召喚士されし者 76・ 目覚めの一発はガツンとね?
うは。出したかった奴がようやく出せます。長かったぁ、長かったなぁ。
まぁ、上手く纏めれなかった俺が悪いんですけどね。
( *・ω・)ノテヘペロ!
「━━━━━━━あ?」
重い瞼を開けると、そこには見慣れた天井があった。ユミスに用意された俺の部屋だ。
つか、シャリオのやつ最後にとんでもない事言った気がする。今は、まぁ、いいか。うん。
あの後どうなったか分からないが、シェイリアあたりが担いで持って帰ってきてくれたのだろう。あの熊ゴリラに体を触られて無いことを願う。
まぁ、それはいいとして。
周りを見渡して見たが、人の気配が無い。
シェイリアなら、看病していてくれてると思ったのだが・・・。
つか、どれだけ寝たんだ?
感覚的にはついさっき倒れた気分なんだが、まぁ、そんな訳ないよな?何時間か、いや何日か?
窓から見える日射しで夕方くらいなのは分かったが。
体を持ち上げてみるが、どうにも重い。
まだ完全に回復してる訳ではないようだ。
今までこんなこと無かったんだが、どうしてこうなったのか。
シャリオは魔力の使い過ぎと言った。
魔力欠乏症だったか?魔力版の過労だとか。
確かに魔力は使った一日だったが、それでも倒れる程使った記憶は無い。召喚獣も、最も魔力消費の激しいベヘモスは出してないし、他の奴等だって戦闘していた間だけの短時間の召喚だ。
ぼけっと考えていると、廊下の方からドタドタと人が走る音が聞こえてきた。そして蹴破るように部屋の扉が開かれ、黒髪メイドさんが息を切らして入ってきた。
「はっ!?ユーキ様!?お目覚めで御座いますか、良かった!」
メイドさんが俺の元まで駆け寄り、体をまさぐる。
ちょ、くすぐったい。
「お体に何か異変は?立てますか?早く逃げないと・・・。」
「体は大丈夫だ。まだ少し重いけどなぁ。てか、逃げないとって?」
「はい、それが━━」
メイドさんの言葉はそこで遮られた。
突然の轟音が鳴り、廊下側の壁が消し飛んだからだ。
破片が部屋に散らばり、その内の小さくない一つが、メイドさんの背に当たる。メイドさんの顔が苦痛に歪む。
視線を廊下に向けると、そこには見知らぬ化け物がいた。
なんかデカい犬のような、なんか縮れた茶色い毛の、目が三つある、なんか変な奴だ。よく分からんが、多分、あれ魔物だ。
化け物は俺の方へ向かって駆けてきた。
四本の足で元気よく、喉を鳴らしながら。
どうみても友好そうな存在で無いので、俺はアルディオを喚び出し命令する。
「やれ」と。
アルディオは俺に迫る化け物に向かって行き、大剣で叩き斬った。
縦に真っ二つだ。
なんて事ない雑魚で少し困惑する。なんでアルディオが出た段階で逃げずに挑んできたんだ、こいつ?と。
絶対では無いが、獣系の魔物は多少頭もあり、危険からは身を引く奴が多い筈なのだ。
化け物の事は取り合えず置いておき、メイドさんの怪我を治すためムゥを召喚する。相変わらずウニョウニョしたお腹が気持ちいい。
ムゥは特に命令しなくても俺の気持ちが分かっているのか、直ぐにメイドさんの治療を始めた。
メイドさんをムゥに任せ、廊下に顔を出してみた。
薄暗い廊下には何もいない。
どうやら、さっきの化け物だけらしい。
メイドさんの様子が落ち着いてきたので話を聞いてみようとした時、外の方から爆発音が聞こえてきた。
気になって窓を覗いて見れば、街のあちこちから火の手が上がっているようだった。
と、こっちに何かが飛んできた。
長い首、蜥蜴の頭、長い犬歯、大きな翼、長い尻尾、逞しい二本の足。
・・・・・うん、あれだ。
「ワイバーンだな。」
なんか思ってたのと違うな、思ってたよりひょろい。
でも、多分そうだろう。
ワイバーンは此方に真っ直ぐ飛んできている。
しかも10匹くらい纏めて、編隊飛行でだ。
どうやら狙いは、また俺のようだ。
「誰かに喧嘩売られてんのか?」
このまま突っ込まれるのはアレなので、ラ・ディーンを喚び、20本のレーザーで迎撃する。
10匹の内6匹のワイバーンはバラバラに散っていったが、残りのワイバーンは翼を少し焼いただけだ。飛行能力は削ったが死んではいない。
4匹のワイバーンが屋敷の庭に滑り込むように着地していく。
━━━が、勿論、自由にさせる気は無い。
ワイバーンが着地する前に用意していた、家の可愛い駄犬ガイセルに命令をして1匹残らず首を刈らせる。
そうこうしてる内に廊下が騒がしくなってきた。
騒がしい方に目を向ければ、そこには先程の魔物が廊下を駆けてくるのが見えた。
うん?
