 どうやら、本格的に時間が無いようだ。


 そして、もう一つの懸念。

 ロワの黒腕が霧のように消えると、闘技場に出来た穴から、動く人の影が見えた。こっちも、ある意味予想通りだ。

しかし━━━


「この攻撃を受けて、まだ立てんのかよ。たくっ。流石に、時間が足りないか。」


うんざりする程の耐久力である。


 手持ちの召喚獣を総動員すれば、10分も掛からず墓穴まで蹴り飛ばせるかも知れない。だが、屋敷の警護を任せてあるあの子達まで呼び寄せてしまっては、それこそ本末転倒だ。

 守りたいお風呂もメイドさんもそこにあるのだ。


 とは言え、このまま闘っても時間がかかり過ぎてしまう。仮にヤヨイを喚び出したとしても、良いとこ20分程だろう。

 そうやって、色々と次の手を考える俺の背中に声が掛かった。


「ユーキ様、ここは任せて下さい。」


 シェイリアはそう言うと、レイベウロスに向かい一歩を踏み出した。


「シェイリア。」

「ユーキ様。私には何が起きていて、これからどうすれば良いのか分かりません。ですが、少なくともユーキ様には、ユーキ様にしか出来ない事をやって頂きたいと思います。」


 シェイリアは真上を見上げた。


「あの魔術が、どれ程の偉業なのか、どれ程の奇跡を生むのか。私には分かりませんし、分かりたくもありません。ですが、これ程までに他人に犠牲を強いる魔術が、良いものだとも思えません。ユーキ様、お願いします。あの魔術を止めて下さい。多分あれは、ユーキ様で無ければ止められない、恐ろしい何かです。」


 視線を落としたシェイリアと俺の視線が交差する。


 シェイリアの瞳に映ったそれは、初めて出会った日を思い出させるような、決意に満ちた炎のように熱い色を持っていた。


「本当に大丈夫か?」

「はい。任せて下さい。」


 力強い言葉に、俺はシェイリアを見つめる。


 俺の瞳に映ったシェイリアは出会った頃よりずっと逞しくなった。うっすらと残る生傷も、ふっくらとした筋肉も、しゅっとした顔つきも、纏う強者の空気も、彼女が自分自身の努力で勝ち取った物だ。血を、汗を、涙を流して、必死になって手に入れた、強さの証だ。


 本当に強くなった。

 多分、ある意味では俺よりもずっと。

 そう思った俺は懐で暖めていた、それをシェイリアに渡す事にした。


「シェイリア。」

「はい?何ですか?」


 呼び止めたシェイリアの掌に、フューズベルトの爺さんから預かっていた印章を握らせる。


「あ、ユーキ様。これは・・・。」

「武祭は無いかもしんねぇけど、これは渡しとくな。」

「い、いえ。その。私は━━。」

「拳刀の代表はシェイリアでいい。今のシェイリアなら、フューズベルトの爺さんも文句言わないだろ。」


 シェイリアは少し迷う素振りを見せた後が、最後にはしっかりとそれを握った。

 その様子を見て、俺は言葉を続ける。


「ここは任せた。」

「・・・・っはい!!」


 少し上擦った声ではあったが、力強い良い返事が俺の耳に響いてきた。


「そう言う訳だから、後頼むなロイド。」

「━━━っおい。俺かよ。」

「準備してあんだろ?色々。出来ない事に首突っ込む程、お前は勇気も気概も無いもんな?」

「はぁ・・・・まぁな。レイベウロス相手なら、まだ策はある。絶対じゃねぇけどな。」

「それで十分だ。頼んだ!」

「おう。おちびの方もな。」

「ん。」


 一通り話を終えた俺はロワを呼び寄せ、その背中に飛び乗る。

 そしてここでの最後の仕事に取りかかった。


「ロワ!でっかい置き土産、置いて行くぞ!!」


 俺の合図を切っ掛けに、ロワが王笏を高く翳した。


「我ガ王ヨリノ命デアル!我ガ眷族ヨ、異形ナル人擬キニ滅ビヲ与エヨ!!」


 そう言葉を発したロワから、命が達せられた報告を聞くのはそう時間が掛からなかった。

 時間にして1分も掛からなかっただろう。


 直接目にしていないが、これで街に散らばり暴れていた死なんたら兵は、一匹残らずロワの眷族(アゥトルムセクト)で始末出来た筈だ。


 俺はレイベウロスに向き合う二人と、アホ面でこっちを見たままのユミスをその場に置いて、闘技場を飛び出した。


 向かう先は、ロワが指し示した北の山脈。

 盗まれていた俺の魔力の行く先へ。


ユーキちゃんがバレンでタインするってよ

の

コーナー


ユーキ「ロイドよ!バレンタインしようと思うから、貴様にチョコをくれてしんぜよう!!喜べぃっ!!!」バーン

ロイド「お、おおう。なんだよいきなり。バレンタインって前聞いたあれか?モテない奴等が血の涙を流す。・・・で、チョコって何だよ。何を寄越すつもり何だよ」


ユーキ「む!?━━━━あー、そう言えば、こっちだとコーアって言うんだっけか?それをくれてしんぜようっ!!さぁ!咽び、泣き、喚き、踊り狂うが良い!はーはははっ!」バ,バーン

ロイド「━━━おおう。何でも良いけど、手作りは止めろよ。市販のにしてくれよ」


ユーキ「・・・・・」オクチチャックー

ロイド「頼むから、そこは頷いてくれ」


だっ!!