何処からきてんだ?
取り合えず拳に魔力を纏わせ強化する。
向かって来た奴を先頭から一匹ずつ叩き潰していく。
ぶん殴ってみたが、たいした手応えは無い。雑魚だ。うん。
10匹程ボコった所でアルディオと交代。
ちょと様子見してから、全面的に廊下側を任せる事にした。
まったくと言っていい程に訳が分からないが、誰かが喧嘩売ってきているのは間違いないだろう。それが無差別であれ、俺個人を狙っているのであれ、なんであれ、俺を巻き込んだ以上は覚悟して貰うとしよう。
犯人、まじ許すまじ。
改めてメイドさんに話を聞いてみる。
「メイドさん、何が起きてんの?」
いや、まぁ、悠長に聞いている場合では無いんだけどね、全体的に意味が分からないからね。なにこれ?だよ。
「は、はい。そ、それが街に魔物が現れまして、それで皆さんをお連れしてユミスお嬢様が街に、ですが屋敷にも魔物が。警備の者が抑えていらっしゃったのですが、守りが破られて、もう私ではどうする事も出来ずに」
うん?
「取り合えず、街に魔物がいる。シェイリア達もユミスもここには居なくて、街にいる。ちょっと前にここも危険になった。って事であってる?」
「あ、はい。そうです。」
それじゃ、俺のやる事は決まったな。
これから街にいってシェイリア達に加勢。
喧嘩を売ってきた奴を見つけてボコる。
これだな、うん。
ついでに屋敷の人も守っておこう、お世話になっただろうしね。
全部片付けたら風呂に入りたいなぁ━━って事は屋敷もか?
少しやる事が多い気がするが、まぁ、いいだろう。
屋敷に残していく召喚獣は、今喚んでいる分で足りるか?
いや、やること多すぎだな。
絶対手が足りなくなる。
ならやるしかないかぁ・・・。
部屋でやるとえらい事になる気がしたので中庭に出る。
メイドさんにあまり近づかないように言ってから、魔方陣を展開する。直径10メートル程の魔方陣だ。
そう時間も掛からず俺の呼び掛けに答えた者がいたので、そのまま喚び出してみる事にする。
光と共に現れた召喚獣は5メートル程の大きさで、蝿と甲虫が混じったような形をしていた。その体は海のような深い青に染まり、細くも硬質な艶を放つ脚に絢爛な王笏を絡ませ、群青の背から伸びた6枚の羽が銀に煌めいている。
体を深い青に染め上げたその召喚獣は、アクセントになっている赤の複眼を妖しく光らせ、俺を見てきた。
「ヒィアハハハハハハ!!ヨウヤク喚ンダカ、我が王ヨ!王ノ中ハ其レナリデアッタガ、ヤハリシャバハヨイ!空気ガ旨イ!ナァ!王ヨ!?」
「お、おう。」
よく喋るな、コイツ。
「ムゥ?王、些カ小サクナッタカ?━━━イヤ、違ウナ、王デハナイナ?オ主。マァ、我ヲ喚ンダノダ、資格ハアルノダロウ。ナラバ其レデ良イ、コレカラハ主ガ我ガ王ダ。我ハ[ロワ・イゥベズ・レィープ]。気軽ニ[ロワ]ト呼ブガ良イ。主ハ[ユーキ]ノ方デ良イナ?」
はぁ?
「ソウ驚クナ。他ノ奴等ナラバイザ知ラズ、我程ノ強者デアレバ、魔力ニ篭ル残留思念ヲ読ミ解キ、ソノ記憶ヲ知ル事ハ容易イ事ゾ。案ズル事ハナイ、他人ノ秘密ヲ誰カニ話ス程、愚カデモナイノデナ。故ニ我ガ話ス事ハ限ラレル。叡知ヲ蓄エル我ダガ、ナンデモ教エルト思ワヌ事ダ。」
「え?なんて?」
「ヒィアハハハハハハ!!カツテノ王ニヨク似テ面白イ奴ゾ!王モソウヤッテ、ヨク呆ケテオッタゾ。愉快、愉快、ヒィアハハハハハハ!!」
そりゃぁ、聞き取れなかったんだろうよ。
なんかキンキンする声だもの。
後、笑うポイントわかんねぇ
「ソレハソウト、主。━━イヤ、新タナ王ヨ。ソノ背ニアル陣ハ、ナンノタメニ付ケテオル?魔力ガ垂レ流レテオルゾ?何処デ儀式デモシテイルノカ?」
「儀式?垂れ流れているって魔力が?」
「知ラヌト?フム。ナラバコレハイラヌナ。」
ロワが俺の背に王笏を撫で付けてきた。
すると、何かが弾かれたように「パチン」と小さい音が鳴った。
「うわっ!?」
体に魔力が満ちるのを感じる。
普段魔力を流さない体の隅々まで熱が宿る。
「王ヨ。ドウヤラ一服盛ラレタヨウダナ。王ノ魔力ハドコゾノ者ニ奪ワレテイタヨウダ。我ニハソノ流レガ見エル故、報復スルノデアレバ追ウ事ハ出来ル。マァ、ソノ前ニ一応聞イテオクガ、心当リハ無イカ?王の背ニ触レタ者、モシクハ近付ケタ者デ、魔術ニ精通シタ者ダ。覚エガアレバ、恐ラク其奴ゾ。報復スルベキカ?」
魔術に精通した?