ロイド「ちょっ!?待てコラァ!!」



◇━◇


ユーキ「そう言う訳で、手作りコーアをロイドにプレゼントします」ジャン

シェイリア「はい!でも、いきなりどうしたんですか?何故突然にコーアをプレゼントしようと思ったんですか?ロイドに」


ユーキ「特に理由は無いな。何となくバレンタインしようも思って。せっかく女の子になったんだから、そう言うイベントもやって見ようかなって、思ってさ」タハハー

シェイリア「はぁ。そうですか。イベント、と言う事は、プレゼントに意味があるんですか?」


ユーキ「人によって、だなぁ。好きな奴にあげる場合もあるし、知り合いとかに日頃のお礼としてあげる場合もある。前者が本命って言われて、後者が義理って言われるんだ」

シェイリア「ほうほう。ロイドにあげるのは」

ユーキ「義理も、義理。スーパー義理コーアだな」

シェイリア「そう言う事でしたら、私も作りますね。勿論、義理ですけど」


ユミス「何してんのー?」タノシソー


ユーキ「む。おお、丁度良い所に来たな。一応、女の子。お前もやるか?」

ユミス「?」



◇━◇



ラーゴ「━━━━へぇ。そんな事があったんだ。コーアをねぇ。・・・良かったね?で、良いのかな?」

ロイド「良いわけあるか。でもまぁ、一月後にあるお返しの義務と、おちびの手作りじゃ無ければ、タダでお菓子が貰えるだけだからなぁ。」

ラーゴ「そんな顔しないでよ、そんなに?」

ロイド「前、食った時は、軽く走馬灯が過ったな」


ラーゴ「・・・・あぁ。うん。」

ロイド「止めろ。そんな哀しい目で俺を見るな」


◇━◇


ユーキ「ロイドーー!」ダダダダダー

ロイド「!?」


だっ!


ユーキ「なっ!?逃げるな!」コラァー


シェイリア「頑張って食べて下さい、ロイド。応援、してます。死なないで下さい。」チョコパクパクー


ロイド「あれ!?不吉な声が聞こえる!?食べたら死ぬ食べ物なら、それは食べ物じゃないんじゃない!?ねぇ、シェイリアさん!?シェイリアさんっ!!!」

ユーキ「さっさと食うがよい!そんで、来月に3倍返しするがよいー!」ムーハハハー

ロイド「畜生が!!」


◇━◇


ギャー

ワイノワイノ


ラーゴ「・・・・」(頑張ってロイド)


ユミス「あ、いた。ラーゴー!」

ラーゴ「あ、ユミス。どうしたの?」


ユミス「これ上げるー」ハイ

ラーゴ「これって、・・・・・っ!?まさか」


ユミス「ユーキと一緒に作ったコーアだよ」

ラーゴ「ふぅぅっ!?」

(こ、これは、どう言う、あれでくれたのだろうか!?━━━あ、あぁ、いかんいかん。ユミスがそんな乙女な感じな訳が無い!義理だ、義理に違いない!)


ユミス「ユーキの国だと、それをね好きな人にあげるんだって。なんか良いよね?楽しそう」

ラーゴ「ごっふぅっ!?」


ユミス「じゃぁねぇ」バイバイー

ラーゴ「ふぅっ、ふぅぅっ!」テノヒラバイバイー


ユミス(後で屋敷の皆にもあげないとなぁ。)


ラーゴ「・・・・」

(・・・分かってる。分かってるよ。ユミスの好きって、多分、親愛的な、うん。でもこれは。)


パク


ラーゴ「嬉しっ、━━━ごふあぅっ!?」


バタリ



それ以来、ラーゴはどんなに嬉しくても、ユミスの手料理には細心の注意を払うようになりました。



ユーキ「まてー、ロイドー!受けとれー、食えー!そんで3倍返しー!」ガオー

ロイド「い、や、だ!」


◇━◇



ルゥ「え、えーぇ!!?コ、コーアをあげる人?い、い、いませんよ!そんなのー・・・。」ポッ


ユーキ「まぁ、だろうな」


ルゥ「いや、あの、今の少しは食いついてきて下さいよ。いる感じゃ無いですか!ねぇ!」

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