そんな奴・・・・知ってる奴で言うなら、一人くらいしか知らんのだが。
「報復は待て。あいつだとしたら、理由が知りたい。」
「ムゥ?其グライ聞イテオクゾ?」
「俺が、自分で、目を合わせて聞いておきたいんだ。そんで絶対、直接、俺がぶっ飛ばす。」
俺の体から魔力が溢れ出た。
意図して出した訳では無いが、なんかイライラしてきたら勝手に出た。
その姿を見ていたロワが赤い複眼を更に輝かせ、体を震わせる。
「ヒィアハハハハハハ!!良イ良イゾ、我ガ王!ソウデ無クテハナ!我ガ王デアルナラバ、ソウデ無クテハナ!ヒィアハハハハハハ!!!!」
俺は街に向け手を翳し、ロワに命令する。
「んじゃ手始めに、雑魚を始末しろ。」
「容易イ事。待ッテオルガ良イ、我ガ王ヨ。全テノ敵ヲ砕キ、全テノ敵ヲ磨リ潰シ、全テノ敵ヲ灰塵トカシテヤロウゾ!!!!」
ロワは王笏を振りかざす。
絢爛な王笏に宿る金銀財宝が歪な光を放ち、漆黒のオーラが地面から溢れ出す。
俺の事を離れて見ていたメイドさんが遂に短い悲鳴を上げた。
「あ、悪魔っ!?」
あ、うん。
味方には見えんよな・・・・。
ユーキちゃんが本格的に服を縫うってよ
の
コーナー
ユーキ「そう言う訳で、機織りを借りてきました。」カタンカタン
ロイド「早速縫ってねぇ」
ユーキ「まぁまぁ」カタンカタン
ロイド「まぁまぁ、じゃねぇよ。どんだけ時間かかんだよ、これ」
ユーキ「」カタンカタン
ロイド「・・・・本気か。」
ユーキ「」カタンカタン
ロイド「本格的に、だけ頑なだな、おい。」
ユーキ「」カタンカタン
ロイド「なんか言えよ!おまけ終わっちゃうんだけどっ!?」
ユーキ「るせぇ」カタンカタン
ロイド「吐いた言葉がそれか!?」
ユーキ「出来たぞ!」ドン!シャララーン
ロイド「おおー。・・・ってこの間お前が納品してる奴と変わんねぇじゃねぇか。」
ユーキ「この間のムゥ作の布と、材料と手法が一緒だからな。そりゃな」シカタナイ
ロイド「最初からムゥに作って貰えよ」
ユーキ「」ウツムキー
ロイド「いや、その、良くやったよおちびは」
ユーキ「じゃぁ裁断します」
ロイド「いや、そこは飛ばせよ、おわんねぇよ」
━━━チョキチョキ━━━
ユーキ「はい!出来ました!パンツぅー」キラリーン
ロイド「まさかの、縫うところ全カット!?つか、何故にパンツを縫うんだよ!?」
ユーキ「ほら、穿けよ」ゴゴゴゴ
ロイド「!?」
ユーキ「俺の目の前で、恥辱にまみれながら、穿けよ、パンツ」ゴゴゴゴ
ロイド「畜生だなお前は。慰めるんじゃなかった!」
ユーキ「シェイリアー」指パッチーン
シェイリア「はい!お呼びですかユーキ様!ロイド、恥辱にまみれながらパンツを穿かせてやりますから、大人しくなさい!」グワー
ロイド「お前らはいっつもそう、いっつもそう!」
わいのわいの~
ルゥ「・・・・」
ルゥ「あなた達はいっつもそう、いっつもそう!私を除け者にしていっつもそう!楽しそうに、きぃーーー!!」
ユーキ「お前の出番、当分ねぇもんな。」
ルゥ「いっつもそう!」




